一同は身を清めて立派な衣服を身に着け、天津祝詞を奏上した。そして美山彦を縛り上げると宣伝歌を歌った。美山彦は宣伝歌を耳にしてしきりに苦しみを覚えた。
美山彦は無念の歯噛みをなして悔しがったが、縄は強くいかんともすることができなかった。
また、大広間では一同の部下も酒に酔ったところを春日姫、春姫に縛られて、叫喚の声を発していた。
宣伝使たちは宣伝歌を歌うと、縛られた邪神の部下たちは苦しみ転げまわった。春日姫は鬼熊彦に向かって、常世城の蚊取別ではないか、と問い詰めると、果たして縛られたままに白状した。
一行はさらに宣伝歌を歌って皆に憑依していた邪神を退去させると、縄を解いた。鬼城山の面々は両手を合わせてひざまずき、宣伝使たちに神恩を感謝した。
美山彦は天教山への帰順を誓った。宣伝使たちは鬼城山を下ると、ナイヤガラの瀑布に身を清め、ふたたび諸方に遍歴を続けた。