小糸姫は二人の島人に舟を漕がせて、友彦から逃げ出した。しかし舟が大海原に来ると、二人の島人は小糸姫に襲いかかろうとする。
小糸姫は逃げ回るが、捕まってしまいあわやというところへ、四人の女が乗った一艘の船が疾走して来た。船から一人の女が乗り込んで来て、島人に当て身を食わして小糸姫を助けた。
小糸姫を助けてくれた女は、よくよく見れば、顕恩郷の侍女・今子姫であった。今子姫は小糸姫に両親のところへ帰るように諭すが、小糸姫はどうしても竜宮の一つ島に渡るのだ、と言う。
今子姫は、小糸姫が出奔した後に顕恩郷は三五教に奪い返され、鬼雲彦や鬼熊別もどこかへ逃げてしまったことを告げた。そして自分は今は素盞嗚尊の娘に仕えており、バラモン教と闘って破れ、この船で流されたところだと経緯を物語った。
小糸姫はそれを聞いて、今子姫をバラモン教の裏切り者として身構えるが、四対一で今は敵わないことを悟り、降参の覚悟を決めた。
今子姫は二人の島人に活を入れて起こした。小糸姫は二人に対して、自分はこれから三五教の宣伝使になると宣言し、駄賃を上げてセイロン島に返した。小糸姫は今子姫らの船に乗り込んだ。
五人は船を漕いでオーストラリヤの一つ島に上陸した。