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文献名1霊界物語 第35巻 海洋万里 戌の巻
文献名2第2篇 ナイルの水源よみ(新仮名遣い)ないるのすいげん
文献名3第11章 野宿〔975〕よみ(新仮名遣い)のじゅく
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-09-26 11:00:40
あらすじ
孫公が一生懸命祝詞を上げる声に目をさまし、お愛は起き上がってやってきて、孫公に声をかけた。孫公は驚いて、先ほどの夢の戒めから一生懸命、お愛に自分を誘惑しないようにと懇願する。

お愛は孫公の慌てぶりに頬をつねるが、孫公は悪くない気分だと言ってはまた、お愛に捉われないようにと自分に言い聞かせ始め、ちょっとした騒ぎを始める。

虎公も起きて、お愛と二人で孫公をからかうが、孫公は自分がお愛に恋慕していた執着心に思い当り告白した。

お愛は孫公を嫌いだとはっきり愛想つかしを言うことで、孫公は執着心を払い捨てることができた。孫公は柏手をうって大神に感謝の詞を捧げた。

三公は目をさまし、夜明けも近いことを告げた。一同は述懐の歌をそれぞれ歌った。夜が白み始めた。一同は谷川で身を清めて天津祝詞を奏上し、朝食の後白山峠を登り始めた。

孫公は、自分の執着心から化けものを生み出し、玉治別の宣伝歌に助けられた前夜の経緯を歌い、大蛇との言霊戦への決意を新たにした。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年09月16日(旧07月25日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年12月25日 愛善世界社版119頁 八幡書店版第6輯 515頁 修補版 校定版127頁 普及版46頁 初版 ページ備考
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本文  孫公が一生懸命になつて夜中に祝詞をあぐる声に、目を覚まされて起き上つたお愛は、孫公の此姿を見て怪しみ、ツカツカと側に寄つて来た。其時は已に祝詞を終つてヤツと一息をついた時である。
『孫公さま、もう何時で御座いませうかな。まだ夜明には間がある様ですが、えらい早く目が覚めたと見えますなア』
 孫公は星月夜にお愛の姿を眺めて驚愕し、両手を打振り打振りながら、
『もしもしお愛さま、其処にジツとして居て下さい。お前さまに来られると恋の糸に縛られて、身体がビクともせない様になつて了ひます。もう何卒々々彼処で結構で御座います。何なりと御用を云つて下さい。近寄つて来ても私はスツパリ改心しましたから、何程可愛いお愛さまが秋波を送つて下さつても、孫公の鉄石心はお生憎様、梃子でも棒でも動きませぬぞや。女と云ふものは魔だからな。世界中の男を雁字り捲きにして身動きもならない様にする奴だからなア。あゝ若し若しお愛さま、さう此方へ近寄つて貰つちや堪りませぬわ、何だかいけ好かない臭がしますから……』
と今見た夢の受売を一生懸命にやつてゐる。
『ホヽヽヽヽ、あのまア、孫公さまの恐さうな様子、お前さまも男ぢやありませぬか、チツとシツカリなさいませ』
『最前の夢の見直しかいな。同じ様な事を言ひよるワイ』
『これ孫公さま、夢でも見なさつたのか。ほんに気楽な方ですな』
『気楽どころか、チツとも寝られないのですよ。お前さまが出て来ては私を罵つたり引括つたりするものだから、如何しても寝られやしない。宜い加減悪戯をせずに寝んで下さいな。今晩の中にチツと身体を休めておかないと、明日の言霊戦に元気が抜けちやなりませぬからな』
『何とまア訳の分らぬ寝言を云ふ人だ事、チツとシツカリなさいませ』
と言ひ乍らお愛は頬辺を一寸抓つた。
『アイタヽ痛いなア。アヽ併しながら温かい柔かい白い細い手で抓られるのも、何処ともなしに愉快なものだ。モシモシお愛さま、一寸も遠慮は入りませぬ。顔なつと尻なつと腕なつとお前さまに任しますから、何卒自由にして下さい』
『ホヽヽヽこれ孫公さま、虎公さまが居られますよ。あんまりの事は云はないで下さい』
『アーア又怪しくなつて来た。如何やら俺の腹の中から再び最前の化女が生れさうになつて来たわい……あゝ惟神霊幸倍坐世。何卒天地の大神様、此孫公が恋の執着心を科戸の風の天の八重雲を吹き払ふ如く伊吹き払ひに払ひ除けて下さいませ、偏にお願ひ致します』
 虎公は此話にフツと目を覚まし、
『お愛お前其処に何して居るのだ。早く寝ないと明日は大活動をせなくちやならないぞ』
『孫公さまが下らぬ事を云つて騒いで居るものですから如何しても寝られないのですよ』
『孫公さま、早くお寝みなさらぬか』
と虎公がきめつける。
『何だか知りませぬが、お愛さまが夢か現か分らないが二度迄も私の側にやつて来て、引張つたり抓つたり意茶つくものだから、チツとも寝られないのですよ。チツと虎公さま、女房に説諭をして置いて貰はぬと、色男の孫公も本当に迷惑致しますわい』
『アハヽヽヽ気楽な男だなア。……これお愛、孫公さまをよく寝入る様に、お前の乳でも飲まして「寝んね」でも歌つて寝ましてやつて呉れ。俺達やモ一寝入りしたいからな』
『オホヽヽヽ虎公さま、そんな事云つて下さると困りますわ。孫公さまの前で……』
『オツと占めた、御亭主の許可が下つたのだからもう大丈夫だ。これこれお愛さま、遠慮は要らぬ、苦しうない、近うおぢや』
『オホヽヽヽ、又女の臭い香がすると御迷惑だから遠慮しておきませうか、なあ、妾は男の側へ寄ると鼻を捩ぢたり、目玉をくり抜いたり、乳を噛み切つたり、抓りたいのが病ですから……それでも御承知ですならお傍へ寄せて頂きませう』
『虎公さまは随分辛抱のいい男だと見えるなア。こんな剣呑な女を如何してまア平気に一緒に寝て居るのだらう。矢張意茶つかれるのが気分が好いのかなア』
『虎公さまなら一度だつて抓るの、齧りつくの、そんな乱暴な事はしませぬよ。肩から足の先まで撫でて可愛がつて寝かして上げるのですからね』
『そんなら私もさう願ひたいものだなア』
『エヽ好かんたらしい。天ン若だから抓つたり噛んだり、可愛がつてやると云ふのですよ。オホヽヽヽ』
『はい有難う。それで何もかも私の胸が開けました。実の処はお前さまが私の顔を一寸覗き込んで、意味ありげな笑ひ様をなさつたと思ひ、此奴ア俺にチヨイ惚だなアと早合点し、それを根にしてお前さまを密かに恋する様になつたのだ。併し今の言葉によればお前さまは此孫公に対し、吾不関焉の御心底だと云ふ事が今初めて分りました。是で私もスツカリ諦めます。何卒安心して下さいませ。此上は決して穢しい量見は出しませぬから……』
『吾不関焉位ですか。本当の事を云へば孫公さまは鈍な男だ、虫の好かぬ男だと思つて居るのですよ。お前さまの方から吹いて来る風でさへも胸が悪いのだもの、本当にいけ好かない野郎だと心の底から思つて居ますのよ』
『ハイ、有難う。ようそこ迄嫌つて下さいました。それで私も真人間になつて助かります。アヽ神様、有難う御座います』
と愛想尽かしを云はれて、孫公は心の底から打ち喜び、拍手をうつて大神に感謝の詞を捧げて居る。
 三公は又もや目を覚まし、
『皆さま、えらうお話が機んでる様ですが、もう夜明けに間もありますまいな』
孫公『烏羽玉の暗夜はここに晴れ渡り
  心の空に照る月の影。

 来て見れば白山峠の登り口
  登りつめたる恋の曲者。

 曲者は今や何処へ去りにけむ
  心の空に懸る雲なし。

 草原を分けて怪しの物影は
  吾を目当に攻め寄せにける。

 その影は何者ならむわが胸に
  潜み居たりし恋の曲者。

 何時迄も胸の悪魔の去らざれば
  吾は根底の国に落つべき。

 皇神の深き恵みに包まれて
  草野にやすく夜を眠りたり。

 惟神神のまにまに進み行く
  大蛇退治の身こそ尊き』

虎公『小夜更けて砧の声もとどまりぬ
  早く寝ねませ孫公司よ』

孫公『沸き返る恋の焔に包まれて
  心苦しく眠られざりける』

お愛『ほのぼのと東の空も白山の
  麓に明かす神の道芝』

三公『騒がしき声聞きつけて起き上り
  四辺を見れば恋の曲者』

孫公『まごまごと恋路の暗をさまよひて
  一目も寝ずに泣き暮しける。

 泣き暮す恋の虜は吾ならじ
  今は昔の三公親分よ』

三公『晴れ渡る大空の如きわが胸に
  恋の黒雲かかるべしやは』

お愛『人はいざ知らず妾は何処迄も
  恋と道とを立て別け行かむ』

虎公『迷ひ行く恋の坂道漸くに
  踏み越えましし三公の君』

孫公『まごまごと白山峠の山麓に
  まごつき恋の夢を見しかな。

 夢に見て恋しきものを現身の
  君に添ひなば如何に楽しき。

 まて暫し心猿意馬は又狂ふ
  心の手綱かたく結ばむ。

 惟神神の教の道をふみ
  恋の曲者斬りて屠らむ。

 迷ひけり覚めけり又も迷ひけり
  夢に夢見る浮世なりせば』

 夜は漸くに白み初めた。四人はムツクと起き谷川に手水を使ひ身を清め、天津祝詞を奏上し、携へ来りし弁当を食ひ、赤禿だらけの白山峠を登り行く。孫公は道々足拍子を取つて歌ひ出す。
『「ウントコドツコイ」きつい坂  今行く坂は恋の坂
 善か悪かは白山の  峠を渡るわが恋路
 知らず識らずに村肝の  心の曲者跳梁し
 お愛の方に目をくれて  「ウントコドツコイ」きつい坂
 及ばぬ事のみ思ひつめ  心を苦しめ居たりしが
 「ウントコドツコイ ハアハアハア」  油断をすれば危ないぞ
 危ない危ない恋の闇  寝られぬままに起き上り
 彼方此方と「ドツコイシヨ」  夜霧の中を逍遥うて
 恋の焔を消すうちに  ザアザアザアと音たてて
 「ウントコドツコイ」又滑る  怪しの女が只一人
 薄の中から手を伸ばし  「ウントコドツコイ」嫌らしい
 妙な声をばふりしぼり  モシモシこれこれ旅の人
 「ドツコイドツコイ」私は  お前に願ひがありまする
 何卒此方へ来てお呉れ  お頼み申すと云ふ故に
 寝られぬままに「ドツコイシヨ」  孫公司が跟いて行く
 やさしい女の顔に似ず  口を極めて荒男
 神の司を捉まへて  口を極めて嘲弄する
 こりや怪しからぬ女奴と  眼を据ゑて「ウントコシヨ」
 睨めば女は打笑ひ  女に「ドツコイ」魂抜かれ
 荒野を逍遥ふ「ドツコイシヨ」  腰抜男のお前さま
 お愛の方を恋しいと  迷ふ心の執着が
 妾の身体を生みました  ほんに困つた男だと
 散々小言を並べ立て  孫公凹ます折柄に
 何処ともなしに宣伝歌  闇を通して響き来る
 「ハアハアハアハア」えらい坂  「如何にも息が絶れさうな」
 玉治別と名乗りつつ  孫公司を誡めの
 手痛い意見の宣伝歌  こりや堪らぬと首おさへ
 眼を閉ぢて居る間に  以前の女は何処へやら
 煙となつて「ドツコイシヨ」  姿を隠した訝しさ
 折から吹き来る夜嵐に  面を撫でられ気がつけば
 執着心の恋の犬  主人の寝たのを幸ひに
 跋扈跳梁して居つた  あゝ惟神々々
 思へば思へば馬鹿らしい  別に恋しと「ドツコイシヨ」
 俺は思うたぢや無けれども  心に潜む曲者が
 此肉体を左右して  「ウントコドツコイ ヤツトコシヨ」
 あんな心にしたのだらう  あゝ惟神々々
 神の尊き御光に  心の闇も晴れ渡り
 夜も白々と白山の  峠を越えてスツポンの
 湖に潜める曲津見の  大蛇を言向け和さむと
 進み行くこそ楽しけれ  あゝ惟神々々
 神の助けを蒙りて  吾等一行四人づれ
 協心戮力「ドツコイシヨ」  臍を固めて曲神の
 醜の砦に立ち向ひ  善言美詞の言霊に
 大蛇の霊を解脱させ  天国浄土に救ひつつ
 皇大神の御教を  禽獣虫魚に至るまで
 開き行くこそ雄々しけれ  あゝ惟神々々
 御魂幸へましませよ』
と歌ひ乍ら、四人は漸くにして白山峠の絶頂に辿りつけり。
(大正一一・九・一六 旧七・二五 北村隆光録)
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