祝部神は、めそめそする奴は大嫌いだ、と言い放つと、杉高彦、祝彦とともに面白歌を歌って踊り始めた。
その歌は、鷹住別と春日姫の仲をからかう滑稽な歌であった。この面白い歌に車上の鷹住別は思わず立ち上がって足を踏みとどろかせて一緒に舞い踊った。
鷹住別の足が立ったのを見て、春日姫はうれし泣いた。祝部神はまた、泣く奴は大嫌いと言って面白い歌を歌って踊り、溝の中に落ちた。落ちながらもまだ歌い踊っていた。
その様を見て一同はどっと笑い転げた。難病の足が治ったのも、ひとえに笑いと勇みの効果である。
天地の間のことはすべて、言霊によって左右されるものであれば、笑い勇んで暮らすべきである。万物の霊長と生まれた人間が、この世を呪い悲しむべきではない。この世を怒り憂い悲しむ禍津の心を取り直し、いかなる大難にあっても決して悔い悲しむべきではない。
勇めば勇むだけ神徳が備わるべき人間として生まれさせられているのである。