神伊邪那岐大神の命によって、海原に漂う国を治めようと速須佐之男大神は、さまざまに心を砕いて、四天使を四方に使わして神人を教化せしめた。
しかし服する神人は少なく、荒ぶる神はそこかしこに湧き起こった。
日の出神や木花姫命のはたらきにより、一度は平らかに治まったが、その御世も夢のように過ぎ去って、再び曲津神の荒ぶ世の中になってしまった。
神素盞嗚大神は、地教山を出てコーカス山に現れ、正しい神人らを呼び集め、曲津神を言向け和そうとしつつあった。
磐楠彦の三人の息子・高光彦、玉光彦、国光彦は、神素盞嗚大神の命を受けて、筑紫島の豊の国の宣伝に赴いた。
邪神に憑依されたウラル彦は、鬼武彦ら白狐らに包囲され、ウラル山に押し込められて活動できずにいた。ウラル姫はコーカス山に根拠を定めようとしたが、神素盞嗚大神の勢力に奪われた。
曲津神たちはアーメニヤの都から四方八方に散り、世界各地で悪逆無道の限りを尽くすに至った。地上は闇に閉ざされ、各所に争いが起こった。
神素盞嗚大神は心を痛め、母神・伊邪那美大神の在す月界に還ろうとまで思いつめるまでに至った。