国依別は武装したウラル教徒の一団を見て打ち笑い、キジとマチに、神力を与えるから二人で彼らを蹴散らして見たらどうか、と促した。
キジは腕力に、マチは機転に自信があると、国依別の提案に乗った。国依別は自分は司令官となると言って丸木橋の上に陣取り、キジとマチに、くれぐれも敵の命だけは取らないようにと念を押した。
アナンとユーズが率いる武装隊の前に、マチは暗がりのなか立ちはだかり、大音声で言依別命だと名乗った。言依別命と聞いてウラル教徒たちは早くも心の中で恐れを抱きながらも、ユーズの下知で襲い掛かった。
マチは素早く体をかわして隠れてしまうと、ウラル教徒たちは暗がりの中で同士討ちを始めてしまった。一方キジは、アナンが率いる隊に向かって立ちはだかり、国依別を名乗って怒鳴りたてた。
アナンの号令でウラル教徒たちはキジに突っ込んできたが、キジは次々に日暮シ川に取って投げてたちまち人の山を築いてしまった。
国依別は橋の上からサーチライトのように霊光を放射して、戦場を射照らしている。アナンとユーズはたまらず、退却を命じてウラル教徒たちは逃げて行った。マチとキジは国依別の元に凱旋する。国依別は、マチとキジの勇気と働きに喜んだ。