そこへ清公が入ってきて、鶴公と宇豆姫に対して嫌味と皮肉の限りを尽くして罵倒する。そこへまた、黄竜姫が戻ってきた。
清公は、鶴公と宇豆姫の関係を不義であるように黄竜姫に讒言する。そして、鶴公を落としいれようとしてわざと、綱紀紊乱の責任を取って自分が辞職する覚悟である、と黄竜姫の前に言い立てた。
すると黄竜姫はあっさりその言を容れて、清公の職を解いてしまった。鶴公はこの場においても清公をかばおうとする。黄竜姫は、その心に感じて、鶴公を左守に任命した。
鶴公は、清公がその場で解任されてすぐに後釜に据えられた状況を忍びず、あくまで清公を立てようとする。黄竜姫はあくまで鶴公が左守となって宇豆姫を娶るようにと申し渡す。宇豆姫はいたたまれなくなってその場を飛び出し、城門の外へ駆け出してしまった。
清公と鶴公たちは、慌てて宇豆姫の後を追いかける。地恩城は、周りを高山に囲まれていた。宇豆姫は断崖絶壁から谷底の川に向かって身を投げてしまった。地恩城から宇豆姫を追って来た一同はこれを見て、なすすべもなく地団駄を踏んでいる。
一人、スマートボールが谷間に飛び込んだ。スマートボールは岸辺に宇豆姫を救い上げると蘇生させた。そして、いかなる事があろうともよく天寿を全うして神業に仕えなければならない、と宇豆姫を諭した。
スマートボールの真心に打たれて、宇豆姫はお礼を述べた。地恩城に戻ると、スマートボールは腰を痛めていた。黄竜姫は、宇豆姫にスマートボールの看病を命じ、一ケ月にしてスマートボールは回復した。この一件にて、スマートボールの徳望は非常に高まった。
一方、左守の職を解かれた清公は、平役人となってしまった。平役人たちが雑談にふけっている。チャンキーは、清公のみならず、鶴公さえも宇豆姫の危急に何もできなかったと批判をしている。
チャンキー、モンキー、貫州、武公らは、スマートボールこそ左守の職にふさわしいと、建白書を提出することにした。今はすっかり謙虚になった清公も、それを聞いて賛成して署名した。
一方城内では、黄竜姫が梅子姫に左守の後任について相談していた。鶴公はどうしても左守への昇格を固辞しており、もう一ケ月も職が空いたままになっているので、黄竜姫は徳望が高まったスマートボールを左守に任命しようとしていることを明かした。
梅子姫、蜈蚣姫も賛成し、ここにスマートボールは任命されて左守となり、宇豆姫と結婚の式を挙げて、地恩郷の神業に奉仕することとなった。