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文献名1霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻
文献名2第2篇 洗礼旅行よみ(新仮名遣い)せんれいりょこう
文献名3第8章 醜の窟〔534〕よみ(新仮名遣い)しこのいわや
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-11-26 16:56:45
あらすじ
夜が明けて、岩彦は今度こそ我が折れたと鷹彦に認めた。しかし日の出別宣伝使の行動が腑に落ちないと疑問を呈するが、鷹彦は一兵卒に御経綸がわかってたまるか、と諭す。

鷹彦は、腹ごしらえをしてフル野ケ原の醜の窟に巣くう魔神どもを言向け和しに行こう、と提案する。そして、昨日の化け物は、魔神たちの偵察に違いない、と言う。醜の窟には六つの入口があるので、めいめい一人ずつ進んで行くことにした。

一行が原野を進んで行くと、屏風のように長く突き立った岩山が見えてきた。その上には一人の人影が見える。それは日の出別宣伝使であった。日の出別は宣伝歌にて、醜の窟の入口がふさがれていてわからないが、ここを清めて三五教の教えを顕すべし、と歌っていた。

岩彦は昨夜の化け物のことを報告し、自分の言霊で追い払ったかのように吹聴する。しかし日の出別は岩彦が腰を抜かしたことを知っていて、化け物の口真似をして岩彦をからかう。

岩彦は化け物が日の出別に化けているのかと思って疑うが、日の出別は拍手を打って天津祝詞を奏上した。その声は六合に鳴り渡るようで、たちまち雲は晴れて太陽が姿を現した。

疑いは晴れ、一同は岩窟に進み入ることとなった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年03月17日(旧02月19日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年10月30日 愛善世界社版100頁 八幡書店版第3輯 67頁 修補版 校定版100頁 普及版42頁 初版 ページ備考
OBC rm1308
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本文  夜は漸く明け放れたと見え、天津日の影は見えねども、天地はホンノリと明るくなつて来た。
鷹彦『オイ岩彦、何うだ、貴様もモウこれで我が折れただらうナア』
岩彦『ヤー今度に限つて徹底的に我が折れたよ。モウ心配して呉れな。併し日の出別の宣伝使は何うなつたのだらう。どうも腑に落ちぬ行動ぢやないか』
鷹彦『貴様は未だソンナ事を言ふから駄目だ。何うならうと、斯うならうと神様の御経綸が、吾々の如き一兵卒に分つてたまるかい。日の出別命がフル野ケ原の魔神を平げると仰有つた以上は、屹度先へ行つて水も漏らさぬ経綸をしてござるに違ひないワ。ソンナ事は吾々の容喙すべき所で無い。サアサア皆一時に用意だ用意だ』
音彦『ヤア鷹サン、待つて下さい。腹の虫が休戦の催促を頻りに志てゐます』
鷹彦『オーさうだつた。各自に腹を拵へねばならぬ』
と言ひつつ固きパンを出して、各自に噛じり乍ら旅装を整へ、西北を指して、宣伝歌を歌ひ歌ひ進み行く。
鷹彦『サア是からが戦場だ。孰れもしつかり戦闘準備に取りかかれよ。音に名高いフル野ケ原の醜の窟だからのう』
岩彦『其の窟には、一体ドンナ魔神が居るのだ』
鷹彦『夫れは種々雑多の悪魔が棲息しとるのだ。夜前斥候隊が来ただらう』
岩彦『ウン彼の化か。ナーニアンナ奴位は屁のお茶だ』
音彦『油断大敵だ。小敵たりとも侮るべからず、大敵たりとも恐るるべからず。機に臨み変に応じ、変幻出没、進退自由の大活動を吾々は開始するのだ』
鷹彦『アヽ神様は能く仕組まれたものだ。醜の窟には六個の入口がある。其処へ六人と云ふのだから恰度都合がよい。各自に其の一つ宛の穴を担当して進入するのだナア』
岩彦『それは面白からう、俺が一番槍の功名手柄。併し乍ら肝腎の大将が見てゐて呉れねば、働きごたへが無いやうな気がするぢやないか』
鷹彦『貴様はそれだから未だいかぬのだ。大将が見て居らうが、居らうまいが、自分の職務は力一杯全力を傾注してやればよいのだ』
岩彦『それでも蔭の舞、縁の下の踊りになつては骨折り甲斐が無いやうな気がする。ナア梅公、音公』
音彦『イヤ吾々はソンナことは決して思はぬ。どうせ碌な勝利は得られないのだから。下手なことをして居る所を大将に見られては却つて恥かしい。兎も角獅子奮迅の勢を以て力限りのベストを尽し、能ふ限りの奮戦をやるのだ』
梅彦『オイ鷹彦、何うだ。此辺で一寸休息をして各自に策戦計画を定め、悠乎と行かうぢやないか。化物退治は夜の方が却つて都合がよいかも知れぬぞ』
岩彦『さうだ。昼の化物は見たことが無い。化物の留守に行つた所で変哲が無いから。時機を考へて六方から突撃を試みると云ふことにしようかい』
 一行六人は風に吹かれ乍ら勢よく進み行く。前方を見れば原野の中央に屏風の如く長く衝立てる岩山あり、その岩山の頂に一人の人影が立ちゐる。
鷹彦『オイ皆の者、彼の醜の窟の上に何が居るか一寸覗いて見よ。あれは夜前姿を隠された日の出別の宣伝使に間違ひ無からう。吾々の行くまでにチヤンと悪魔を封じて遁走せないやうな計略と見ゆる。サアもう大丈夫だ。急げ急げ。オイ岩公、もうウラル教は思ひ切つただらうな』
岩彦『思ひ切つたも切らぬもあるかい。テンでウラル教ナンか、夢にも思つたことは無いわ』
鷹彦『アハヽヽヽ、勝手な奴だ。マア何うでもよい。駆歩だ』
 一二三と言ひ乍ら、醜の窟を指して駆けついた。日の出別は岩上に立つて声も涼しく宣伝歌を歌ひゐる。
『神が表に現はれて  善と悪とを立別ける
 此世を造りし神直日  心も広き大直日
 直日の神の分霊  此世の曇りを吹き払ふ
 日の出の別の宣伝使  雨もフル野ケ原を越え
 醜の窟に来て見れば  出口入口塞がりて
 百草千草生茂り  何処をそれと白真弓
 射向ふ的もあら風に  吹かれて立てる此の窟
 岩より堅き鋭心の  誠心を振り起し
 フサの天地を曇らせし  八岐大蛇の分霊
 醜の曲津を言霊の  珍の気吹に払はむと
 待つ間程なく鷹彦や  巌の身魂のあと五人
 漸く此処に現はれて  曲の砦に立ち向ふ
 あゝ勇ましや勇ましや  神の力の開け口
 出口入口わからねど  草をわけても探し出し
 言向け和さで置くべきか  言向け和さで置くべきか
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 たとへ大地は沈むとも  神に任せし此の身体
 神の御ため世のために  捨てて甲斐あるわが生命
 来れよ来れいざ来れ  葎茂れる岩の戸を
 隈なく探りし其上に  天津祝詞の太祝詞
 声も高天と詔りつれば  天津御神は久方の
 天の岩戸を押開き  八重雲四方に吹きわけて
 誠の願を聞し召し  国の御祖の大御神
 国治立の大神に  随ひ給ふ百神は
 山の尾の上や川の瀬の  伊保理をさつと掻きわけて
 吾が祈言を悉く  聞し召すらむ三五の
 神の教の隈も無く  光り輝くフル野原
 払ひ清めむ曲津霊の  醜の曲業逸早く
 汝が心の真寸鏡  照して醜の正体を
 現はす時ぞ来りけり  現はす時ぞ来りけり
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ』
と声も涼しく歌ひ興じつつありけり。鷹彦一行は漸くにして此場に安着したり。
岩彦『ホー貴使は日の出別の宣伝使様、夜前は大変にお先へ御無礼を致しました』
『イヤ御無礼はお互ひだ。昨夜は別に変つたことはなかつたかな』
岩彦『ヤー別に大したことはありませぬ。曲津神の斥候隊が一寸やつて来て、岩彦の言霊の気吹に吹き散らされ、鼠のやうに小さくなつて狐鼠々々と消えて了つたのですよ。イヤモウ悪神と云ふものは弱いものです』
日の出別『それは結構だつた。併し一寸腰を抜いたでせう』
岩彦『ヤー此奴は変だ。日の出別と見せかけて昨夜の化助奴が、又此処に作戦をやつて居るのぢやなからうか。ハテナ合点の行かぬ事もあればあるものだ。オイこらお化、馬鹿にするない。貴様日の出別命に化けて居よるが、其の手は喰はぬぞ。化物の証拠には昨夜俺が腰をぬかしたことを知つて居つたぢやないか。本当の日の出別は吾々を置去りにして、お先へ御免とも何とも言はずに、ドロンと其場から消滅して了つたのだ。大体が日の出別からして怪体な代物だが、彼奴は貴様のやうに化けないから安心だ。コラ夜前の化けの同類、夜前は夜分だつたから一寸ねむた目に相手になつてやつたのだが、今日は真剣だぞ。じたばた致してもモウ敵はぬ百年目、サア尋常に兜を脱ぐか、返答は如何ぢや』
日の出別『キヤツハヽヽヽ』
 岩彦はトンと腰を下して、
『キヤツキヤツ、キヤツハヽヽとは、そりや何吐かす。合点の行かぬ脱線だらけの笑ひ声をしよつて、キヤツハヽヽヽキユツフヽヽのとは何の態だ。奴畜生の化けた証拠には、拗音や鼻音を使用してゐるぢやないか』
日の出別『アハヽヽヽ、日の出別は何吐かすと云ふが、さう云ふお前は腰ヌかす』
岩彦『吐かすない吐かすない、黙つて居れば何を吐かすかわかつたものぢやない。ヤイ一同の者、ぬかるな。此奴も変智奇珍だぞ』
鷹彦『アハヽヽヽ、オイこら岩公、貴様はよつぽど瓢六玉だ。彼の立派な日の出別命様が化物に見ゆるのか』
岩彦『見えいでかい。定つた巾着、揚げたお豆腐。何ほど俺をおどかさうと思つたつて豆腐に鎹、糠に釘だ。坊主鉢巻でチツトもこたへないのだ。俺は岩より固い岩サンだ。化物の百匹や千匹位群をなして押寄せ来るとも何のものかは。ウラル教のオツトドツコイ三五教の誠の神の言霊の気吹に依り、気吹き払ひ給へ清め給へと申すことの由を天津神国津神八百万の神等共に小男鹿の耳振り立て聞し召せと、畏み畏み申す。ポンポンだ』
日の出別『アハヽヽヽ、相変らず面白い奴だ。オイ岩彦、本当だ、本物だ。日の出別に間違ひは無いぞ。安心せい』
岩彦『サーその弁解が気に喰はぬ。何でも嘘を言ふ奴はうまい事弁解をするものだ』
音彦『オイオイ、貴様疑ひが深過ぎるぢやないか。さう深はまりしては物がさつさと片付いて行かぬ。後家婆サンの宿換へのやうに何でも手軽に片付けるものだよ』
梅彦『ヤー昨日と云ひ今日といひだ』
駒彦『本当に皆目一体全体訳がわからぬやうになつて来た。化物退治にやつて来て何だか化物に玩弄になつてゐるやうな気がする、又夢ではあるまいか』
鷹彦『夢々疑ふ勿れ。夢ではないぞ、現ではないぞ』
岩彦『イヨー此奴又怪しくなつて来たぞ。矢張フル野ケ原の醜の窟式だ』
 日の出別は拍手を打ち声も涼しく天津祝詞を奏上する。其の声は天地六合に鳴り渡るが如く、忽ち雲の戸破れて日の大神は西天に温顔を現はし、一行の迷ひの雲をさらりと解き給ひける。
 ここに岩彦以下の宣伝使は始めて真正の日の出別命なることを確認し、いよいよ黄昏を期してこの岩窟に進入することとなりにける。
(大正一一・三・一七 旧二・一九 外山豊二録)
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