瑞月は大正十年十月十八日(旧九月十八日)より、教祖神霊の示教のまにまに明治三十一年二月、高熊山の霊山に天使に導かれて幽斎の修業中、神幽二界を探検して見聞した事柄を後述し始めた。
そのとき、非法の三玉とか自ら称えている守護神どのの急忙な催促の下に、擬理天常非の出の神とか、大小軍とか床夜姫とかの筆先を見てもらいたいと申し込まれた。
けれども神様の御注意によって、『霊界物語』霊主体従第十二巻の後述を了るまでは一枚も見ることはできない、しかし第一輯が出来上がったら一見してもよい、との約を履行すべく、たくさんの筆先を読んでみたところ、抱腹絶倒せざるを得ませんでした。
要するにヒポコンデルの作用でできたもので、取るに足らぬ支離滅裂の乱書狂の世迷言を並べ立てたものであった。
まったく狐狸のいたずらに出たもので、男子女子の御霊をかつお節に使って、擬理天常非の出の神とかいう邪霊妖神の浅薄な奸計に出たものである。去る明治三十二年の夏、上谷の幽斎修業の際に四方某の体内に出入して書いた筆先そのままの文句であった。
神界のことがわからない人々の中には、一時に迷うものもあるかもしれない。実に困ったものである。万一、こんな神の書いたことを信じる人があるとすると、それは決して心の正しい人ではない。
誰の霊魂はどうだとか、彼の霊魂はどうだとか下らないことを言って、邪神が世人を狂惑しているのである。