八岐大蛇や悪神たちがはびこる暗黒の世の中は、みなたがいに相争い合っている。それがために国家社会は刻々に危機に瀕して乱れきっている。
医学衛生は完備しても病気が蔓延し、交通機関が完備しても有無通じる道もない。国家の富力が増進しても飢餓が人々に迫る。
眼を転じれば外侮の脅威はますます高まり、国交は非運となり、人の思想は悪化していつ爆発するとも知れない。
これを思えば夜も寝られず、涙は頬を伝って流れる。古今未曾有のこの惨状を救って松の神の代に開くための神の道を立てさせ給う尊さよ。誠の神が現れて治めたまわるときはいつになるのだろうか。
天地の神もあきれ果て、風雨雷電は激怒し、水神怒り海神は怒涛を巻き起こして地上の生き物を洗い去り、大地の神は干ばつを、地震の神は家屋を倒し、火竜は地上の穢れを焼き尽くす。軍神は天賊地妖をくまなくみな殺し、清め給うぞ尊いことである。
天来未知の大偉人が現れ来たり、天地のもろもろの穢れを潔斎し、神に選ばれた民を永遠に救って五六七の御代となれば、ここに初めて地上に天国が顕現し、無上至楽の世となるだろう。
邪神を懲らし善神を救うご経綸こそ、まったく皇神がわれらに賜ったご遺訓である。この神意を解する者がなかったために、皇大神は神の教えを立て給い、綾の聖地に現れまして皇道本義を宣り給う尊き世となったのである。
神の御綱に引かれて寄り集う人はおしなべて、この御教えを遵奉し模範を世界に示せば、次第に人は善良な身魂となって世のために尽くす真人となる。
そうすれば神は喜び、自然に天地は清まって神の御国に泰平を謳い、御恵に浴する御代となるであろう。