紫姫のお供・馬公と鹿公は、夜悪夢にうなされて目を覚ます。寝られなくなった二人は、辺りを散歩することとした。
一方加米公も目を覚まして、一行の寝顔の評論をしている。そのうちに、いたずらをしだして、夏彦と常彦の髪を互いに結んでしまった。次に紫姫の髪を丹州と結ぼうとしたところ、はっと起きた紫姫に腕を掴まれて、そのまま投げられてしまった。
紫姫は敵の襲来だとして、慌てて一同を起こす。丹州は寝たふりをしながら加米彦のいたずらを見ていて、加米彦の仕業であることを明かす。
音彦は怒って加米彦を叱るが、悦子姫に仲裁される。加米彦は、音彦とのやり取りの中で、音彦の妻・五十子姫が竜宮島でバラモン教と戦っていることを知らせる。
一同はまた寝てしまうが、散歩に出ていた馬公と鹿公は、バラモン教の鬼鷹、荒鷹らに見つかって、囲まれてしまう。しかし宣伝使がついているため、二人は木が大きくなり、強気になって逆に荒鷹、鬼鷹に啖呵を切り出す。
怒ったバラモン教徒らは馬公、鹿公に打ってかかると、二人は宣伝使たちが寝ている場所に走って逃げてきた。
その物音を聞きつけた宣伝使たちは起き上がり、加米彦が敵を迎え撃とうと一人で走って出て行く。茂みの中で様子を見ていると、バラモン教の手下らは鬼熊別の身魂を斟酌していた。しかし中には、鬼熊別の言うことを本当と信じ、悪の教えである三五教を滅ぼそうと真面目に考えている者もあった。
鹿公は、バラモン教の中にも純粋な人間がいると加米彦とに話しかける。加米彦は、悪になるのは皆誤解からだ、と説いて聞かせているが、その声がバラモン教徒らに聞かれてしまう。
加米彦は自ら名乗って出て行くと、逆にバラモン教の手下たちは浮き足立って命乞いをする。手下たちはすっかり三五教の心になり、様子を見に来た荒鷹、鬼鷹に説教を始める。
また林の中から、荒鷹、鬼鷹に改心を促す加米彦の宣伝歌が聞こえてくると、荒鷹、鬼鷹は涙を流して平伏し、改心の意を表した。
悦子姫は、鬼ケ城の大将・鬼熊別を改心させるために、荒鷹、鬼鷹に策を授けた。紫姫、丹州、鹿公、馬公を鬼ケ城に潜入させる手はずとし、言霊戦を城の内外で行うように見せかけて、鬼熊別を説き諭す作戦を実行することとなった。