常世城の奥殿では、照山彦、竹山彦が間の国で三宣伝使捕縛の様子を、常世神王と鷹取別に報告していた。常世神王、鷹取別はご機嫌斜めならず、二人に慰労の言葉をかけた。
照山彦は感謝を述べ立てた。竹山彦は三五教の宣伝使は必ず見つけて御前に引き出して見せよう、と意気を露にしたが、広国別が常世神王の影武者になっていることを非難し、照山彦が得意そうに功名を誇っている様を笑い飛ばした。
照山彦は立ち上がり、固虎にすぐに三宣伝使を引き出してつれてくるようにと催促した。すぐに連れて参ります、という固虎の声がしたかと思うと、たちまちあたりは暗黒となり、暴風が吹きすさんだ。
突然、暗黒の中に毬のような一個の玉が現れた。玉は光は発さないが、赤、白、黄色、紫と色を変じながら、照山彦の頭に向かってポンと突き当たった。
照山彦はアイタタ、と叫んでうつぶせに倒れた。玉は照山彦の頭をつきながら跳ねている。玉を打とうとした鷹取別は、仰向けに倒れてしまった。
今度は玉は鷹取別の頭をついて跳ねはじめた。すると鷹取別の体は硬直してしまった。次に玉は常世神王の額に向かって衝突し、高座から打ち倒した。
竹山彦は玉に向かって、悪神退散の言霊を発した。すると玉は姿を消し、猛り狂った風も止んだ。竹山彦は銀燭に火を灯した。玄関には、松・竹・梅の三宣伝使を伴い来た固虎が、腰を抜かしていた。
竹山彦は、松・竹・梅の三姉妹に、常世神王、鷹取別、照山彦の介抱を命じた。たちまち辺りは馥郁たる香りに包まれ、喨々たる音楽が聞こえてきた。
常世神王、鷹取別、照山彦は三姉妹に介抱されて痛さも忘れ、悦に入っている。これ以降、三姉妹と竹山彦は常世神王に重用され、重要な決定には必ず参画するほどになった。