高姫が神殿に駆け上って扉に手をかけると、狭依彦命のご神体が現れて高姫を取ると、壇上から下に放り投げた。高姫はまたもや人事不省になって唸っている。
奉仕者たちが慌てて介抱しようとするが、常彦は、神様に戒めを受けたのだから、高姫の改心のためにもしばらくは放って置いてもらうように頼んだ。
一同が別間に入って神徳話に花を咲かせていると、突然神殿の間から高姫の金切り声が聞こえてきた。驚いて皆が駆けつけると、高姫が大男に持ち上げられて放り上げられていた。
一同が駆けつけると、大男は煙のように消えてしまった。高姫は真っ青な顔で懸橋御殿を飛び出してアリナ山の方に駆け上って行った。常彦と春彦は見失っては大変と、慌てて高姫を追いかけていく。国玉依別の命により、竜と玉も一緒に高姫を追いかけた。
高姫は鷹依姫一行が野宿した白楊樹の傍らまでたどり着いた。高姫は身体が非常に重たくなって草原に横たわり、寝てしまった。高姫は目を覚ますと自分がどこにいるかわからず、独り言を言っている。
突然大きな怪物が現れて、高姫を掴んで喰おうとした。高姫は恐ろしさに震えていたが、そこへ喨々と音楽の音が聞こえてきた。すると俄かに力ついた。怪物は高姫をぱっと放した。
高姫が目を開けると、梅の花を片手に持ち、もう片方の手に白扇を持った女神が厳然として現れていた。女神は高姫のこれまでの行いが神界の邪魔をしていたことを叱り、ここで改心すればまた神界の御用を務めることができると諭した。
高姫は女神の光輝に打たれて罪を謝し、改心を約束した。女神は鷹依姫らが持ち出した黄金の玉を白楊樹から下ろすと高姫に授け、後からやってくる懸橋御殿の竜と玉に返すようにと命じた。
女神は高姫に後戻りしないように諭し、先ほどの怪物は高姫の慢心を戒める鬼神であると戒めた。そしてアマゾン河をさかのぼって鷹依姫一行と合流し、そこで修行をなしてから自転倒島に戻って神業に参加するようにと示した。日の出姫神と名乗り、高姫に懸かっているのは金毛九尾であることを気を付けると、五色の雲に乗って天上に昇っていった。