照国別は岩彦、照公、梅公を従えて西南の原野を跋渉し、ようやくライオン河の二三里手前のクルスの森に来て足を休め、神徳話にふけっていた。
五六七の神は万有一切の有相に現れて世人を救うと説く照国別に対し、照公は、まるで木の花姫神のようだと感想を漏らした。照国別は、木花姫神も五六七大神様の御活動であり、あらゆるものに変現して万有を済度したまうのが大神様の御真相であり、大和魂の根源だと答えた。
照国別は、大和魂とはすべての真・善・美を総合統一した身魂だと説き、仏教の菩提心だと説いた。真神は宇宙の本体、本霊、本力の合致した無限の勢力であり、仏は正覚者、大聖人、大偉人、大真人のことであると解説した。
さらに、大和魂は善の方に働く感情である慈悲心、理性、よき意志の三つが一致して大勇猛心を発揮したものであると説いた。
中でも、理性、知識、意志をよき方向に導くものとしての慈悲心がもっとも重要であり、三五教は慈悲心を柱にする感情教であるから、無抵抗主義もそこから出てくるのであると語り、そして敵を赦すことの重要性を説いた。
一同が神徳話にふけっていると、向こうから数十の騎馬隊がやってくるのが見えた。一同は茂みに身を隠した。彼らはライオン河を渡り、ウブスナ山のイソ館を襲おうと進撃する騎馬隊であった。
騎馬武者たちは森林に馬を乗り捨て、しばらく腰を下ろして雑談を始めた。