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文献名1霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻
文献名2第1篇 山陰の雪よみ(新仮名遣い)さんいんのゆき
文献名3第7章 旭光照波〔257〕よみ(新仮名遣い)きょっこうしょうは
著者出口王仁三郎
概要
備考
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あらすじ
鬼城山にて四人の宣伝使が一同に解したのも、またく大神の経綸の糸によるものであった。一行はナイヤガラで禊を済ませると、東西南北に散っていった。

宣伝使はあくまで同行者なく、他人を杖につくことは現に戒めなければならない。山野河海を跋渉し、あらゆる艱難辛苦をなめて身魂を練磨して、神明の命じた天職を喜んで尽くすべきものである。神を力に、誠を杖に、悪魔を言向け和すものである。(宣伝使は一人旅ということが教えられている)

春日姫は常世の国を北東に進み、東岸に着いた。港には純白の真帆を揚げて入港してくるいっそうの船があった。船には、紫の被面布をかけた宣伝使が、へさきに直立していた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月17日(旧12月20日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年5月10日 愛善世界社版43頁 八幡書店版第1輯 647頁 修補版 校定版44頁 普及版19頁 初版 ページ備考
OBC rm0607
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本文  鬼大蛇虎狼や曲霊の  醜女探女の訪ひは
 峰の嵐か鬼城山  落ちゆく滝のナイヤガラ
 水音高き雄健びの  中に落ち合ふ四柱は
 神の御国を立てむとて  鬼の棲家を竜館
 荒ぶる神の訪ひも  松吹く風と変る世の
 汚れを流す河水に  禊ぐ身魂ぞ麗しき
 花の顔月の眉  焦眉の急を救はむと
 神の教への弥深き  谷に落ち合ふ宣伝使
 右に左に名残を惜しみ  別れの涙拭ひつつ
 東と西に立雲の  雲路を分けて月照彦の
 神の司や足真彦  春立ち初めし春日姫
 木々の梢は青々と  綻び初めし春姫の
 長閑けき胸も夢の間の  儚なき別れ暁の
 鐘の響きに撞き出され  歩みも慣れぬ旅の空
 岩根に躓き転びつつ  何処をあてとも長の旅
 常世の国の常闇の  荒野さまよふ痛ましさ
 ここに四人の宣伝使  神の御言を畏みて
 各も各もが独り旅  折角遇ひし四柱の
 厳の司の生き別れ  くつろぐ暇もナイヤガラ
 滝のごとくに流れ行く  淋しき山野を辿りつつ
 心の駒ははやれども  疲れはてたる膝栗毛
 歩みに難む姫御前の  心の空はかき曇り
 浪風荒き現世の  救ひの船と現はれて
 雲か霞か春日姫  花の姿を曝しつつ
 春とはいへどまだ寒き  霜の晨や雪の空
 月を頂き星を踏み  天涯万里の果しなき
 心淋しき独り旅  草を褥に木葉を屋根に
 やうやう浜辺に着きにけり。
 ここに四人の宣伝使がゆくりなくも、鬼城山の虎穴に入りて目出度く対面を遂げたるは、全く大神の経綸の糸に操られたるなるべし。四人の神司は仁慈の鞭を揮ひ、美山彦一派の邪悪を言向け和し、意気揚々として谷間を下り、音に名高きナイヤガラの大瀑布に禊を修し、ホツと一息つく間もなくなく涙の袖の生別れ、我が天職を重ンじて、東西南北に袂を別ちたるなり。総て大神の宣伝に従事するものは飽迄も同行者あるべからず。他人を杖につくやうな事にては、到底宣伝者の資格は無きものなり。山野河海を跋渉し、寒さと戦ひ、飢を忍び、あらゆる艱難辛苦を嘗め、吾が身魂を錬磨し、浮世の困苦を自ら嘗め、或は蛇の室屋に、或は蜂の室屋に出入して、神明の依さしたまへる天職を喜ンで尽すべきものなり。宣伝使に下したまへる裏の神諭に云ふ。
『汝ら神の福音を宣べ伝ふ時、前途に当つて深き谷間あり。後より、虎、狼、獅子などの猛獣襲ひ来り、汝を呑まむとする事あるも、少しも恐るる事なかれ。神を力に誠を杖に、寄せ来る悪魔を言向けやはせ。一人の旅とて恐るる勿れ、誠の神は誠ある汝を守り、汝の背後に付き添ひて太き功を立てさせむ。厳霊を元帥に、瑞霊を指揮官に直日の御魂を楯となし、荒魂の勇みを揮ひ、和魂の親みをもつて、大砲小砲となし、奇魂の覚りと、幸魂の愛を、砲弾または銃丸となし、よく忍びよく戦へ。神は汝と共にあり』
 神人茲に合一して、神と人との真釣合、神の勅を身に受けて、いよいよ高天原を伊都能売魂の神の命、荒磯の浪も鎮まる長閑さよ。春日姫は尊き神の守護の下に、夜に日をついて北東へ北東へと進みつつ、常世国の東岸に現はれける。
 天青く山清く、浪静かに紺碧の海面は大小無数の島嶼を浮べ、眼界遠く見わたす東の海面に金色の一字形の光は横に長く靉き、雲か浪かと疑ふばかり、その麗しきこと言語の尽す限りにあらず。ややありて浮び出でたるごとく、金色の太陽は浪を破り、雲を排し分け悠々と清き姿を現はしたまひ、その光は静かな海面をサーチライトのごとく照破して、金色の漣は広き海面に漂ふ。此方を目がけて純白の真帆を揚げ静かに寄せくる一艘の船あり。見れば紫の被面布をかけたる宣伝使は船の舳に直立し、白扇を高くさしあげて、何事か謡ひつつ船は岸辺に刻々と近寄り来たりぬ。
(大正一一・一・一七 旧大正一〇・一二・二〇 加藤明子録)
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