青雲の別の宣伝使こと天児屋根神司は、高彦と名を改めて、ウラル教の本拠であるアーメニヤに宣伝をなそうと、アルタイ山のふもとのクス野ケ原にやってきた。
日も暮れてきて、ここで一夜を明かそうとした高彦の前に、巨大な一つ目の怪物が襲いかかろうとしていた。
高彦は心静かに宣伝歌を歌い始め、次第に高唱すると、怪物は小さくなっていき、消えてしまった。見れば、怪しい影が雲別けて空に逃げていくのが見えた。
高彦は怪物を追い払って改めて寝ようとすると、何者か杖で体を打つ者がある。驚いて一喝すると、それは鉄谷村の時公だった。
鉄谷村の村長・鉄彦は、三五教の宣伝使となってアーメニヤに宣伝に赴いたが、村では鉄彦の奥方が病気になってしまい、時公はそのことを主人の鉄彦に伝えに、後を追いかけてきたのであった。
高彦は東彦と名乗り、時公と一緒にアーメニヤに向かうことになった。