高照姫神から授けられた野立姫命の垂訓は、『朝日は照るとも曇るとも 月は盈つとも欠くるとも 大地は泥に浸るとも 誠の力は世を救う 誠の力は世を救う』という宣伝歌であった。
宣伝使たちは諸方宣伝の旅の門出に当たって、祝いの宴を振舞われた。そして一行は世界に散って行った。
祝部神は祝宴もそこそこに一目散にヒマラヤ山をどんどんと下って行った。山麓では神人らが大勢集まって、飲めよ騒げよ、とウラル教の歌を歌っていた。
祝部神は負けじと宣伝歌を大声で歌い始めた。神人らはこの声に非常な苦痛を感じ、祝部神に打ってかかった。祝部神が追い詰められているところへ、ちょうど山を下りて来た天道別命、月照彦神らの一行が出くわした。
天道別命らも、一緒になって宣伝歌を歌い始めた。山麓の神人らは天道別命らにも打ってかかったが、被面布をかぶった宣伝使たちの姿はたちまち、見えなくなってしまった。
そうするうちに天に荘重な声があり、山麓の神人らを諭し、高山彦・高山姫に従って地教山に仕えるように、と聞こえた。神人らは驚き畏れ、ひれ伏して宣伝使たちに謝罪した。
そこへどこからともなく天の磐船が現れて、天道別命ら一行を乗せて天高く、東西南北それぞれの方向に姿を隠してしまった。