虎公、お愛、三公、孫公の四人は、スッポンの湖の大蛇を言向け和すための旅の途上、白山峠で野宿することになった。
虎公、お愛、三公の三人はいびきをかいて寝てしまったが、孫公は一人起きて座していたところ、草を揺らしてかきわけ、一人の女が現れた。女は、助けてほしいことがあるからと孫公を誘う。
孫公が断りを入れると、女は孫公を馬鹿にし始めた。女は孫公が、黒姫の従者として自転倒島からやってきた経緯を知っているようだった。
女は孫公を金縛りにしてしまい、自分は孫公が最前、お愛の寝顔を見て起こした恋の執着心が生んだ化けものだと明かした。
孫公が困惑していると、そこへ恋の執着心を戒める玉治別宣伝使の宣伝歌が聞こえてきた。すると女は煙のように消えてしまった。
そうかと思えば、気が付くと孫公は三人の仲間から四五間離れて寝入ってしまっており、さいぜんの女は夢であったことに気が付いた。
孫公は、夢は神様が玉治別宣伝使を通して気を付かせてくださったものだと悟り、柏手を打って天津祝詞を奏上した。