教主殿の奥の広間には、言依別命をはじめとして、梅子姫、五十子姫、英子姫、亀彦、音彦、玉能姫、玉治別、初稚姫、杢助が集まって、麻邇の宝珠の処置について協議を凝らしていた。
そこへ高姫・黒姫・高山彦の三人がやってきた。言依別命は三人を上座に招くが、高姫は嫌味を言い、ついでに玉能姫に当り散らし、ついで玉治別、梅子姫、五十子姫、英子姫にもひととおり当たり散らした。
玉治別は、なにほど系統だといっても、高姫に迎合盲従はできない、と反撃する。高姫は黒姫・高山彦にも言い負けぬようにとけしかける。黒姫は、杢助・初稚姫・玉能姫につっかかる。
玉治別が割って入って黒姫の話の腰を折ろうとしたので、高姫は玉治別をたしなめた。そして怒り心頭に達した振りをして、その場を立って帰ろうとする。英子姫が下手に出て高姫を留めると、高姫はしてやったりとその場に居直った。
高姫は、麻邇の宝珠を信者に公開するに当たってまず自分たちが玉を検めると手はずを決めだした。玉治別が茶々を入れたが、英子姫、五十子姫にたしなめられ、高姫の指図どおりに麻邇の宝珠公開の段取りが決められた。
杢助は来る九月二十三日を公開日と定め、一同賛成の後、各自退場していった。