足立、中村、四方春蔵らが喜楽への反対運動を激しくしてきたので、福島寅之助氏の神がかりはますます激しさを増した。谷口もそれに加わり、遂には教祖様を退隠させて喜楽を放逐しようと謀議をこらしていた。
福島氏の荒れ方は次第に激しくなり、遂には中村や四方春蔵にも手に負えなくなってきた。巡査もやってきて小言を言うようになってきたので、祐助爺さんが喜楽に助けを求めてきた。
教祖様はこれを聞いて、上田先生一人で邪神の群れに飛び込むことはならぬ、澄子を連れて行くように、と命じた。自分は祐助爺さんと澄子と三人連れで上谷の修行場に駆け付けた。
福島ら神がかりの連中は家中を暴れまわり、中村、四方春蔵、谷口らは手品がききすぎて手が付けられなくなり、家の隅で小さくなって震えている始末である。
神がかりの福島は喜楽の顔を見ると、信者らに霊縛するようにと命じた。一同は手を組んでウンウン唸っているが、喜楽の身体には何の影響もない。そこに澄子が現れてウンと一息にらむと、二十余人が一時にバタバタと将棋倒しになり、身体強直して動けなくなってしまった。
足立、中村、四方春蔵らは蒼白となり、許しを請うのみであった。澄子が改心すればゆるす、というと一同の身体はたちまちもとに戻った。
村上房之助、野崎篤三郎はどこともなく姿を隠して帰ってこない。二人の両親が、大切な息子を狂人にしたと怒鳴り込んできた。喜楽が両親を諭していると、村上・野崎両人は、新しい信者を連れて帰ってきた。
福島氏はひとまず八木へ帰ることになり、後は喜楽と澄子が審神者となってひとまず金明会は治まるようになった。反対者たちもようやく教祖様や喜楽の指図に従うようになった。