黄泉島の戦場で、神軍の言霊に戦意を喪失していた魔軍は、ロッキー山の伊弉冊命(=大国姫)自らの出陣を聞いて、再び勢いを盛り返し始めた。
このとき日の出神は黄泉比良坂の上に立ち、天地神明に祈りを捧げると、大火球となって魔軍の前後左右を唸りを上げて飛び回り始めた。
魔軍は神光に照らされて化石のごとく強直してしまった。
正鹿山津見は進み出て、魔軍に降伏を諭す宣伝歌を歌い始めた。そして大国姫に対して、幽界に出て黄泉醜女を言向け和し、幽界に落ち行く魂を和める役割をなせ、黄泉の神となれ、と呼びかけた。
大国姫はこの歌に感じ、黄泉の大神となって幽政を支配することとなった。ついに伊弉諾神の軍勢は、言霊によって魔軍を言向け和すことに成功し、天教山に凱旋した。
魔神たちは、そのまま行きながら悔改めて善道に立ち返るものもあり、また根底の国に落ち行きて、黄泉大神の戒めを受けて長い年月の苦しみを受け、その結果霊魂を清めて現界に生まれ変わり、神業に参加するものも多数あった、とのことである。