蚊々虎は喧嘩虎に殴られながら、平然として宣伝歌を歌っていた。群衆の中から喧嘩芳という男が現れ、喧嘩虎の加勢をして、蚊々虎に打ってかかった。
しかし酔いどれの喧嘩芳の棒切れは、間違えて喧嘩虎の頭に命中した。それが元で虎と芳は激しい喧嘩を始めてしまった。
蚊々虎は二人の間に割って入ったが、二人は再び蚊々虎に殴りかかる。蚊々虎はやはり平然として二人のなすがままにされている。群集は蚊々虎の忍耐強さを見て、三五教を口々に褒めたたえた。
そこへ淤縢山津見が高彦(荒熊)を従えて、宣伝歌を歌いながらやってきた。淤縢山津見は蚊々虎が血を流しているのを見て心配して声をかけるが、蚊々虎は『血をもって世界を洗うのだ』とにこにこしている。
高彦(荒熊)は声を張り上げて、自分の改心を引き合いに、群集たちに三五教への改心を呼びかけた。
群衆は悪名高い関守だった荒熊が三五教に改心して力ある言葉で人々に語りかけるのを聞き、三五教を褒めたたえるのであった。
淤縢山津見は中央の高座に登って三五教の教理を説き始めた。これよりこの群集の七、八分は一度に三五教の信者となった。たくさんの駱駝を宣伝使に送り、巴留の都行きを助けた。この村は滝の村という。