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文献名1霊界物語 第35巻 海洋万里 戌の巻
文献名2第1篇 向日山嵐よみ(新仮名遣い)むこうやまあらし
文献名3第1章 言の架橋〔965〕よみ(新仮名遣い)ことのかけはし
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-09-21 10:48:21
あらすじ
数ある広大無辺な大宇宙の中でも、吾が宇宙は霊力がすぐれて尊い。上には日月が永久に水火の光を放ちつつ、下界の地球を照らしている。

森羅万象はことごとく、無限絶対無始無終の霊力体の三元を備えて巡っている。太陽・大地・太陰の無限の生命は、神の御言の恵みなのである。

そもそも大地の根源は国常立大御神と豊国主大神の経と緯との水火をもって生成化育の神業を開き給いしものなのである。

至尊至貴なる大元霊、天御中主皇大神の霊徳は、すべての物にあまねく満ちている。高皇産霊神を霊系の祖神となし、神皇産霊神を体系の祖神となしたもうたのである。

霊力体の三元は、幾億万年の年を経ていよいよ宇宙を完成した。われらの宇宙の主宰神は、天には天照大神を称えまつり、国常立大神は地上の主宰と現れまして、金勝要大御神・神素盞嗚大神とは大地の霊力体となって地上の万物に恵みの露をうるおし護らせ給う。神の御国は尊いことである。

このような尊い皇神が造り守る神国に生を受けた人草は、広大無辺のご神徳を朝夕謹んで仰ぎ祀らずにいられようか。神はわれらの霊の祖であり体の祖である。肉体もまた大神からの借り物である。

皇大神が大経綸を遂げるために永久に守り給う天地、その神の機関と生まれた尊く清き精魂を磨き上げ、人と生まれた転職を尽くしまつれよ。

居間から三十五万年前、遠き神代に国治立大神は、神人たちの身魂を治めて美しい神代を造り固めようと根底の国に忍び、いろいろと身を変じて百の神たちを現し、三五教を立て給うた。

三五の神の館を、西のエルサレムと東の自転倒島に配り、神の心そのままを四方に伝える宣伝使を任命したのである。

三五教の宣伝使黒姫は、老いたる身も顧みずに筑紫の島の果てまでも教えを伝えて進んで行く。高山彦の行方を尋ねて、三人の共を連れて火の国の都目指して進んできたが、まだ執着心は晴れやらないというところから、この巻の物語は始まる。

現在の地理学上のアフリカ大陸は、太古には筑紫の島といった。この島は、大山脈をもって火の国、豊の国、筑紫の国、熊襲の国の四つに区画され、島のかなりの部分は大砂漠となっている。

現代の日本国の九州は、国祖国常立之尊が大地を修理個性したもうたとき、アフリカの胞衣として造りたもうたのである。

琉球を竜宮と称すのも、もともとオーストラリアの竜宮島の胞衣として造られたからである。しかし大神は思うところあってこれを葦舟に流して捨てたまい、新たに四国の島を胞衣として造りたもうた。ゆえに神界では四国は竜宮の一つ島と称えられている。丹後沖に浮かぶ冠島もまた、神界では竜宮島と称えられている。

昔の聖地エルサレムは、現在よりももう少し東方にあり、シオン山という霊山によって地中海を両分し、東を竜宮海といった。神代のエルサレムはトルコの東方にあって、アーメニヤと南北相対していたのである。

ヨルダン河は、現在のユーフラテス河がそれである。太古のヨルダン河は、新約聖書のヨルダン河とは別物であり、現代のペルシャ湾が太古の死海であった。大洪水や大震災により、神代の地理は現代と多少変わった点があるのである。

前巻までに、黒姫一行が筑紫の島・熊襲の国の建日の港に上陸し、火の国の都を目指して進んで行く物語を述べておいた。火の国の神司・高国別命は神名を活津彦根命といい、高山彦と名乗っていた。高姫は、高国別命を自分の夫の高山彦だと思っていたのである。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年09月15日(旧07月24日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年12月25日 愛善世界社版7頁 八幡書店版第6輯 477頁 修補版 校定版7頁 普及版3頁 初版 ページ備考
OBC rm3501
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本文  広大無辺の大宇宙  数ある中に霊力の
 秀れて尊き我宇宙  上には日月永久に
 水火の光を放ちつつ  下界の地球を照臨し
 森羅万象悉く  無限絶対無始無終の
 霊力体の三元を  備へてめぐる神の業
 太陽大地太陰の  無限の生命は御倉板挙
 神の御言の恵なり  抑も大地の根源は
 国常立大御神  豊国主大神の
 経と緯との水火をもて  生成化育の神業を
 開き玉ひしものなるぞ  無限絶対無始無終
 至尊至貴なる大元霊  天にまします御中主
 皇大神の霊徳は  すべての物に遍満し
 高皇産霊の神をして  霊系祖神となし玉ひ
 神皇産霊の神をして  体系祖神となし玉ふ
 あゝ惟神々々  霊力体の三元は
 幾億万の年を経て  いよいよ宇宙を完成し
 我等が宇宙の主宰神  天にありては大日婁売
 天照します大神と  称へまつるぞ尊けれ
 国常立大神は  地上の主宰と現れまして
 金勝要大御神  神素盞嗚大神と
 大地の霊力体となり  地上に於ける万類を
 昼と夜との区別なく  恵の露をうるほはし
 守らせ玉ふ葦原の  神の御国ぞ尊けれ
 かかる尊き皇神の  力に造り守ります
 大海原の神国に  生を享けたる人草は
 広大無辺の御神徳  朝な夕なに謹みて
 仰ぎまつらであるべきや  神は我等の霊の祖
 体の祖と現れませば  我等が五尺の肉体も
 皆大神の借り物ぞ  皇大神の永久に
 守り玉ひて天地の  大経綸を遂げ玉ふ
 神の機関と生れたる  尊き清きものならば
 至粋至純の精魂に  朝な夕なに磨き上げ
 人と生れし天職を  尽しまつれよ同胞よ
 あゝ惟神々々  今より三十五万年
 遠き神代に溯り  国治立大神が
 天が下なる神人の  身魂を治めて美はしき
 神代を造り固めむと  根底の国に忍びまし
 いろいろ雑多と身を変じ  百の神達現はして
 三五教を立て玉ひ  教を四方に伝へます
 尊き清き三五の  神の館をエルサレム
 自転倒島の貴の宮  西と東に霊くばり
 神の心の其儘を  四方に伝ふる宣伝使
 任けさせ玉ふ有難さ  神の司も数多く
 坐します中に三五の  道に仕ふる宣伝使
 信心堅固の黒姫が  神の御言を畏みて
 四方の人草救はむと  老いたる身をも顧みず
 島の八十島八十の国  筑紫の島の果までも
 教を伝へて進み行く  勇健無比の神人の
 不惜身命の物語  心を筑紫の不知火の
 世人を救ひ助けむと  高山彦の後を追ひ
 自転倒島を立出でて  孫公、芳公、房公の
 三人の信徒と諸共に  波に漂ふアフリカの
 建日の港に安着し  嶮しき坂を踏み越えて
 火の国都に立向ひ  高山彦の所在をば
 索めて来る黒姫が  執着心のどこやらに
 まだ晴れやらず気を焦ち  いろいろ雑多と村肝の
 心を尽す物語  今日は九月の十五日
 三五の巻の開け口  瑞祥閣の奥の間で
 安楽椅子によりかかり  片手に団扇を持ち乍ら
 膝を叩いて諄々と  繰出す神代の物語
 筆執る人は松村氏  真澄の空に天津日の
 晃々輝く午前九時  誌し行くこそ楽しけれ
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましまして
 神のまにまに説き出づる  わが言の葉を永久に
 世人に伝へて惟神  神の賜ひし生身魂
 照らさせ玉へ天津神  国津神達八百万
 産土神の御前に  慎み敬ひ願ぎまつる
 謹み畏み願ぎまつる。
 現在の地理学上のアフリカの大陸は、太古の神代に於ては、筑紫の島と云つた。さうして此島は身一つにして面四つあり。火の国、豊の国、筑紫の国、熊襲の国と大山脈を以て区劃されてゐる。さうして島の過半は大沙漠を以て形作られてゐる。
 現代の日本国の西海道九州も亦総称して筑紫の島と云ふ。国祖国常立之尊が大地を修理固成し玉ひし時アフリカ国の胞衣として造り玉ひし浮島である。又琉球を竜宮といふのも、オーストラリアの竜宮島の胞衣として造られた。されど大神は少しく思ふ所ましまして、これを葦舟に流し捨て玉ひ、新に一身四面の現在日本国なる四国の島を胞衣として作らせ玉うた。故に四国は神界にては竜宮の一つ島とも称へられてゐるのである。丹後の沖に浮べる冠島も亦竜宮島と、神界にては称へられるのである。
 昔の聖地エルサレムの附近、現代の地中海が、大洪水以前にはモウ少しく東方に展開してゐた。さうしてシオン山といふ霊山を以て地中海を両分し、東を竜宮海といつたのである。今日の地理学上の地名より見れば、余程位置が変つてゐる。神代に於けるエルサレムは小亜細亜の土耳古の東方にあり、アーメニヤと南北相対してゐた。
 又ヨルダン河はメソポタミヤの西南を流れ、今日の地理学上からはユウフラテス河と云ふのがそれであつた。新約聖書に表はれたるヨルダン河とは別物である。さうしてヨルダン河の注ぐ死海も亦別物たることは云ふ迄もない。今日の地理学上の波斯湾が古代の死海であつた。併し乍ら世界の大洪水、大震災に依つて、海が山となり、山が海となり、或は湖水の一部が決潰して入江となつた所も沢山あるから、神代の物語は今日の地図より見れば、多少変つた点があるのは止むを得ぬのである。
 さて三五教の宣伝使黒姫が現代のアフリカ、筑紫の島の一部、熊襲の国の建日の港へ上陸し、それより建日別命の旧蹟地を探ね、筑紫ケ岳を三人の供人と共に踏越えて、火の国の都を指して進み行く物語は、前巻に於て大略述べておいた通りである。いよいよこれより黒姫が火の国都に立向ひ、高山彦の宣伝使と名乗る高国別命、神名は活津彦根命を自分の夫高山彦と思ひ詰め、夫の所在を探らむと進み行く波瀾重畳としたる面白き昔語である。さうして自分の若き時に或事情の為に捨児をした男の子が、成人して立派な宣伝使となり、同じ道に仕へて居るのをも母子共に気付かなかつたのが、或機会に親子の間柄たる事が知れ渡り、喜び勇んで自転倒島の聖地へ帰り、麻邇の宝珠の神業に奉仕する芽出度き事実を口述するのが本巻の主眼である。第三十三巻を参照すれば、此間の消息が分るであらう。あゝ惟神霊幸倍坐世。
(大正一一・九・一五 旧七・二四 松村真澄録)
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