時間空間を超越して、現幽神の三界を過去・未来・現在に通観した物語も、教祖が現れたもうた明治二十五年にちなんだ第二十五巻に達した。
高天原の大宇宙の外側に身を置いて全宇宙を隈なく見渡し給う瑞御霊・神素盞嗚大神の御心を汲み取り給う大八洲彦命は、月照の神と現れて、五十二歳を越えた赤子の口を借りて述べ立てる。
オセアニアの一つ島にて、黄金の砂を敷き詰めた地恩の郷に三五の教えを開いた五十子姫や梅子姫、小糸姫らが、仁慈無限の元津御神の御心を覚って道に尽くした古き神代の物語である。
黄竜姫(小糸姫)が治める地恩城では、出奔した高山彦の後釜に、清公が任命されていた。しかし要職に上り詰めた清公は思い上がって傲慢な態度を取っていた。
そのために城内は宰相・清公派と、副宰相・鶴公派に分かれて暗黙の対立が起こっていた。
清公と鶴公は二人とも、黄竜姫の侍女・宇豆姫に懸想していた。スマートボールは鶴公派として、強権的に宇豆姫を娶ろうとする清公への批判を、チャンキーとモンキーに披露していた。
そこへ貫州と武公がやってきて、友彦がジャンナイ教徒たちを組織して、仕返しに地恩城へ攻め寄せてくるという噂が立っていることを伝えた。
それを聞いた蜈蚣姫は早速、軍備を整えて迎え撃とうとする。蜈蚣姫はスマートボールに、迎撃の軍備を整えて出撃するように命じると、いそいそと去ってしまった。
そこへ清公が従者をしたがえてやってきて、スマートボールらに友彦軍の迎撃を命じる。しかしスマートボール、貫州、チャンキー、モンキーらから、思い上がった言動を批判されてしまう。
スマートボールはさらに、清公は鶴公にその地位と宇豆姫を譲るべきだ、と迫り、その旨自分が宇豆姫に直談判に行くと息巻く。清公はその場の雰囲気に気おされてしまう。
そこへさらに、鶴公がやってくる。清公は、友彦襲来の一件を持ち出して鶴公に意見を求めるが、鶴公は何事も宰相である清公に命に従う、と述べると、清公は黄竜姫に諮ってくるといってその場を立ち去った。
鶴公を宰相に戴こうとする一同に対し、鶴公はあくまで謙虚の態度を示して、下の者が上の者を使うべきだと持論を展開する。
スマートボールを始め鶴公の徳に感心しているところへ、清公派の金州、銀州、鉄州がやってきて、清公に対する謀反を黄竜姫に奏上するのだ、と言い捨てて行ってしまう。