竜山別は神がかりの状態で小高き丘陵に飛び上がると、盤古大神を非難した。
盤古大神は少しも動ぜず、鎮魂の姿勢を取って対峙した。また、常世姫の襟首を掴むと大地に思い切り投げつけた。常世姫は神がかりが解け、元の温和な性格に戻ってしまった。
このように、邪神は四魂を弱らせ、肉体を衰えさせて憑依するのである。深山幽谷で苦行をなすのは、すでに邪神に精神を惑わされてしまっている証拠である。
神がかりの修法のためには、正食をなし、心身ともに強壮にして爽快である必要があるのである。
盤古大神の審神は功を奏して、いったんは邪霊どもを追い払うことができたが、一度憑依した悪霊は、全部脱却することは難しい。悪霊の部分が、体内に浸潤してしまっていたのである。
そのため次第次第に常世彦、常世姫、竜山別は悪神の本性を表し、ついにまったく八頭八尾の大蛇の容器となって、神界を混乱させてしまうに至るのである。