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文献名1霊界物語 第33巻 海洋万里 申の巻
文献名2第4篇 理智と愛情よみ(新仮名遣い)りちとあいじょう
文献名3第19章 報告祭〔934〕よみ(新仮名遣い)ほうこくさい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-11-09 14:56:42
あらすじ
綾の聖地の錦の宮の八尋殿では報告祭がおこなわれた。麻邇の宝珠の神業成就や黒姫の息子が玉治別だと判明したことなど、前代未聞の大慶事に直会の席もにぎわっていた。

竹公、安公、虎公がたわいもない話で盛り上がっていた。やがて東助の一声で直会もお開きとなり、信者一同は上機嫌で家路についた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年09月19日(旧07月28日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年11月10日 愛善世界社版205頁 八幡書店版第6輯 326頁 修補版 校定版215頁 普及版80頁 初版 ページ備考
OBC rm3319
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本文  綾の聖地に於ける錦の宮の八尋殿には、七五三の太鼓の音が聞えて来た。今日は殊の外風清く、陰鬱なる霧も早朝より晴れ渡り、紺碧の空は愈高く、太陽は東の山の端より其雄姿を現はし、金色の光を地上に投げてゐる。今朝は太鼓の音も何となく冴え渡り、下界の邪気を万里の外に追ひ払うた様な気分が漂うてゐる。
 東助、高姫を初め、秋彦、友彦、テールス姫、夏彦、佐田彦、お玉、高山彦其他の幹部は祭服厳めしく、報告祭を勤行するのであつた。高姫が久振りにて高砂島より帰り、又黒姫、玉治別が筑紫の島より遥々帰国し、鷹依姫、竜国別の宣伝使が無事に帰国して、麻邇宝珠の神業に無事奉仕せし歓びと、黒姫が三十五年振りに吾実子の発見せられし事の感謝を兼ねたる報告祭であつた。
 一紘琴、二紘琴の嚠喨たる音楽の声と共に祭典は無事終了した。教主の英子姫を初め、玉照彦、玉照姫の神司並に紫姫も、神殿に深く進みて此祭典に列せられた。祭典終ると共に此四柱は教主の館を指して、悠々と四五人の信徒に送られ帰つて行く。
 後には賑々しく直会の宴が開かれた。万代未聞の大慶事といふので、錦の宮の八尋殿も日頃の窮屈に引替へ、今日一日は気楽に直会の酒を飽く迄頂き、口々に歌ひ舞ひ、踊り狂ふ事を黙許されて居た。酒の酔が廻るにつれて、そろそろ雑談が始まつて来る。
甲『オイ虎公、時節は待たねばならぬものだなア。高姫の大将や、黒姫婆アさまが、寝ても醒めても、玉々と云つて随分玉騒ぎで、言依別命様や、大勢の者を手古摺らしたものだが、到頭一心を貫いて、玉の御用を首尾克く勤め上げたぢやないか。おまけに筑紫の島から玉を一つ持つて帰りよつたのは黒姫だ。本当に甘い事しよつたネー』
虎公『オイ、小さい声で言はぬか。あれ見よ、高姫さまや黒姫さまが正座に構へて御座るぞ』
甲『俺も一つ是から玉さがしに往つて来うかなア』
虎公『貴様捜しに往かなくても、宅に沢山あるぢやないか。よく考へて見よ。貴様ん所の猫は玉といふだらう。そして毛の色が真黒々助の黒姫だオツトドツコイ黒猫だ。おまけに貴様の嬶がおすみと云つて名詮自称の真黒々助、中低のお玉杓子のやうな顔をしてゐるだらう。そして小つぽけな肝玉を持つてゐるなり、団栗のやうな目玉も二つぶら下げてゐる。貴様の睾丸は名代の八畳敷狸が税金取りに来るやうな品玉だ。これ丈沢山に麻邇の宝珠や金の玉を持つてゐる癖に、此上玉騒ぎをせられちや皆の者がたまらぬから、モウ良い加減に諦めたがよからうぞ。のう狸の安公』
安公『コリヤ虎猫、何を吐すのだ。人の事を云ふよりも、自分の蜂から払うてかかれ。俺のは八畳敷ぢやない錦の信玄袋だ。奴狸野郎奴貴様は手力男神さまの様に、おれは猫の年に生れた寅公だけれど、ヤツパリ人の家に養はれる家畜だから、自称艮の金神よりも余程偉いと吐してゐやがるが、猫寅の金神と云ふ者がどこにあるか。よつ程よい馬鹿者だなア』
虎公『トラ何を吐す。丑と云ふ奴は庭のすみつこに置いて貰ひ、糞まぶれになつて草を喰つて暮して居る奴だ。猫と云ふ奴は、主人の膝へものり、同じ炬燵へも這入り、家庭の花となつて、優待される代物だぞ。それだから猫が一番偉いのだ。それだから猫虎の金神は丑寅の金神よりも位が上だと云ふのだ。

 猫が三筋の手管の糸で
  鰌や鯰を引きころす………

と云ふ事を知らぬか。何程鰌ひげを生やし、鯰ひげを生やしとるゼニトルメンでも、自由自在に引きまはす、万能力を持つてゐるのだから大したものだ。猫寅の金神さまに限るぞよ。………猫寅の金神が現はれて、三千世界の神、仏事、人民、鳥類、獣、虫族に至るまで守護致さぬぞよ。……コラ安、イヤ狸安、どうだい、豪勢な者だらう。オツホヽヽヽ』
と笑ふ。安公は立あがり、そこらをキヨロキヨロ見まはし、自分の加勢に来て呉れる友達はないかと、酔眼朦朧とあたりを調べてゐる。そこへ目についたのは竹公と云ふ友達である。安公は、
『オイ竹公、一寸来てくれ、加勢だ加勢だ』
 此声に竹公は多勢の中をヒヨロリヒヨロリと千鳥足になり、徳利を蹴転がし、盃をふみ砕き、人の頭の上に尻餅をついたり、肩を押へたりし乍ら、やつとの事で安公の前にやつて来た。少し目が悪いので信仰を始めた近在の百姓男である。真珠の上に雑水をかぶせた様な目玉を、底の方からピカピカ光らせ乍ら、竹公は、
『オイ安公、何をかせいするのだ。かせいと云つたつて、此頃はサツパリ懐が冬枯れだ。木の葉一枚ドンドン乍ら、持つてゐないのだから、反対にこつちへチツト許り貸せないかなア。俺も今日は斯うして目出たい酒を頂いたのだが、今日働いて今日食ふと云ふ江戸つ児気質の哥兄さまだから、今日は稼ぎが出来ない。三界の首枷となる餓鬼が二三匹、家にや嬶と一緒に鍋を洗つて待つてゐるのだから、俺やモウそれを思ふと、折角呑んだ酒がさめて了ひさうだ。おれのやうな者にカセカセ吐さずと、此猫寅に貸して貰つたら如何だい』
虎公『オイ竹公、猫虎とは余りぢやないか』
竹公『丑寅の金神さまよりも偉い名ぢやないか。今お前がさう言つて自慢して居ただらう。それだから此竹公が、力一杯尊敬して猫寅といふのだが、どこが悪いのだ、そんな事言はずにチツト俺に貸せ。今日は目出たい日だから、お前も人に頼まれて滅多に首を横にふるやうな事はしさうな筈もなし、俺も亦借つて呉れと頼まれて借つてやらぬと云つて、一口にはねるやうな拙劣な事はせないからなア』
安公『オイ竹公、こんな奴に金でも借らうものなら、それこそ大事だ。出会ふ度に、貸してやつた貸してやつたと、人の前だらうが何処だらうが構はずに、いつ迄も恥をかかしやがるから、措け措け、後の為が悪いぞ』
竹公『ナーニ、構ふものか。こちらの方から反対に、人に出会ふ度に借つてやつた借つてやつたと云つたらいいぢやないか。貸してられる奴よりも借る奴の方が、当世は力があるのだからなア。さうだから人間は借金をせなくては、男の幅が利かぬといふのだ。貴様のやうに金持の所へ行つては三文一文の世話にもならぬ癖に、追従タラダラ、旦那はん仏壇はん、ゼントルマンだとか吐しやがつて、お髭の塵を払ふよりも、俺達は自分の甲斐性でドツサリ金を借り、お髭の塵どころか、三文も払うてやらぬのだ。さうすると、借られた奴めが、反対に俺の機嫌を取りやがつて、逆さまに振うても虱一つおちぬ男を、道で出会ふと向ふの方からペコペコ頭を下げて、機嫌を取るのだから大したものだよ。モシも俺を怒らさうものなら、貸した金をふみつぶされちや堪らないと、執着心の欲にかられて弱くなるのだからなア、貴様の様に貸しもせねば、能う借りもせず、朝から晩まで碌な物も食はず、嬶アと睨みつこ計りして……あゝ今年もなんぼ なんぼ食ひ込んだ、田が一町減つた。林が一つ飛んだ……と言つて、青息吐息で暮す代物とは、チツト種が違ふのだからなア』
 虎公は酒にヅブ六に酔うて居る竹公の話を聞いて、何と思うたか、
虎公『オイ竹公、貴様の言草は中々面白い。今まで随分借倒されたが、到底返してくれる見込もあり相にない。一生貴様のいふ通り、俺は貴様の機嫌をとらねばならぬと思へば情なうなつて来た。どうぞおれに金を借つてやつたと云ふことを忘れてくれ。俺も亦貸したなんどといふ事は夢にも思はぬからなア。ここに金百両あるが、これも貴様に献上するから受取つてくれ。そして俺から貰うたといふ事もスツカリ忘れるのだぞ。俺も貴様にやつたといふ事を、今日限り忘れて了ふからなア』
竹公『ヨシ、特別を以て許してやらう。有難く頂戴いたせ……ぢやない、俺が頂戴いたす……オイ安公、どうだい、竹哥兄のお腕前を知つたか、アーン』
安公『チツト俺にも分配せぬかい。貴様一人、猫糞をきめるとは、余り虫がよすぎるぞ』
竹公『猫糞をきめこむのは当然だ。灰猫の猫寅から……オツトドツコイ、忘れるのだつた、貰つたか貰はぬか、曖眛模糊として、捕捉す可らざる活劇に依つて、捕捉したのだから、マア内の嬶アに御届けする迄は御免蒙らうかい。ウフヽヽヽ……時に黒姫さまの本当の子といふのは、あの……それ……何ぢやないか、本当に呆れたものだなア』
安公『玉治別さまが黒姫の若い時の伜だつたといの。何と黒姫も今こそ神さまだとか、教だとか、偉相に云つてゐやがるが、若い時や余程の淫奔娘だつたと見えるワイ』
竹公『さうだから、神さまが此八尋殿へ集つて来る者は、罪人計りだと仰有るのだ。一代で取れぬ罪を神の御用を命して、一代で取つてやらうと仰有るのだからなア。此聖地で偉さうにやつて居る東助総務でも、高姫でも、げほうさまでも、若い時に如何な事をやつて来やがつたか、知れたものぢやないぞ。上に立つて居る者程霊の悪い如何も斯うもならぬ奴が引寄せてあるぞよと、神さまが仰有るのだからなア』
虎公『オイ両人、余りな事を言つちや可けないぞ。今日は目出たい日だから、話をするのは良いが、人身攻撃になるやうな事は謹まねばならうまい。悪言暴語なく、善言美詞の言霊を以て普く神人を和め、天地の御子と生れ出でたる其本分を尽させ玉へ……と朝な夕なに祈る所の八尋殿ぢやないか。チツト場所を考へて見よ』
竹公『上に立つとる奴は、何奴も此奴もすました顔しやがつて、俺はゼントルメンだと吐してゐるが、神さまを松魚節にして、人の懐から銭取奴だ。まるで体のよい泥棒だよ。八尋殿が聞いて呆れら。ワツハヽヽヽ』
安公『銭取る奴といふ事は貴様の事だ。衆人環視の中で、猫寅の懐から、現に銭取る奴をやつたぢやないか。人の事だと思うて居つたら、皆吾事であるぞよと神さまの御教にあるのを貴様覚えて居るか』
竹公『そんな所は俺が覚える必要がないのだ。各自に心相応に取れる教だから、俺はおれで取る所があるのだ。貴様も貴様で、気に入つた筆先の文句があるだらう』
安公『さうだなア、俺だつて嫌ひな所もあれば好きな所もある。……艮の金神現はれて……と云ふ声を聞くと、俄に頭が痛くなりやがるなり……竜宮の乙姫が日の出神と現はれるぞよ……といふ文句になつて来ると、益々気分が悪くなつて逃げて帰りたくなつて了ふワ。さうだと思ふと……世におちぶれた者を侮る事はならぬぞよ、結構なお方が世におとしてあるぞよ、誠の人間ほど苦労が永いぞよ、神は上下運否のなき様に致すぞよ……といふ点になると、中々気に入るね。斯ういふ所を聞かされると、虎公なぞは頭の痛い口だらう。それだから其人々の心に取れる筆先だと神様が仰有るのだ』
虎公『俺は別にどこが好きだの嫌ひだのといふ事はない、神さまの教には無条件降服だ。何程人間が偉相に考へて見た所で神様のお詞が分るものぢやない。俺は変性男子に対しても変性女子に対しても絶対服従だ。無条件降服だ。それより取るべき途がないのだからなア』
安公『貴様も偉い迷信家だなア。筆先といふものは一々審神をせなくては、何もかも、貴様のやうに唐辛丸呑みの議論ではサツパリ駄目だ。辛いか甘いか苦いか、よくかみ分けるのが、吾々の務めだ』
竹公『もうゴテゴテいふな、今日は目出たい日だから、俺は兎も角筆先に有難いことがあるのだ。……難儀な者を助ける精神にならぬと、神の気かんに叶はぬぞよ……といふ所がある。其筆先のおかげで、猫寅が今迄の執着心をスツパリ捨てて了つて俺に現金で百両も、沢山借金がある上に、くれる様な善の心に立返りなされたぞよ。竜宮の乙姫殿は、誠に欲の深い神でありたなれど、此度艮の金神さまが表に現はれ遊ばして、三千世界をお構ひ遊ばすについて、乙姫さまも、これでは可かぬと御合点を遊ばし、今まで海の底にためておいた宝を、残らず艮の金神様にお渡し申して、今度の御用の片腕にお成りなされたぞよ。人民も其通り、欲にためて居りて万劫末代吾の物だとこばりて居りても、天地の物は皆神の物であるから、神に返さねばならぬぞよ。上下運否のなき世に致して、世界の人民を安心させるぞよ。早く改心致した者程結構になるぞよ……と云ふお筆先は俺達に取つては天来の大福音だ。猫寅でさへも竜宮の乙姫さまになりかけたのだからなア。ウツフヽヽ、ボロイボロイこんなボロイ事が世にあらうか。それだから信心の味が分らぬといふのだ』
 斯く得意になつて、ベラベラ喋つてゐる所へ、伊助といふ竹公の身内の男、矢庭に走り来たり、『馬鹿ツ』と大声一喝、竹公の横面をなぐりつけた。
竹公『アイタヽ、コリヤ伊助、貴様は誰に断つて俺の面を擲つたのだ。伊け助ない餓鬼だ。今にドツサリ金を持つてお礼に行くから、さう思へ』
伊助『早くお礼に来てくれ、待つて居る』
と云ひ乍ら群集を押分け表へ駆出した。東助は高座に立現はれ、大声を張上げて、
東助『皆様、御苦労で御座いました。これで宴会を閉ぢますから、一先づ御退場を願ひます』
と宣示した。数千人の人々は東助の鶴の一声に、神殿に向ひ拍手再拝し、各上機嫌で住家を指して帰り行く。
(大正一一・九・一九 旧七・二八 松村真澄録)
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