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文献名1霊界物語 第39巻 舎身活躍 寅の巻
文献名2第1篇 伊祖の神風よみ(新仮名遣い)いそのかみかぜ
文献名3第2章 評定〔1067〕よみ(新仮名遣い)ひょうじょう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-11-15 09:17:30
あらすじ
神素盞嗚大神の命によって、斎苑の館の八尋殿では厳格な相談会が開かれた。大神は高座に現れ、一同に歌をもって相談会の意図を宣旨された。ハルナの都に進み、大黒主を言向け和す神司を選定せよ、との思し召しであった。

大神は神軍の成功を祈り、奥殿に姿を隠された。日の出神が議長となって詮議は開始された。時置師神は、元バラモン教との蜈蚣姫と黄竜姫親子を遣わしたらどうかと推薦した。

黄竜姫、蜈蚣姫はそれぞれ立って自ら敵城に向かう決意を述べ、ハルナの都行きを承認された。一方、照国別は立って自らを自薦した。日の出神は承諾し、照国別は一人で月の国へ出張することとなった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年10月21日(旧09月2日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年5月5日 愛善世界社版16頁 八幡書店版第7輯 285頁 修補版 校定版16頁 普及版7頁 初版 ページ備考
OBC rm3902
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本文の文字数2876
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本文  バラモン教の教主大黒主の暴状を懲らし、言向和して天下の害を除き、八岐大蛇や醜神の身魂を清むべく、ここにウブスナ山脈の頂上斎苑の館の八尋殿にて神素盞嗚大神の命により厳格なる相談会が開かれた。素盞嗚大神は高座に現はれ一同に向つて歌を以て宣示された。其御歌、
『天と地との神々の
 水火を合してなりませる
 三五教の御教は
 島の八十島八十の国
 隈なく光り渡れども
 八岐大蛇の醜神は
 未だ全く服はで
 山の尾の上や河の瀬に
 潜みて枉を朝夕に
 拓き行くこそうたてけれ
 三五教の神司
 清けき明き真心を
 力限りに振り起し
 天地四方の神人を
 救はむ為めに現身の
 身を粉になして遠近と
 荒野を渡り海を越え
 雪を踏みしめ暑さを耐へ
 雨にはそぼち荒風に
 煽られ乍ら進み行く
 其神業ぞ雄々しけれ。
 時しもあれや顕恩の
 郷に現はれ蟠かまる
 バラモン教の大棟梁
 鬼雲彦は三五の
 誠の道に怯ぢ恐れ
 自転倒島に立籠り
 悪しき教を四方の国
 伝へむとする其時に
 わが遣はせし神司
 正しき人の言霊に
 恐れをなして逃げ帰り
 再びフサの国に入り
 彼方此方と徜徉ひて
 今しも印度の国の都
 ハルナに現はれ岩窟を
 穿ちて魔神を呼び集へ
 其勢は日に月に
 侮り難くなりにけり
 八岐大蛇は悉く
 これの都に集りて
 我三五の大道を
 覆がへさむと図りつつ
 早くも斎苑の館まで
 攻め来らむず勢ひに
 四方の曲神勇み立ち
 振ひ居るこそ健気なれ
 野立の彦や野立姫
 埴安彦や埴安姫の
 神の命とあれまして
 開き給ひし此道は
 天と地との神々の
 堅磐常磐に動きなき
 珍の御楯となりつれば
 如何に魔神の騒るとも
 いかで倒るる事やあらむ
 さはさりながら曲神の
 伊猛り狂ふ世の中は
 心を許すこと勿れ
 いざこれよりは神司
 神の光りを身に浴びて
 大黒主が潜みたる
 ハルナの都に立向ひ
 仁慈無限の大神の
 清き正しき大道に
 言向和し来るべし
 これに就いては諸々の
 神の司は真心の
 限りを尽して相図り
 大黒主を懲戒の
 神の司を選めかし
 われはこれより奥殿に
 進みて天地の大神に
 厳の言霊宣り上げて
 我神軍の成功を
 祈り奉らむいざさらば
 百の司よ神人よ
 謹み畏み此度の
 言向戦を各自に
 心の底より打ち明かし
 選みて神の御心に
 仕へまつれよ惟神
 神の御前に瑞霊
 心を清めて宣りまつる』
と宣示し終つて奥殿に姿を隠し給ふた。
 思兼神(議長)の格に控へたる日出別神は一同に向ひ、

『惟神斎苑の館に集まりて
  魔神討伐の神議りせむ。

 大神の珍の御言を畏みて
  並み居る司言議りせよ。

 バラモンの大黒主の神司
  ハルナの都に事謀ゆらし。

 はかゆとも何かあらむや曲神の
  醜の企みは神許すまじ。

 素盞嗚の神の尊の御教は
  月日の如く冴え渡るなり。

 冴え渡る三五の月の御教に
  言向和せ大黒主を』

 東野別命は立つて之に答へた。

『言霊の斎苑の館の神司
  東の別は言問ひまつる。

 大黒主曲の司を言向くる
  神の司は何人とせむ。

 聞かまほし日出の別の御心を
  重き使を定めかねつつ。

 この使あまり多くは要るまじと
  東野別は思ひ居るなり』

 日出別命はこれに答へて、

『日出別東の空を分け昇る
  三五の月の照らすまにまに。

 何人もわれと思はむ人達は
  心のたけを宣り伝へませ』

 東野別はこれに答へて、

『日出別神の仰せぞ尊けれ
  神言のままに選み合ひせむ』

 時置師神は起ち上り、

『この使黄竜姫や蜈蚣姫
  先づ遣はして瀬踏みせしめよ。

 二柱神の命はバラモンの
  教にゆかり居ます身なれば。

 顕恩の郷を立ち出で給ひてゆ
  久しく会はせ給はぬ身故に。

 三五の神の司の行くよりも
  蜈蚣姫には心許さむ。

 蜈蚣姫黄竜姫は雄々しくも
  大黒主を言向和さむ』

 黄竜姫は、立つて歌ふ。

『黄竜姫神の命は三五の
  道に入りしと彼は知るらむ。

 足乳根の母の命は今暫し
  斎苑の館に仕へますべし。

 年老いし身をもちながら敵城に
  進まむ事の危く思へば』

 蜈蚣姫はこれに答へて、

『天地の神に捧げし此命
  いかで恐れむ水火の中も。

 大黒主たとへ如何なる力あるも
  わが言霊に言向けて見む。

 黄竜姫弱き言霊吹き放ち
  母の名までも汚すまじきぞ。

 吾こそはハルナの都に立ち向ひ
  鬼熊別の夫を諭さむ。

 大黒主神の司を始めとし
  吾背の君を救はむとぞ思ふ。

 勇ましき此御使に仕へなば
  吾は死すとも悔ざらましを』

 黄竜姫はこれに答へて、

『健気なる母の命の御言葉よ
  神の尊さ今更ぞ知らるる。

 吾母は如何に雄々しき神ならむ
  冴え渡りたる今の言霊。

 いざさらば母の命と諸共に
  ハルナの都に向はむとぞ思ふ』

 蜈蚣姫はこれに答へて

『健気なる黄竜姫の言葉かな
  吾は勇みて敵城に行かむ』

 素盞嗚尊の第二の娘幾代姫の夫となりし照国別(元の名は梅彦)は起ち上り、歌を以て所感を述べた。
『神素盞嗚大神の  いと厳かな御宣言
 其御心を細さに  受け入れ給ひし神司
 日出別や八島主  東野別や時置師
 尊き神が在しながら  神の力を身に魂に
 満ち足らはせし梅彦を  他所に皆して黄竜姫
 蜈蚣の姫を推薦し  給ひし事の恨めしさ
 吾は照国別の神  尊き神名を賜はりて
 勇気は日頃に百倍し  心は勇み腕はなり
 はや堪へ難くなりにけり  並び給へる神司
 吾を選ませ給ひなば  大黒主の立て籠る
 ハルナの都に立向ひ  千変万化の言霊を
 縦横無尽に発射して  魔神を一人も残さずに
 言向和し神徳を  月日の如く天地に
 輝かさむは目のあたり  三千世界の梅の花
 一度に開く梅彦を  これの使に選まずば
 如何に尊き黄竜姫  蜈蚣の姫の両人が
 何程秘術を尽すとも  いかで思ひを達せむや
 直日に見直し聞き直し  宣り直しつつ梅彦を
 加へて三人月の国  ハルナの都へ大神の
 使とよさし給へかし  吾胸中は早已に
 大黒主の神司  服へ和す心算の
 数限りなく確立し  命令一下忽ちに
 此神業を完成し  八岐大蛇や醜神を
 言向和すかさもなくば  根底の国へ追ひ落す
 神算鬼謀は胸にあり  只願はくは梅彦の
 照国別を正使とし  二人の女神と諸共に
 進ませ給へ惟神  神に誓ひて乞ひまつる』
 幾代姫は起ち上がり、

『雄々しくも吾が背の君の宣らすこと
  許させ給へ百の司等。

 願はくは幾代の姫も諸共に
  ハルナの都へ行かまほしさよ。

 照国別神の命と名を負ひし
  吾背の君の勇ましきかも。

 日出別神の命に物申す
  吾等夫婦を印度に遣はせ。

 東野別神の教の司たち
  吾等夫婦の乞ひを許せよ。

 時置師神の命も梅彦や
  吾願言を聞し召しませ』

 時置師神は又歌もて、

『汝が君のその言の葉は清けれど
  見合せ給へ夫婦の出立。

 三五の神の使の夫婦連れ
  神世も聞かぬ例なりせば』

幾代姫『神国を思ふ誠のあふれてぞ
  吾言霊のいとも恥かし。

 いざさらば吾背の君を只一人
  使はせ給へ印度の御国へ』

 日出別は答へて、

『照国別神の命は印度の国
  いと雄々しくも進み行きませ』

 日出別命の宣示によつて茲に照国別は愈印度の国へ出張することとなつた。
(大正一一・一〇・二一 旧九・二 北村隆光録)
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