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文献名1霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻
文献名2第5篇 一霊四魂よみ(新仮名遣い)いちれいしこん
文献名3第28章 身変定〔278〕よみ(新仮名遣い)みかえる
著者出口王仁三郎
概要
備考この章の大半を占める「言霊学釈歌」は、『神霊界』大正7年(1918年)7月1日号に掲載され、大正9年(1920年)5月21日号にも再掲された。
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-05-06 01:38:20
あらすじ
諾冊二尊は陰陽水火の呼吸を合して七十五声を鳴り出したまい、スの言霊でこれを統一した。七十五声の中でも五大父音を、立花の小戸という。

祝詞に『筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に御禊ぎ祓い給う時に生坐る』とあるのは、このアオウエイの五大父音によって、以下の七十五声を生み出し、新陳代謝の機能である祓戸四柱の神を生み成して、宇宙の修祓神としたことを表しているのである。

五大父音を地名に当てると、アは天=アジヤ、オは地=オーストラリヤ、ウは結び=アフリカ、エは水=エウロッパ、イは火=アメリカ、となる。そしてこれら五大大陸はすべて、アに返る。

七十五声はすべて、アオウエイのどれかに返り、アオウエイはすべてアに返るので、言霊学上は、アに当たるアジヤにすべてのものは統一されるべき、ということになるのである。

アとウの大根源はスである。ス声が凝結した至粋至純の神国は、すなわち皇御国である。諾冊二尊は天地の修理固成のために、アオウエイの五大父音の言霊によったが、スの言霊が凝結する神国の水火は、もっとも円満晴朗である大神そのままの正音を使用することができたのである。

神が神力を発揮するときは、言霊の武器を使うのである。古書には「ミカエル」の言霊の威力が示されている。ミカエルの言霊をもっとも完全に使用することができる神人は、スの言霊が凝った皇御国から出現するはずなのである。

ミカエルとは、天地人、現幽神の三大界(=ミ)を立替える神人、という意味である。また、男体にして女霊の活用をなし、女体にして男霊の活用をなす神人を、「身変定(ミカエル)」というのである。

ここに七十五声の言霊の活用および結声の方法について、言霊の釈歌を添付する。

五大父音については、主神による天地創造と三元八力との関連性が歌いこまれている。また、諾冊二尊による天地修理固成の過程が、言霊学的に説明されている。

その後、諾冊二尊による国生み島生みが、マ行までの音と、半濁音・濁音と結び付けられて歌によって解釈されている。

ワ行とヤ行は、各言霊の精神的な働きが神名と結び付けられて解釈されている。

ワ行ヤ行の十柱の神々、十の声の精神的作用は、いわゆる大八嶋国の活用、つまり世界的経綸の活機を顕す本能を、生まれながらに持っている言霊である、と説明されている。
主な人物 舞台 口述日 口述場所 筆録者 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年5月10日 愛善世界社版157頁 八幡書店版第1輯 685頁 修補版 校定版158頁 普及版64頁 初版 ページ備考
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本文  ここに二柱の大神は陰陽水火の呼吸を合して、七十五声を鳴り出し給ひ、スの言霊を以て之を統一し給ふ事となりぬ。
 而してこの七十五声の父音を、立花の小戸と云ふ。祝詞に、
『筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に御禊ぎ祓ひ給ふ時に生坐る』
とあるは、このアオウエイの五大父音より、以下の七十声を生み出し、新陳代謝の機能たる祓戸四柱の神を生み成し給ひて、宇宙の修祓神と為し給ひたるなり。
 而してこの五大父音を地名に充つれば、
 『ア』は天にして『アジヤ』の言霊となり
 『オ』は地にして『オーストラリヤ』の言霊となり
 『ウ』は結びにして『アフリカ』の言霊となり
 『エ』は水にして『エウロツパ』の言霊となり
 『イ』は火にして『アメリカ』の言霊となる。
 而して『アジヤ』は『ア』と返り、『オーストラリヤ』はまた『ア』に返り、『アフリカ』また『ア』に返り、『エウロツパ』又『ア』に返り、『アメリカ』又『ア』の父音に返る。
 その他の七十声は何れも『アオウエイ』の五大父音に返り来るなり。
 この理に依りて考ふるも、『アオウエイ』の大根源たる『アジヤ』に総てのものは統一さる可きは、言霊学上自然の結果なり。而て『ア』は君の位置にあるなり。
 而て『ア』と『ウ』との大根源は、『ス』より始まるなり。『ス』声の凝結したる至粋至純の神国は、即ち皇御国なり。
 二神は先づ天地を修理固成する為に、『アオウエイ』の五大父音立花の小戸の言霊に依りて、一切の万物を生み成し給ひ、而て『ス』の言霊の凝結せる神国の水火は最も円満清朗にして、大神其ままの正音を使用する事を得るなり。
 その他の国々の言霊のやや不完全なるは、凡て『ア』とか『オ』とか『ウ』又は『エ』『イ』等の大父音に左右せらるるが故なり。
 神の神力を発揮し給ふや、言霊の武器を以て第一となし玉ふ。古書に『ミカエル一度起つて天地に号令すれば、一切の万物之に従ふ』といふ意味の記されあるも、『ミカエル』の言霊の威力を示したるものなり。而てこの『ミカエル』の言霊を、最も完全に使用し得る神人は『ス』の言霊の凝れる皇御国より出現すべきは当然なり。
 『ミカエル』とは天地人、現幽神の三大界即ち三を立替る神人の意味なり。詳しく云へば、現幽神三つの世界を根本的に立替る神人、といふ意味なり。
 また男体にして女霊の活用を為し、女体にして男霊の活用を為す神人を称して『身変定』といふ。
 ここに七十五声の言霊の活用、及び結声の方法に就き、言霊の釈歌を添付する事となしたり。

言霊学釈歌
    ○
 久方の天之御中主の神は  五十鈴川の⦅ス⦆ごゑなりけり
    ○
 あのこゑは我言霊の上よりは  宇比地邇神須比地邇神
    ○
 おのこゑは我言霊の上よりは  角杙神活杙神
    ○
 うのこゑは我言霊に照らし見て  大戸之道神大戸之辺神
    ○
 えのこゑの其言霊を調ぶれば  面足神惶根神
    ○
 いのこゑは言霊学の助けより  伊邪那岐神伊邪那美神
    ○
 あのこゑの活動なすは須比地邇の  神の保てる本能なりけり
    ○
 おのこゑの活動するは活杙の  神の表はす本能なりけり
    ○
 うのこゑの活動保つは大戸之辺  神の表はす本能なりけり
    ○
 えのこゑに万の物の開くるは  阿夜訶志古泥の神の御本能
    ○
 いのこゑの活動なすは伊邪那美の  神の御言の本能なりけり
    ○
 喉頭、気管、肺臓なぞの活用は  国常立の神言守れる
    ○
 口腔口唇、口蓋等の発音の  根本機関は豊雲野神
    ○
 日の本の国の語の源は  只五声の竪端の父音
    ○
 多陀用幣流国といふ意義はあおうえい  五声父音の発作なりけり
    ○
 久方の天の沼矛と云ふ意義は  言語の節を調ふ舌なり
    ○
 立花の小戸のあはぎが原に鳴る  おこゑを天の浮橋といふ
    ○
 塩許袁呂、許袁呂邇画鳴す其意義は  おとをの声の活用を云ふ
    ○
 数音を総称ふるを島といふ  淤能碁呂島はをこゑなりけり
    ○
 あおうえい素の五つの父声を  天之御柱神と総称す
    ○
 宇宙に気体の揃ひ在る意義を  我言霊に八尋殿といふ
    ○
 鳴々而鳴合はざるはあの声ぞ  鳴余れるはうこゑなりけり
    ○
 うあのこゑ正しく揃ひて結び合ひ  変転するは美斗能麻具波比
    ○
 うあの声結びてわ声に変化くは  阿那邇夜志愛上袁登古袁といふ
    ○
 えあの声結びてや声に変化くは  阿那邇夜志愛上袁登売袁といふ
    ○
 女人先言不良と言へる神文を調ぶれば  以前の方法形式で
 言霊発達せざるてふ  意義の大要含むなり
    ○
 久美度邇興而子蛭子  生むはわ声を母音とし
 あ行烏えいを父音とし  わ烏の二声を結び付け
 わ行のう声に変化為し  わゑの二声を結び付け
 わ行のゑ声に変化為し  わいの二声を結び付け
 わ行のゐ声に変化為し  次にや声を母音とし
 あ行お烏えい父音とし  結声変化す意義ぞかし
 やおの二声を結び付け  や行のよ声に変化為し
 や烏の二声を結び付け  や行のゆ声に変化なし
 やえの二声を結び付け  や行の延声に変化為し
 やいの二声を結び付け  や行のい声の変化為す
 この言霊の活用を  久美度邇興而と称ふなり
    ○
 子蛭子生むとふ神文は鳴出る  声音の等しき意義にして
 あ行お声とわ行のを声  あわの行なる烏声とうの神声
 あわやの行のゑ衣延と  いゐ以の声の異性にて
 同声音の意義ぞかし  是ぞ蛭子を産むといふ
    ○
 布斗麻邇爾卜相而詔といふ意義は  あ行烏声の活用ぞかし
    ○
 淡道之穂之狭別島といふは  烏うゆ⦅む声⦆と結ぶ言霊
 伊予之国二名島といふ意義は  母音む声にいを結び
 み声に変化しむゑ結び  め声に変化しむおを結び
 も声に変化しむあを結び  まごゑに変化す此故に
 むごゑの父音みめもまの  四声に変化を身一而
 面四有と称ふなり
    ○
 みのこゑの其言霊の活用を  伊予国愛比売と謂すなり
    ○
 めのこゑの其言霊の幸ひを  讃岐飯依比古と謂ふ
    ○
 ものこゑの其言霊の助けをば  阿波国大宜津比売と謂ふ
    ○
 まのこゑの其言霊の照る時ぞ  土佐国健依別と謂ふ
    ○
 惟神其名の如く性能の  等しく易るを国と謂ふなり
    ○
 むのこゑにうゆを結びてふの声に  変化を隠岐之三子嶋と謂ふ
    ○
 ふのこゑに天之御柱結び付け  はほふへ四声に変化をば
 天之忍許呂別と謂ふ
    ○
 筑紫島生むと言ふ意義は  はの行のふこゑ烏こゑと結声し
 ぷごゑに変化言霊也  是のぷ声にいえおあの
 四声を漸次に結声し  ぴぺぽぱ四ごゑに変化なす
    ○
 ひのこゑの意義の言霊調ぶれば  筑紫の国の白日別と謂ふ
 ぺのこゑの意義の言霊調ぶれば  豊国豊日別と謂ふなり
    ○
 建日向、日豊久士、比泥別と謂ふは  ほ声の言霊の意義なりけり
    ○
 ぱのこゑの意義の言霊調ぶれば  熊曽の国の建日別なり
    ○
 伊岐嶋、比登都柱と謂ふ意義は  ぷごゑに烏ごゑを結び成し
 ふごゑに変化しふのこゑに  天の御柱あおうえい
 是の素音を結声し  はほへひ四声の言霊に変化せしむる意義なり
    ○
 津嶋天之狭手依比売と謂ふは  ふごゑに烏ごゑを結び付け
 すごゑに変化しあおうえい  是の素音を結声し
 さそすせ四ごゑに変化る意義
    ○
 佐渡島を生むてふ意義を調ぶれば  すごゑにうごゑを結声し
 すごゑに変化なさしめて  之に素音を結声し
 さ行をざ行に変化する  言霊上の意義なり
    ○
 大倭秋津嶋生むといふは  にりちの父音の言霊を
 生み出したる意義にして  な行にごゑはじい二声
 結声変化しりのこゑは  しいが結声変化為し
 た行ちごゑはひい二声が  結声変化を為す意義ぞ
    ○
 天御虚空豊秋津根別といふ意義は  ちりにの父音に久方の
 天之御柱あおうえい  素音を結声変化して
 たらな三行を結声し  変化せしむる意義ぞかし
    ○
 意義深きわ行や行の言霊は  先所生大八島国
    ○
 吉備児島建日方別と謂ふ意義は  ちじの二声を結声し
 ちごゑに変化し久方の  天の御柱あおうえい
 素音を結ぶ言霊ぞかし
    ○
 小豆島大野手上比売と謂ふ意義は  ぢいの二声を結声し
 ぎこゑに変化し久方の  天の御柱あおうえい
 素音を結ぶ言霊ぞかし
    ○
 大嶋や大多上麻流別と謂ふ意義は  ぎいの二声を結び成し
 きごゑに変化し久方の  天の御柱あおうえい
 素音を結ぶ言霊ぞかし
    ○
 女嶋天一根と謂ふ意義は  か行の音韻かこくけき
 天地貫通の言霊ぞかし
    ○
 知訶嶋天之忍男と謂ふ意義は  が行の音韻がごぐげぎ
 天機活動を起す言霊
    ○
 両児嶋天両屋の言霊は  た行の音韻だどづでぢ
 造化発作を起す意義なり
    ○
 わ行をごゑの言霊の精神的の活用を  大事忍男之神と謂ふ
    ○
 わ行井ごゑの言霊の精神的の活用を  石土毘古の神と謂ふ
    ○
 や行ゐごゑの言霊の精神的の活用を  石巣の比売の神といふ
    ○
 わ行の言霊わをうゑゐ精神的の活用を  大戸日別之神といふ
    ○
 わ行うごゑの言霊の精神的の活用を  天之吹男神といふ
    ○
 や行の言霊やよゆえい精神的の活用を  大屋毘古之神といふ
    ○
 や行よごゑの言霊の精神的の活用は  風木津別之忍男神なり
    ○
 や行ゆごゑの言霊の精神的の活用を  大綿津見の神と言ふ
    ○
 わ行衣ごゑの言霊の精神的の活用を  速秋津彦の神と謂ふなり
 や行延ごゑの言霊の精神的の活用を  速秋津姫の神といふ
(以上六十五首)
 大事忍男神より以下速秋津姫神まで、十神十声の精神的作用は所謂大八嶋国の活用、即ち世界的経綸の活機を顕はす本能を享有する言霊なり。
(第二七章~第二八章 昭和一〇・二・一三 於田辺分苑 王仁校正)
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