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文献名1霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻
文献名2第1篇 千軍万馬よみ(新仮名遣い)せんぐんばんば
文献名3第4章 鬼鼻団子〔434〕よみ(新仮名遣い)きびだんご
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-07-15 18:16:04
あらすじ
松、竹、梅の三姉妹は、常世神王(広国別による影武者)の覚えめでたく、側近く仕えることになった。竹山彦も昇格し、鷹取別と同列の大臣扱いとなった。

松代姫は、ロッキー山に現れた伊弉冊命様を慕って常世国へ宣伝にやってきた、と言うと、常世神王は、伊弉冊命はロッキー山でウラル教を開いたのだ、としたり顔に偽りを言う。

そこへ、ロッキー山の使いとして、美山別と国玉姫がやってきた、という報せが届いた。常世神王は、鷹取別に神使と面会するよう命じると、自分は三姉妹を従えて寝殿に下がって休んだ。

鷹取別、竹山彦、遠山別の三人は神使に面会したが、ロッキー山の伊弉冊命の命令は、松・竹・梅の三姉妹をロッキー山に差し出せ、というものであった。
主な人物 舞台常世城 口述日1922(大正11)年02月19日(旧01月23日) 口述場所 筆録者河津雄 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年8月20日 愛善世界社版32頁 八幡書店版第2輯 401頁 修補版 校定版35頁 普及版14頁 初版 ページ備考
OBC rm1004
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本文  皮膚滑かにして雪の如く、肌柔かにして真綿の如く、眼の潤ひ露の滴る如く、優しみの中に何処となく威厳の備はる三人の娘、天津乙女の再来か、さては弥生の桜花、臥竜の松か雪の竹、鶯歌ふ梅ケ香の、春の衿を姉妹の、松、竹、梅の宣伝使、四辺眩き銀燭の、光に照りて一入の、その麗しさを添へにける。常世神王は御機嫌斜ならず、三人の娘を左右に座らせ、満面笑を湛へながら、
『見れば見る程優しき女の姉妹連れ、ウラル教の最も盛んなる常世の国に、三五教を宣伝せむと、華々しく進み来るその勇気には感じ入つたり。さりながら、常世の国はウラル教の教を以て国是となす。万民これに悦服し、その神徳を讃美渇仰す。然るに、主義精神全く相反せる三五教を此地に布くことあらむか、忽ち民心離反して、挙国一致の精神を破り、天下の争乱を惹起せむは、火を睹るよりも明かなれば、常世の国は三五教の宣伝を厳禁せり。然るに繊弱き女の身を以て、雄々しくも我国に入り来り宣伝歌を歌ふは、天下擾乱の基を開く大罪人なれば、汝等姉妹を厳刑に処すべきは、法の定むる処、さりながら汝等姉妹三人は、吾等が危急を救ひたる其功に愛で、今迄の罪を赦し、殿内の一切を任せ、わが身辺に侍して、家事万端の業務に尽さしめむ』
と厳命するにぞ、松代姫は莞爾として、常世神王に向ひ、羞かしげに花の唇を開き、
『実に有難き御仰せ、世事に慣れざる不束者の妾姉妹を、畏れ多くも殿内に止めさせ給ふは、暗中に光明を得、盲亀の浮木に逢へるが如き身の光栄、慎んでお受け致します』
と、言葉淀みなく述べ立てたり。
『ヤア、松、竹、梅の宣伝使様、貴女方は天地赦すべからざる大罪人なりしに、今日只今よりは、常世神王が掌中の玉、女御更衣にも、ずつと優れたお局様。吾々は今後は貴女様の御指揮を仰ぎ奉る。何分粗暴極まる竹山彦、御遠慮なく宜敷く御叱り下さいませ』
と敬意を表しける。鷹取別は鼻をフガフガ云はせながら、
『ヤア、目出度いめでたい、お祝ひ申す、三人のお局様、如何に出世をしたと言つて、鼻を高くしてはなりませぬぞ。何と言つても、常世神王の宰相は此の鷹取別、如何に勢力を得ればとて、この鷹取別を除外する事はなりませぬ』
『アハヽヽヽヽ、ヤア、今迄は鷹取別様の家来となつて居た竹山彦、今日より常世神王のお言葉に依りて、直々の家来、最早貴下の臣下では御座らぬ。貴下は吾々の同僚と心得られよ。斯く申す竹山彦の顔の真中なるこの鼻は、何時とはなしに、ムクムクと高くなつた心持が致す。それに引替へ、貴下は火の玉に鼻を突かれ、平素の鼻の鷹取別も、お気の毒千万、柿のへたのやうに潰挫げて終つて、両方の頬辺にひつ附き申した。これからは鼻の低取別となつて、今迄の傲慢不遜の態度を改められよ。さてもさても鼻持ならぬ御顔だなア、ワハヽヽヽヽ』
 常世神王は打解け顔、
『松代姫にお尋ね申したき事がござる。貴女方は孱弱き女の身を以て、この常世の国に宣伝すべく御出でになつたのは、何か深い様子が御座らう。包まず隠さず仰せられたし。斯くなる上は、何の隔てもなければ、心置きなく事実を述べられたし』
と問ひかくる。松代姫は言葉も軽々しく、
『ハイ、妾姉妹三人の者、艱難苦労を嘗めて常世の国に参りしは、余の儀では御座いませぬ。畏れ多くも三五教の守護神、神伊弉冊命様、日の出神様、ロッキー山に現れますと承はり、お跡慕ひて参りました。郷に入つては郷に従へとかや、妾はこれより三五教を棄て、常世神王の奉じ給ふウラル教に帰依いたします。然しながら、伊弉冊命様にも、日の出神様にも、矢張り三五教をお開きで御座いませう』
『イヤ、伊弉冊大神、日の出神は、ロッキー山に宮柱太敷き立てウラル教を開き給ふぞ』
と、したり顔に述べ立つる遠山別の抗弁いと怪し。この時門番の蟹彦は、畏る畏る此の場に現はれ、
『鷹取別の司に申上げます。唯今ロッキー山より、美山別命、国玉姫と共に、御使者として御来城、別殿に御休息せられあり。如何致しませうや』
『吾は是より寝殿に入つて休息せむ。鷹取別よ、ロッキー山の神使の御用の趣、しかと承はり、わが前に報告せよ。松、竹、梅の三人の局来れ』
と云ひつつ、常世神王は三女と倶に寝殿指して悠々と進み入る。鷹取別は蟹彦に向ひ、
『汝は別殿に於て、美山別、国玉姫の御上使に向ひ、速かに此場に御出場あらむ事を申伝へよ』
『委細承知致しました』
と顔を上げる途端に、鷹取別の顔を眺め、
『ヤア、貴方様、その鼻は如何なさいました。ハナハナ以て合点の行かぬ御鼻、一割高い鷹取別の天狗鼻も、今は殆ど柿のへた同様でございますなア。余り慢心致して、鼻ばかり高う致すと、艮の金神が現はれて、鼻を捻折つて潰挫いで終ふぞよと、三五教とやらの教ふるとか聞きました。真実に貴方の鼻は、へしやばつて、穴も碌に見えませぬ。鼻の穴ない教ではございませぬか』
『何馬鹿申す、速かに別殿に報告致せ』
『これはこれは、失礼致しました。ハナハナ以て不都合千万、平た蟹になつて謝罪ります。何卒カニして下さいませ』
と蟹彦は馬鹿口を叩きながら、この場を立出で独言、
『何だ、折角美人が来たから、このお使を幸に、美しいお顔を拝みたいと思つて居たのに、アタ面白うもない、鷹取別の潰れ面や、照山彦の禿頭を見せつけられて、エエ胸糞の悪い事だワイ。二つ目には竹山の火事のやうに、ポンポンと吐かしよつた鷹取別、何の醜態だい、甚だ以て人気の悪い面付だぞ』
 斯かる処へ現はれ出でたる固虎は、
『オイ、蟹彦、今貴様は何を言つて居つたか、天に口あり壁に耳だ。チヤンと此固虎さまのお耳に這入つたのだ。鷹取別様に言上するから、覚悟を致せ』
『ヤアヤア、痩児に蓮根とは此事かい。固虎奴が何時の間にか聞きよつて……貴様は聞かねばならぬ事は一寸も聞かず、聞かいでもよい事はよく聞く奴だ。言はねばならぬ事は一寸も能う吐かさず、言はいでもよい事はベラベラと喋りたがるなり、困つた奴だ。が貴様が鷹取別様に言ふなら言つてもいい。その代りにこの蟹彦も堪忍ならぬ。貴様は最前、中門の傍で、三人の娘を魔性の女だと言つてゐたであらうがな。チヤンとこの蟹彦が聞いてゐるのだ』
『オイ、もうこんな事は為替だ為替だ、互に言はぬ事にしようかい。又屑が出ると互の迷惑だからなア』
『態見やがれ、固虎の野郎、ガタガタ慄ひしよつて、他人を呪へば穴二つだ。二つの穴さへ滅茶々々になつた。鷹取別の鼻の不態つたら、見られた醜態ぢやありやアしない。ヤア、ガタ虎、貴様も来い』
と肩肘怒らし、横に歩いて別殿に進み入つた。蟹彦、固虎の両人は恐る恐る別殿に進み入り、右の手を以て頭を幾度となく掻きながら、
『これはこれは、御上使様、長らくお待たせ致しました。サア、案内致しませう、奥殿に……』
と云ひながら先に立つて手を振り、怪しき歩み恰好の可笑しさ。殊に蟹彦は腰を曲げ、尻を一歩々々、プリンプリンと振りつつ行く。美山別、国玉姫は悠々として奥殿に進み入り、正座に着き、
美山別『オー、常世城の宰相神、鷹取別とはその方なるや』
『ハイ、仰せの如く、吾は鷹取別でございます』
『ヤア、貴下の顔は如何なされた。少しく変ではござらぬか』
『ハイ……』
 竹山彦は恭しく、
『これはこれは御上使様、よく入来せられました。今迄は鷹取別、今日よりは鼻の高きを取り、低取屁茶彦と改名致しました』
 鷹取別は鼻をフガフガ言はせながら、何事か言はむとすれども、声調乱れて聞き取り得ざるぞ憐れなる。
『何はともあれ、伊弉冊大神の御神勅、慥に承はれ。常世の国に渡り来る松、竹、梅の宣伝使は、間の酋長春山彦の家に隠匿はれ居ると聞く。汝は速かに捕手を遣はし、彼ら三人を生擒にして、一時も早くロッキー山に送り来れよとの厳命』
と厳かに言ひ渡す。美山別の言葉に蟹彦は、
『モシモシ美山別の御上使様、その松、竹、梅の三人は既にすでに常世神王の御居間に……』
遠山別『シーツ、蟹彦、要らざる差出口……門番の分際として何が解るか。汝らの口出すべき場所でないぞ、退り居らう。……これはこれは御上使様、鷹取別は御覧の通り言語も明瞭を欠きますれば、次席なる遠山別が代つてお受け申さむ。御上使の趣、委細承知仕りました。一日も早く三人の娘を生擒にし、お届け申さむ』
『早速の承知、満足々々、大神におかせられても、嘸御満足に思召すらむ。さらば某は、急ぎロッキー山に立帰らむ。常世神王に委細伝達あれよ』
と言ひ棄て、数多の家来を引連れ、馬上裕に揺られながら、国玉姫と諸共に門外さして帰り往く。蟹彦は美山別の後を追駆けながら、
『モシモシ御上使様、遠山別のトツケもない言葉に欺されぬやうになされませや。慥にこの蟹彦が、何もカニも承知致して居ります』
と、皺枯声に叫べども、蹄の音に遮られ、美山別は耳にもかけず、足を早めて雲を霞と帰り行く。
(大正一一・二・一九 旧一・二三 河津雄録)
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