孫公が一生懸命祝詞を上げる声に目をさまし、お愛は起き上がってやってきて、孫公に声をかけた。孫公は驚いて、先ほどの夢の戒めから一生懸命、お愛に自分を誘惑しないようにと懇願する。
お愛は孫公の慌てぶりに頬をつねるが、孫公は悪くない気分だと言ってはまた、お愛に捉われないようにと自分に言い聞かせ始め、ちょっとした騒ぎを始める。
虎公も起きて、お愛と二人で孫公をからかうが、孫公は自分がお愛に恋慕していた執着心に思い当り告白した。
お愛は孫公を嫌いだとはっきり愛想つかしを言うことで、孫公は執着心を払い捨てることができた。孫公は柏手をうって大神に感謝の詞を捧げた。
三公は目をさまし、夜明けも近いことを告げた。一同は述懐の歌をそれぞれ歌った。夜が白み始めた。一同は谷川で身を清めて天津祝詞を奏上し、朝食の後白山峠を登り始めた。
孫公は、自分の執着心から化けものを生み出し、玉治別の宣伝歌に助けられた前夜の経緯を歌い、大蛇との言霊戦への決意を新たにした。