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文献名1霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻
文献名2第1篇 勝利光栄よみ(新仮名遣い)しょうりこうえい
文献名3第1章 言霊開〔527〕よみ(新仮名遣い)ことたまひらき
著者出口王仁三郎
概要
備考第13巻第1章「言霊開」は、『神霊界』大正10年(1921年)1月号p72「八面六峰」(著者名は「王仁」)内の「天岩戸」「鎮魂」「富士山」を再録したもの。「日本の光明」「皇道大本十曜神旗の由来」「霊力体」は第13巻総説に再録してある。
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-07-20 13:33:58
あらすじ
天の岩戸

誓約に勝った須佐之男の陣営は、勝ちに乗じて荒び暴れまわった。しかし天照大御神は見直し詔り直し、善意に解釈していた。

しかし機屋に天の斑駒の皮を落とし入れて神衣織女が亡くなった事件を契機に、天照大御神は天の岩屋戸の中に隠れてしまった。高天原も葦原の中津国も、常夜となり暗くなってしまった。災いがあちこちで起こった。

そこで八百万の神々は、思兼神を議長にして会議を開いた。石凝姥命に八咫の鏡を作らせ、玉の御祖命には八坂の勾玉を作らせ、天の児屋根命や太玉命には鹿の骨で占いを行わせた。そして祭祀の準備をさせた。これが顕斎のはじめである。

そして天之宇受売の幽斎によって、皇大神を岩屋戸から開き出だしたのである。

鎮魂

日出る国の国体が、他に優れて比類ない理由を、この国の民として究め覚らないわけにはいかない。

万世変わらぬ天津御祖の定めた皇大君のしろしめす国は、日本だけである。神代の昔、那岐那美の二尊が修理固成の大御神勅の実践により国を産み、青人草や山川・木草の神を生み、ついには天照大御神、月夜見大神、速須佐之男大御神をお生みになった。

伊弉那岐大神は、天照大神は高天原、月夜見大神は夜の食国、速須佐之男大神は大海原を治めるように、と言いつけた。

伊弉那岐大神は、首の八坂勾玉の五百津御魂美須麻琉を玉緒もゆらに取り揺らし、高天原を治めるべく日の大神に賜った。これがその魂を取り憑けて、日の神国の主宰神たらしめるという御術である。これが鎮魂のはじめであり、治国の道の要である。

天照大御神は、その神業を受け継いで、二二岐命に統治権を譲られた。その御しるしが、三種の神器である。これより代々の天皇は、その大御心を受け継いで即位の御制度となされた。

これが鎮魂の御徳であり、尊奉崇敬怠らずに神の御神威を仰ぐべきである。鎮魂の神業は、天津御祖が定めた顕幽不二の御法であり、上は治国平天下、下は修身斉家の基本である。

それだけでなく、この道は無形無声の霊界を明らかにする基礎でもある。

神の御国に住む人は、邪な道を捨てて、神術に心を清めて身をゆだねて、霊魂の活動を鍛えるべきである。

国家多端のこのときにあたり、神洲男子はやまと魂を世界に輝かし、天に代わって功績を立てよ。直霊を経となし、厳の魂を緯となして、八洲にわだかまる悪魔が亡ぶまで進め。

富士山

フジのフは、地球の中心から金剛力を持って火焔を噴出すこと。ジは火脈の辻であり、滲み出す言霊である。

フジの霊返しはヒであり、日であり霊である。いつまた活火山と復するかもしれない神山である。

言霊の活用を思考するとき、富士山とは大日本国の表徴にして、神国と神民がその最優秀なる天職を発揮して、世界の万国を教え救うという神国天賦の本能を現している。神霊の活用する神峯ということである。

富士山は、日本国の崇高なる意義を代わりに表した神の山なのである。

以上の数篇は、大正十一年一月号の神霊界に所載したものである。そのうち、神旗の由来、霊力体、天岩戸、鎮魂等の章はいずれも、明治三十三年の王仁の旧作を再録したものである。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年03月17日(旧02月19日) 口述場所 筆録者王仁 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年10月30日 愛善世界社版19頁 八幡書店版第3輯 39頁 修補版 校定版19頁 普及版8頁 初版 ページ備考
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天の岩戸

 故れ須佐之男の大神は  清明無垢の吾御魂
 現はれ出て手弱女を  生みしは乃ち吾勝ちぬ
 勝てり勝てりと勝ち荒びに  神御営田の畔を放ち
 溝埋め樋放ち頻蒔し  大嘗殿に屎散りて
 荒びに暴び給ひけり  故れ然すれど皇神は
 咎め給はず屎如すは  那勢の命の酒の所為
 屎には非で吐ける也  田の畔を放ち溝埋は
 地所惜らし思ふため  那勢の命の罪ならじ
 神心平に安らかに  直日に見直し詔直し
 言解き給へど荒び行  未だ止まずに転てあり。
    ○
 若日女機屋に坐して  神御衣織らしめ給ふ時
 機屋の棟を取り毀ち  天の班駒逆剥て
 墜し入れば神衣織女  驚き秀処を梭に突て
 終に敢なく身亡せけり  ここに皇神見畏み
 天の岩屋戸閉立てて  隠りたまへば天の原
 とよあし原の中津国  常夜となりて皆暗く
 黒白も判ぬ世と成りぬ  曲津の神の音なひは
 五月の蝿の沸く如く  万の妖害みな起る。
    ○
 百千万のかみがみは  安の河原に神集ひ
 ここに議会は開かれて  議長に思兼の神
 思ひ議りて常夜なる  長鳴鶏を鳴かしめて
 安の河原の石を採り  天の香山の鉄を採り
 鍛冶真浦を求き寄せて  石凝姥のみことには
 八咫の鏡を作らしめ  玉の御祖の命には
 八阪の曲玉造らしめ  天の児屋根や太玉の
 命を呼びて香具山の  男鹿の肩を打抜きて
 天の羽々迦を切採りて  占へ真叶はしめ給ひ
 天の真榊根掘して  上枝に八阪の玉を懸け
 八咫の鏡を中津枝に  下枝に和帛を取垂て
 祭祀の御式具備りぬ  是れ顕斎の始めなり。
    ○
 故太玉のみことには  太幣帛を採り持たし
 天の児屋根の命には  太祝詞ごと詔曰し
 天の手力男のかみは  窟戸のわきに隠り立ち
 あめの宇受売命には  天の日蔭を手襁とし
 天の真拆をかづらとし  竹葉を手草に結占て
 窟戸の前に槽伏せて  踏轟かしかしこくも
 神人感合の神懸り  至玄至妙の幽斎を
 行ひ給ひし尊さよ  胸乳掻出で裳緒をば
 番登に忍垂れ笑ひ鳧  命の俳優に天地も
 動りて神等勇み立つ  皇神怪しと思召して
 窟戸を細目に開きまし  御戸の内より詔賜はく
 吾いま岩窟戸に篭りなば  高天原も皆暗く
 あし原の国暗けむと  思ひ居たるに何故に
 宇受売の命は楽びしぞ  百千よろづの神等も
 歌舞音楽に耽るやと  怪しみ給へば智慧深き
 宇受売命の答けらく  皇大神にいや勝り
 尊き神ぞ現れ坐り  夫れゆゑ歓ぎ遊ぶなり。
    ○
 斯く宣る間に二柱  八咫の鏡をさし出て
 皇大神に奉る  いよいよ怪しと思召て
 御戸より出て臨み坐す  その時戸わきに隠り立ち
 天の手力男の神は  御手持曳き出し奉り
 斯れ太玉の命には  尻久米縄を御後へに
 引張渡し此処よりは  内に勿還り入りましそ
 言葉穏いに願ひけり  大神御心平かに
 御戸出でませば久方の  高天原も葦原の
 中津御国も自ら  隈なく光り冴え渡り
 万の神々いさみ立ち  天晴れ地晴れ面白や
 あな尊しや佐夜計弘計  目出度窟戸は開き鳧
 是れ顕斎の御徳にて  また幽斎の賜ぞ。
    ○
 仰ぎ敬まへ神国に  生を享けたる民草よ
 天津御神の神勅以て  直霊の御魂現はれて
 至粋至純の神の美智  顕斎幽斎鎮魂の
 尊き神業を説明し  地上億兆蒼生に
 向ふ所を覚すなり  神の御恵み君の恩
 神国を思ふ正人は  固く守れや神の道。

鎮魂

 豊葦原の千五百あき  みづほの国の神の苑
 栄え久しき常磐木の  松の御国に生れたる
 七せん余万の同胞は  日出るくにの国体の
 外に優れて比類無き  奇すしく尊き理由を
 究め覚らで有るべきや  万世変らぬ一すぢの
 天津御祖のさだめてし  皇大君の知ろしめす
 国は日の本ばかりなり  神代の昔那岐那美の
 二尊あらはれ坐々て  修理固成の大御神勅
 実践ありて国を産み  青人草や山川や
 木草の神まで生給ひ  つひに天照大御神
 また月夜見の大神や  速須佐之男の大御神
 現出坐し目出度さよ  皇神甚くよろこばし
 今迄御子を生みつれど  是に勝りし児はなし
 吁尊しや貴の御子  生み得てけりと勇み立ち
 ただちに天に参上り  皇産霊の神の太占に
 卜ヘ賜ひて詔賜はく  あが御児天照大神は
 高天原をしろしめせ  また月夜見の大神は
 夜の食国を守りませ  速須佐之男の大神は
 大海原を知らせよと  天津御祖の御言もて
 各自々々におす国を  持別依さし給ひけり。
    ○
 茲に大神おんくびに  まかせる八阪曲玉の
 五百津御魂美須麻琉の  玉緒母由良に取揺し
 高天原を知らさねと  日の大神に賜ひけり
 故その御頸珠の名を  御倉棚のかみとなす
 これ其魂を取憑けて  日の神国の主宰神
 たらしめなむと神定め  玉ひし畏き御術なり
 是鎮魂のはじめにて  治国の道の要なり。
    ○
 天照し坐すおほみかみ  その神業を受け賜ひ
 二二岐の命に天の下  統治の権を譲らるる
 其みしるしと畏くも  三種の神器を賜はりし
 この方世々の天皇は  大御心をこころとし
 即位の御制と為し給ふ  これ鎮魂の御徳なり
 かくも尊き縁由ある  御国に生ひし国民は
 台湾千島の果てまでも  尊奉崇敬おこたらず
 あさな夕なに奉体し  神の稜威を仰ぐべし。
    ○
 そも鎮魂の神わざは  天津御祖の定めてし
 顕幽不二の御法にて  かみは一天万乗の
 畏き日嗣の天皇の  祭政一致の大道より
 下万民にいたるまで  修身斉家の基本なり
 然のみならず斯の道は  無形無声の霊界を
 闡明するの基礎ぞかし  神の御国に住む人は
 異しき卑しき蟹が行く  横邪の道をうち捨てて
 束のあひだも神術に  心を清め身をゆだね
 天にむかひて一向に  幽冥に心を通はせて
 おのが霊魂の活動を  伊豆の魂に神ならひ
 身も棚知らに鍛へかし  この正道を踏みしめて
 国家多端のこの際に  神洲男子のやまと魂
 地球の上に輝かし  天にもかはる功績を
 千代万代にたてよ人  勇み進めやいざ進め
 直霊の魂を経となし  厳の魂を緯として
 八洲の国に蟠まる  曲津の軍の亡ぶまで
 進めや進めふるひ立て  醜の悪魔の失せる迄。

富士山

 富士山は古来不尽山または不二山と書き、芙蓉の峰、福知ケ嶺と称し、天教山、扶桑山とも謂ひ、木花咲耶姫命の御神体とも云ひ、鳴沢ケ岳、二十山、秀穂山、山君ケ嶽とも別称され、この山の名義については、色々と古来の解説があれども何れも皆謬りなり。日本は古来言霊の幸はふ国と云ひ、只一つの小山にも山の活用を名に現はし居るなり。
 フジのフは力なり。地球の中心より、金剛力を以て、火煙を噴出すをフと云ふ。ジは火脈の辻であり浸み出る言霊なり。
 またフジの霊返しはヒなり。ヒは火なり、霊なり、日なり。故に富士の火山とも云ひ、霊峰とも称へ、日本国の代表とも成り居るなり。今は木花冬篭りの状態で休火山なれども、何時発動して元の活火山に復するかも知れざる神山なり。猶ほ細かく調ぶればフの言霊は天中の常也、世界一切の活用を司る也、生の常也、忽ち往き忽と来り、忽ち昇り忽ち降り、忽ち出で忽ち入り、進退兼持ち火熱の合結となり、機臨の府となる也、八咫に照る也の大活用あるなり。
 ジの言霊は強く守る也、打ち固める也、辻立つ也、予誓也の大活動なり。
 ヒの言霊は明かに通徹する也、日の結也、無不所照也、日也、昼也、顕幽皆貫徹する也、大慈大悲の極也、⦿の形を照り顕はす也、悉皆帰伏而一致一和の意也。尊厳也、⦿の朝也、⦿の寿也、三世照明也、等の活用あるなり。
 以上の言霊活用を思考する時は、大日本国の表徴にして、神国と神民との最優最秀なる天職を発揮し、世界万国を教へ救ふ神国天賦の本能を顕はせる、神霊の活用する神峯と云ふ事になるなり。彼の有名なる白扇倒懸東海天の句を始め、富士山に関する詩歌は随分沢山ありて、詩にも歌にも、句にも此富士山位詠まれたものは無かるべし。契冲の歌にも

 富士がねは山の君にて高御座  空にかけたる雪の経笠

 実に上品な歌にして、天皇の高御座の上に釣るす経笠の如くにて然も天空高く、白皚々たる、純白の雪を戴き、群峰の上に屹として、一番高く峙え立ち居る富士山は実に山の中の君主なりといふ意味なり。

 心あてに見し白雪はふもとにて  思はぬかたに霽るる富士ケ嶺

 あの辺が頂上かしら、雲に包まれて見えぬのかと、あせりあせり見る中に、雲が晴れると、ヤア何だアンナエライ高い雲表にニヨツキリと頂が現はれて居ると云つて茫然自失、今更にその高さに驚かされ、且つ崇高の感に撃たれて居る真境を写し出したる歌なり。

 元朝に見るものにせむ富士の山

 これは宗祇の作句なり。正月も近い目出度い元旦の見ものとして富士の山に越したものは無く、尊しと云ふの意味なり。万葉集にも随分富士を賞めたる和歌が沢山載せられあるが、凡て此の富士山は日本国の崇高なる意義を代顕したる神峰なり。

 東洋独立玉芙蓉  万古千秋不改容
 清嶽鮮山朝揖処  五刕高聳此仙峰

 以上の数篇は大正十年一月号の神霊界に所載したるものなり。其中神旗の由来、霊力体、天岩戸、鎮魂等の章は孰れも明治三十三年の王仁の旧作なるも、今また都合に依りここに再録するものなり。
(大正一一・三・一七 旧二・一九 王仁)
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