日の出神は、自分は神伊弉諾大神の落胤である、と名乗った。
世の大立替に際して撞の大神は天の浮橋に立ち、その後天教山に下って八百万の国魂の神を生ませ給い、日の出神に命じて国魂神を間配られ給うのである、と説いた。そして、今後は自分の指示に従ってもらいたい、と八十熊別に諭した。
八十熊別は日の出神の説示を承知し、自分は国治立命の落胤で、高照彦であると正体を明かした。
高照彦は国祖御退隠の後は、八十熊別と名を変えて、阿弗利加の原野に都を造って時節を待っていたのだ、と明かし、日の出神に出会えた嬉しさに涙をこぼした。
日の出神はこのような地にも仕組みを用意していた神様の経綸に思いを致した。
豊日別は立ち上がり、扇を開いて松葉を左手に持ちながら、自ら歌い舞った。その歌で、自分は醜の曲霊に取り憑かれて虎転別と成り果ててはいたが、神素盞嗚大神の隠し給うた御子・豊国別神であることが明かした。
日の出神、高照彦はこの奇遇に神恩の深きを感謝し、国治立大神、豊国姫大神、伊弉諾大神、撞の御柱大神を鎮祭し、天津祝詞を奏上して宴を閉じた。
日の出神は、澄世姫命の神霊を鎮祭し、豊日別を豊の国の守護職に任命した。日の出神は高照彦、面那芸、祝姫とともに筑紫を指して進んでいった。
この島は身一つに面四つあり、豊国、肥国、熊襲国、筑紫国という。この四つの国を総称して、筑紫の洲という。