怪しい男女二人は、地中から這い出てきた。それはウラナイ教の高姫と、そのお付の青彦であった。この岩窟は、二人が隠れ家としていたものであった。
高姫は、鬼雲彦のように悪を標榜して悪をなすのは馬鹿だ、神素盞嗚大神の教えを嘘だと言って教え子を食い殺す、などの自説を悦に入って展開する。
そこへ鬼雲彦が手勢を率いてやってきて、ウラナイ教の二人を捕らえようと、岩窟の蓋の大岩を除こうとするが、岩はびくともしない。
そこへ今度は亀彦、英子姫、悦子姫らがやってきて、言霊で鬼雲彦の軍勢を追い散らしてしまった。一行は祝詞を唱えて休息していると、高姫、青彦がやってきた。
高姫は、峠の向こうの衣懸松の自宅に一行を誘って教えを説こうとする。高姫と亀彦はおかしな問答をした後、亀彦一行は高姫についていく。しかし、高姫宅は火事の猛火で焼け落ちている最中であった。
高姫と青彦は慌てて物を持ち出そうとするが、猛火に袖を焼かれて川に落ちてしまう。