八王大神は表向きは盤古大神を奉戴していたが、盤古大神は温厚ながら威風備わり、なんとなく気兼ねがして疎ましく思っていた。
そこで敬遠主義を取り、盤古大神夫婦をエデンの園に転居させて表面的に指揮を仰ぐこととした。盤古大神は常世彦の心中を察しながらも、見てみぬふりをしていた。
さて、橄欖山の改築された神殿に奉納する神璽を乞うため、常世彦は娘の玉春姫をエデンの園に使わした。
そのころ、盤古大神の宮殿の床下からは太いたけのこが二本生えだし、宮殿の床を持ち上げ、屋根をつきぬいて殿内を竹やぶとしてしまった。これは大江山の鬼武彦の仕業であった。
盤古大神は、国祖の祟りであろうとして大いに怒り、竹を片っ端から切って門戸に立てかけた。これが正月の門松のはじまりである。
玉春姫の使い一行がエデンの園の宮殿にやってきたが、竹に行く手をさえぎられてなかなか進めずにいた。侍者の八島姫は姿を消すと、巨大な松に化してしまった。また同じく春日姫は梅の木となった。
盤古大神は鉞やのこぎりで、この突然現れた巨大な松の木、梅の木を切り捨てさせ、国祖の怨霊の調伏とした。これが後世、年の初めに松竹梅を切って門戸に飾る元になった。
玉春姫はこの怪事に驚いて、井戸に落ちてしまった。盤古大神の長子・塩光彦が玉春姫を助け上げた。これにより、玉春姫と塩光彦は相思の間柄になってしまった。
盤古大神は大神の神霊を玉箱に奉安し、玉春姫に渡した。しかし箱の中の神璽には、なにゆえか神霊は鎮まっておらず、盤古大神の祈りもむなしく、空虚であった。
しかしエデンの大河を渡ると、なぜか神璽の玉箱はにわかに重量が加わり、数十柱の神々がやっと担いで捧持するほどになった。
玉春姫の帰途に当たって、八島姫、春日姫はどこからか戻ってきて共に聖地エルサレムに帰還した。塩光彦は玉春姫を追って大蛇となってヨルダン河を渡り、エルサレムを目指した。