帰ってきた梅公は、黒姫に、自分は因縁の身魂だから、とつっかかる。黒姫は梅公をたしなめて、綾彦・お民に初の宣伝を聞かせるのだから、お前たちも聞くように、と言って宣伝歌を歌う。
黒姫はこのあと、百日百夜宮川の滝に禊をなし、高山彦と一緒にいったんフサの国に戻って高姫に報告をした。高姫は自転倒島に戻り、衣懸松の下に庵を結んで三五教覆滅を企んでいた。また由良の港の秋山彦の館に入って鍵を盗み、如意宝珠を呑み込んで逃げ出した。
黒姫はそれと行き違いに自転倒島の魔窟ケ原に戻ってきたが、夏彦、常彦らがウラナイ教を見限って出て行ってしまった。それというのも、黒姫と高山彦はもともと夫婦であったが、黒姫が独身主義を標榜して宣伝をしていた手前、夫があるとは信者たちに言えなかった。そこで、神界の都合と称して高山彦を婿入りさせたために、信望を失ったのである。
綾彦は魔窟ケ原で黒姫の身辺を世話し、お民は高城山の松姫の侍女となった。しかしウラナイ教では綾彦・お民の素性を知らず、普通の信者として遇していた。
黒姫が綾彦を共にまたもや宮川で禊中、青彦一行と出会い、青彦一行は何を思ったかにわかにウラナイ教に寝返ったため、黒姫は意気揚々として魔窟ケ原に戻ってきた。
黒姫は高山彦に青彦らを紹介する。黒姫が紫姫にウラナイ教の心得を説いていると、板公と滝公が帰ってきた。板公と滝公は、黒姫の命令でお節を捕まえに行ったが失敗した旨を報告する。
黒姫は板公、滝公の無体に怒って叱り付ける。紫姫が、お節は自分たちが助け出して、青彦と共にここに来ている、と言うと、板公と滝公はあわてて逃げ出していく。黒姫は泣きまねをして紫姫の手間をごまかした。