磐楠彦の三人の息子・高光彦、玉光彦、国光彦は、筑紫島に渡り、イホの都に宣伝歌を歌いながらやって来た。
三人はとある森林にやってきて、野宿に一夜の宿を取った。そこには小さな国魂神の祠があった。夜中ごろ、大勢の人が祠にやってくる物音がした。兄弟は目を覚まし、耳を傾けた。
一人の男が代表して神酒を献じ、何事か祈りを捧げた。続いて直会の宴になり、人々のざわめきが聞こえた。
兄弟たちが人々の話を窺っていると、天候不順で不作の村では、村人たちが酋長や長者の春公に不満を持ち、財産を開放するように要求していた。酋長や春公は、蓄えはまさかのときの備えであって、ここは耐えて生活をなんとかつないで凌ぐ時機だと説得している。
村人たちはほとんどがウラル教だったが、酋長と春公は三五教であることを自ら明かしていた。
村人の初公は、ついに強硬手段に出て、人々を率いて酋長と春公に襲い掛かった。