玉照彦と玉照姫は、唯一本物だった紫の玉を持ってこさせた。高姫は、紛失しては大変だから自分が保管する、と言い出したため、国依別と言い争いになる。
玉照姫は、国依別に自宅待機を命じる。高姫は、言依別が出奔し、杢助が総務を辞職した今、自分が教主にならねばならぬ、と一人悦に入っている。
玉治別は波留彦、秋彦と共に高姫をたしなめ、またもや言い争いになる。玉照姫は、言依別は神界の経綸によって高砂島に渡ったことを明かし、杢助に筑紫島への出張を命じた。そして東助を総務兼教主代理とすることを発表し、高姫と黒姫は特別に相談役に任じた。
また、玉照姫は、もし高姫が紛失した四個の麻邇の玉を持ち帰ったら、高姫を教主とし、高山彦と黒姫を左守・右守の役とすることを約束した。
それを聞いて高姫は、集まった一堂の信者たちから玉の情報を集めようとしたり、すでに玉が見つかったかのごとく威張り散らしたりした。それでまたしても、玉治別・波留彦と言い争いになる。
すると突然、高山彦が高姫・黒姫に暇乞いを告げた。竜宮の一つ島へ帰って、宰相に戻り、活躍するつもりだと言う。高山彦が去ろうとすると、その袖に黒姫がすがりつき、当たり構わず泣いて引き止めた。
玉治別は高山彦の出立を促して、黒姫の帯を掴んだ。黒姫は金切り声を放って一場の愁嘆場を演じた。黒姫は玉治別を振りほどいて群集をかき分け、高山彦を追いかける。