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文献名1霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻
文献名2第4篇 救世の神示よみ(新仮名遣い)きゅうせいのしんじ
文献名3第26章 艮坤の二霊〔226〕よみ(新仮名遣い)こんごんのにれい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
轟然とした大音響と共に、天教山の頂上から多数の星光が打ち上げられ、世界の各地に落下した。これは、神示の宇宙で示した地球の中軸の大火球(=根底の国)に落ちて、種々の艱難辛苦をなめた神人らの身魂が、時を得て、野立彦命の神徳により、地中の空洞(天の岩戸)を開き、天教山の火口から爆発したのであった。

これがいわゆる、地獄の釜の蓋が開く、ということである。また、「天の岩戸開き」というのも、このことを言うのである。

地上に散布された星光は、根底の国の労苦によって洗練され、天授の真の霊魂に立ち替わり、美しい神人として地上にそれぞれ身魂相応の新徳を発揮することになったのである。

これが、木花姫命が説き諭した、三千世界一度に開く梅の花、開いて散りて実を結び、スの種子を養う、ということなのである。つまりこれは、野立彦命が、世の立替、立て直しの先駆として、まず世に落ちていた正しい神人を一度に地獄の釜を開いて救い、世界改造の神種とした、深遠なる御経綸なのである。

木花姫命が宣伝使とともに天教山の中腹に下ってくると、銀橋を渡って天教山にたどり着いた神人らが、歓呼の声で迎えた。このように天教山には、上中下の身魂の神柱がおのおの部署を定めているのである。

地上に星光として散布された身魂は、美しい神人となって各地に現れた。この宣伝者の教えを聞いて随喜し、説く者と聞く者の意気が合するときは、神の正しい教えが身魂の奥にしみわたり、磁石が鉄を吸い寄せるような密着の関係を作ることができる。これを因縁の身魂という。

木花姫命の宣旨を奉じた宣伝使たちは、ちょうど回転して来た銀橋に乗り、そのまま空中をめぐって無事にヒマラヤ山に降り立った。ヒマラヤ山では神人らが木を伐採し、夜に日を継いで盛んに建築をしていた。一行はその中を丁寧に一礼しながら、山上の野立姫命の神殿に向かって粛々と登っていった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月10日(旧12月13日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年4月15日 愛善世界社版152頁 八幡書店版第1輯 571頁 修補版 校定版155頁 普及版68頁 初版 ページ備考
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本文  轟然たる大音響とともに突然爆発したる天教山の頂上より、天に向つて打ち上げられたる数多の星光は、世界の各地にそれぞれ落下した。
 これは第四巻に示す地球の中軸なる大火球すなはち根底の国に落ちて、種々の艱難辛苦をなめたる各神の身魂の時を得て、野立彦命の神徳により地中の空洞(天の岩戸)を開き、天教山の噴火口に向つて爆発したのである。俗に地獄の釜の蓋が開くと云ふはこのことである。また『天の岩戸開き』と云ふのも、これらを指して云ふこともあるのである。
 地上に散布せられたる星光は、多年の労苦に洗練されて天授の真霊魂に立替はり、ことに美はしき神人として地上に各自身魂相応の神徳を発揮することとなつた、これらの顛末を称して、
『三千世界一度に開く梅の花』
と謂ひ、また各身魂の美はしき神人と生れて、神業に参加するの状態を指して、
『開いて散りて実を結び、スの種子を養ふ』
といふのである。
 かくして野立彦命は世の立替へ、立直しの先駆として、まづ世に落ちたる正しき神を一度に岩戸を開き、地獄の釜の蓋を開いて救ひたまひ、世界改造の神種と為し給うたる最も深遠なる御経綸である。
 却説木花姫命は、月照彦神以下の諸神を随へ、天教山の中腹なる青木ケ原に下り着きたまうた。ここには彼の銀橋を渡りてきたれる神々の数多集ひて、山上を見上げながら、木花姫命を先頭にあまたの供神とともに下りきたるを見て、一斉に手を拍ち喊声をあげ、ウローウローと叫びつつ、踊り狂うて歓迎した。
 神人は遥にこの光景を眺めて大に喜び、先を争うて青木ケ原に息せききつて上りきたり、上中下三段の身魂の神政成就の神柱の揃ひしことを喜び祝し、手に手に木の皮を以て造れる扇を開き、前後左右に手拍子、足拍子を揃へ、ウローウローと叫びながら踊り狂うた。その有様は、あたかも春の野に男蝶女蝶の翩翻として、菜の花に戯るごとくであつた。神々の一度に手を拍ち祝詞を奏上する声は、上は天を轟かし、下は地の万物を震動させた。
 かくのごとく天教山にては、上中下の身魂の神柱は、各自部署を定めて地上の世界を救済のために宣伝者となつて巡回し、かつ先に地上に散布されたる身魂は、美はしき神人と出世して各地に現はれ、この宣伝者の教を聞いて随喜渇仰した。説く者と聞く者と意気合するときは、神の正しき教は身魂の奥に沁みわたるものである。あたかも磁石の鉄を吸ひよせるごとき密着の関係をつくることが出来る。これらを称して身魂の因縁といふ。
 ゆゑにいかに尊き大神の慈言といへども、教理といへども、因縁なき身魂は、あたかも水と油のごとく反撥して、その効果は到底あがらない。後世印度に生れた釈迦の言に、
『縁なき衆生は度し難し』
と言つたのも、この理に拠るのである。ゆゑに大神に因縁あるものは、この浅深厚薄に拘はらず、どうしても一種微妙の神の縁の絲に繋がれて、その信仰を変ふることはできない。
 神諭にも、
『綾部の大本は、昔から因縁ある身魂を引寄して、因縁相応の御用をさせるぞよ』
と神示されたのも、遠き神代の昔より、離るべからざる神縁の綱に縛られてをるからである。
『神が一旦綱をかけた因縁の身魂は、どうしても離さぬぞよ。神の申すことを背いて、何なりと致して見よれ。後戻りばかり致すぞよ』
との神示は、神の因縁の綱に繋がれてをるから、自由行動を取りつつ、一時は都合よく行くことあるも、九分九厘といふ所になつて、神よりその因縁の綱を引かるるときは、また元の大橋へ返らねばならぬやうになるものである。
 これを神諭に、
『引つかけ戻しの仕組』
と示されてある。
 さて木花姫命の宣示を奉じて、月照彦神、足真彦神、少彦名神、太田神、祝部神、弘子彦神その他の神々は、折から再び廻転しきたれる銀橋に打乗り、一旦中空を廻りながら、復び野立姫命の現はれたまへるヒマラヤ山に無事降下した。
 ヒマラヤ山には、あまたの神人が夜を日についで、山の八合目以下の木を伐採し、大杭をあまた造り、頚槌を携へ地中にさかんに打込みつつあつた。月照彦神一行は、その何の意なるかを知らず、神人らに丁寧に一礼しながら、山上の野立姫命の神殿に向つて、隊伍粛々として参向したのである。
(大正一一・一・一〇 旧大正一〇・一二・一三 外山豊二録)
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