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文献名1霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻
文献名2第5篇 宇宙精神よみ(新仮名遣い)うちゅうせいしん
文献名3第33章 暗夜の光明〔233〕よみ(新仮名遣い)やみよのこうみょう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグサルヂニヤ島(サルヂニア島) データ凡例 データ最終更新日2018-07-23 13:25:42
あらすじ
船が打ち上げられたのは、地中海の牛島(サルヂニア島)であった。ここは、黄金水の霊から現れた玉のうち、竹熊に奪われなかった残りの瑠璃光の玉を、高杉別が従者・杉高に命じて密かに隠させた場所であった。

玉を島の頂上の岩石に隠し、その上にしるしの松を植えて杉高に守らせたのである。

先の天教山の爆発に際して、天空から十一個のうるわしい光輝の宝玉が瀬戸の海に落下した。海神はそれを杉高に奉ったため、牛島には十二個の宝玉が揃うことになったのであった。

これは玉を守る杉高の真心に感じて、国祖が賜ったものであった。後に、杉高は十二個の宝玉を奉じて高杉別とともに神業に奉仕することになる。

さて、暗中島に打ち上げられた神人らは、この苦境の中で、祝部神の歌う宣伝歌に感じてその意を悟り始めた。祝部神はさらに、改心を促す歌を歌った。

祝部神の歌が終わるとともに、朝日がさんざんと輝いた。牛雲別はこの苦難のうちに自らの非を翻然として悟り、酒を廃して祝部神に帰順した。

牛雲別は祝彦と改名し、杉高は杉高彦と名乗り、共に祝部神に付いて宣伝使となった。牛島の十二個の宝玉は天の磐船に載せられて、地教山の高照姫命のもとに送り届けられた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月11日(旧12月14日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年4月15日 愛善世界社版194頁 八幡書店版第1輯 586頁 修補版 校定版196頁 普及版84頁 初版 ページ備考
OBC rm0533
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本文  一行は先を争うて暗中摸索、島に駈上つた。山頂には一道の光明暗を縫うてサーチライトのごとく、細く長く海面を照らしてゐる。この島は地中海の一孤島にして牛島といひ、また神島、炮烙島と称へられた。現今にてはサルヂニア島と云ふ。またこの海を一名瀬戸の海と云ふ。
 かつて黄金水の霊より現はれ出でたる十二個の玉のうち、十個までは邪神竹熊一派のために、反間苦肉の策に乗ぜられ、竜宮城の神人が、その持玉を各自争奪されたる時、注意深き高杉別は、従者の杉高に命じ、その一個たる瑠璃光色の玉を、窃にこの島の頂上なる岩石を打ち破り、深くこれを秘蔵せしめ、その上に標示の松を植ゑ、杉高をして固くこれを守らしめつつあつた。
 しかるに天教山の爆発に際し、天空より光を放つて十一個の美はしき光輝を発せる宝玉、この瀬戸の海に落下し、あまたの海神は海底深くこれを探り求めて杉高に奉り、今やこの一つ島には十二個の宝玉が揃うたのである。かかる不思議の現象は、全く杉高がこの孤島に苦節を守り、天地の神命を遵守し、雨の朝、雪の夕にも目を離さず、心を弛めず、厳格に保護せしその誠敬の心に、国祖大神は感じ給ひて、ここに十一個の玉を下し、都合十二個の宝玉を揃へさせ、もつて高杉別および杉高の至誠を憫れませ給うたからである。これより杉高は高杉別と共に、この玉を捧持して天地改造の大神業に奉仕し、芳名を万代に伝へた。この事実は後日詳しく述ぶることにする。
 咫尺を弁ぜざる暗黒の夜に、辛うじてこの島に打上げられたる神人らは、あたかも地獄にて仏に会ひしごとく、盲亀の浮木に取着きしがごとく、死者の冥府より甦りたるがごとく、枯木に花の開きしがごとく、三千年の西王母が園の桃花の咲きしごとき嬉しさと感謝の念に駆られ、祝部神が暗中に立ちて、
『三千世界云々』
の歌を謡ふ声を蛇蝎のごとく忌み嫌ひし神人も、ここに本守護神の霊威発動して、天女の音楽とも聞え、慈母の愛の声とも響いた。神人らは一斉に声を揃へて、祝部神の後をつけ、
『三千世界一度に開く梅の花云々』
と唱へ出した。
 祝部神は、これに力を得て、又もや面白き歌を謡ひ始めた。
『世は烏羽玉の暗深く  罪さへ深き現世の
 神の不覚をとりどりに  深くも思ひめぐらせば
 海底深く棲む鱶の  餌食となすも食ひ足らず
 邪曲を助くる神心  深く悟りて感謝せよ
 海より深き神の恩  恩になれては又もとの
 深き泥溝にと投げ込まれ  奈落の底の底深く
 不覚をとるな百の神  神の恵は目の当り
 辺り輝く瑠璃光の  光は神の姿ぞや
 光は神の姿ぞや  牛雲別も角を折り
 心の雲を吹き払ひ  心の岩戸を押別けて
 神の光を称へかし  牛雲別を始めとし
 百の神人諸共に  心の暗を照らせよや
 心の暗の戸開けなば  朝日眩ゆき日の光
 汝が頭上を照らすべし  朝日の直刺す一つ島
 夕日の輝く一つ松  常磐の松のその根本
 千代も動かぬ巌の根に  秘め置かれたる瑠璃光の
 玉の光にあやかりて  心の玉を磨くべし
 三千世界の珍宝  この神島に集まりて
 十二の卵を産み並べ  松も千歳の色深く
 枝葉は繁り幹太り  空に伸び行く杉高の
 功績をひらく目のあたり  高杉別の誠忠も
 共に現はれ北の島  蓬莱山も啻ならず
 この神島は昔より  神の隠せし宝島
 宝の島に救はれて  跣裸で帰るなよ
 神より朽ちぬ御宝を  腕もたわわに賜はりて
 叢雲繁き現世の  万のものを救ふべし
 われと思はむ神等は  われに続けよ、いざ続け
 言触神の楽しさは  体主霊従の小欲に
 比べて見れば眼の埃  埃の欲に囚はれて
 眼も眩み村肝の  心曇らせ暗の夜に
 暗路を迷ふ海の上  心の波をなぎ立てて
 この世を造り始めたる  神の御息の風を吸ひ
 酸いも甘いも弁へて  この世を救ふ神となれ
 神の力は目のあたり  辺り輝く瑠璃光の
 光は神の姿ぞや  光は神の姿ぞや
 東雲近き暗の空  やがて開くる常磐樹の
 松の根本に神集ひ  千代万代も動ぎなき
 堅磐常磐の松心  この松心神心
 神の心に皆復れ  神の心に皆復れ
 かへれよ復れ村肝の  心に潜む曲津神
 大蛇や金狐悪鬼共  国治立の大神の
 御息の気吹に吹払ひ  払ひ清めて神の世を
 待つぞ目出度き一つ松  心一つの一つ島
 心一つの一つ島  一二三四五六七八九十
 百千万の神人よ  百千万の神人よ
 それ今昇る東の  空見よ空には真円き
 鏡のやうな日が昇る  心の鏡明かに
 照らして耻づること勿れ  ああ惟神々々
 みたま幸はひましませよ  三千世界の梅の花
 一度に開く松の世の  松に千歳の鶴巣喰ひ
 緑の亀は此島に  泳ぎ集ひて神の代を
 祝ふも目出度き今日の空  千秋万歳万々歳
 千秋万歳万々歳
 ヨイトサ、ヨーイトサ、ヨイヨイヨイトサツサツサ』
と祝部神の歌終ると共に、東天紅を潮して天の岩戸の開けし如く、日の大神は東の山の上に温顔を現はし、一つ島の神人らをして莞爾として覗かせ給うた。
 ここに牛雲別は、危機一髪の神の試練に逢ひ、翻然としてその非を悟り、断然酒を廃し、かつ三千世界の宣伝歌を親のごとくに欣仰し、寸時も口を絶たなかつた。牛雲別は祝部神に帰順し、祝彦と名を賜はり、杉高はまた杉高彦と改名し、ここに三柱は相携へて、大神の宣伝使となつた。
 しかして、この十二個の宝玉は、天の磐船に乗せ、玉若彦の神司をしてこれを守らしめ、地教山の高照姫命の御許に送り届けられた。惟神霊幸倍坐世。
(大正一一・一・一一 旧大正一〇・一二・一四 外山豊二録)
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