高姫、黒姫、高山彦は、夏彦、常彦と夕餉を済ませてひそひそ話にふけっている。高姫は夏彦と常彦に、麻邇の宝珠の神業の様子を尋ねた。そして、黄竜姫、蜈蚣姫、友彦、テールス姫らの手柄を聞いて、憤慨する。
そして、玉が聖地に来たのも自分たちを守護する日の出神と竜宮の乙姫のはからいだと嘯き出す。常彦は、それだから言依別教主は、高姫と黒姫が来ないと玉をお披露目できないと言って、二人が来るのを待っているのだ、と高姫に伝えた。
高姫は相好を崩して、言依別もこのごろはやっと出来てきた、と独りごちる。そして、それなら言依別の方からこちらにやってきて、懇願するべきだとまた嘯き出す。夏彦は、なんとか理屈をつけて、高姫・黒姫を動かそうと説得する。
話は杢助の話になり、高姫は杢助をけなし出す。夏彦はそれに同調する振りをして、杢助の本心を高姫・黒姫に諭そうと、たとえ話で説得する。
常彦は、国依別に石魚を持ってこさせたのも、実は言依別教主の指図で、それは高姫・黒姫がまだ寛大な心になっていないのではないか、という懸念から、それを試そうとしたのだ、と明かした。
高姫は、そんな心配は無用だと憤慨し、そこまで言うなら自分の大精神を見せてやる、と言って教主館に行くことをほとんど承諾した。
そこへ外から宣伝歌が聞こえて来て、亀彦が高姫館の門を叩いた。高姫は、今日は来客があるからと言って亀彦を帰した。高姫、黒姫、高山彦は、亀彦も国依別の計略の片棒をかついで後ろめたいのだろう、と笑っている。