建日館にて、黒姫を案内してきた玉公は、幾公から臨時の門番を頼まれて門番部屋に詰め、門を守っていた。
そこへ虎公が、黒姫のお供を連れてきたと言って門の外から声をかけた。虎公、房公、芳公、玉公は門の内外で、おかしな掛け合いを続けている。
虎公は門の外、塀の小さな窓から酒席に向かって無花果の実を三四十ばかり投げ込むいたずらを始めた。酔った客たちは驚き、熊公は喧嘩を始めた。見かねた虎公は酒席に飛び込み、熊公をなだめた。
お種は虎公を見つけて声をかけた。虎公はようやく、お種に黒姫のお供が門の外にやってきていることを告げた。お種の注進を受けて、建日別一行は黒姫を伴って虎公のところにやってきて挨拶をなした。
房公と芳公は一同と目通りする。建日別夫婦は黒姫たちに、ゆっくりとするように勧めるが、黒姫は気が急くと言って火の国に向かってさっさと旅立ってしまう。
房公と芳公は、黒姫が建日別が息子でなかったことを気に病んで落ち込んでいると見て取り、心配になって後を追って黒姫の後を探ねて行く。