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文献名1霊界物語 第40巻 舎身活躍 卯の巻
文献名2第2篇 寒梅照国よみ(新仮名遣い)かんばいしょうこく
文献名3第9章 雁使〔1093〕よみ(新仮名遣い)かりのつかい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-02-01 23:23:48
あらすじ
清春山の岩窟に留守をあずかるバラモン教徒たちは、照国別たちが出立した後も酒宴にふけっていた。ポーロは酔った勢いで管を巻き、菖蒲の両親を取り返されてやけになり、部下たちに絡んでいる。

エルマとキリクの両人は、酔いに夢を誠と取り違え、長刀を抜いて暴れだし、中は大騒ぎになってしまった。そこへケーリスとタークスがやってきて一喝した。三五教に帰依して言霊の力が備わったケーリスの声に、一同は身体強直して倒れてしまった。

タークスは声も涼しく宣伝歌を歌い、自分たちはポーロたちを赦すために照国別から遣わされてきたのだと来意を告げた。

歌い終わるとポーロたちの体は動き、一同は二人の前に手をついてあやまり入った。バラモン教徒たちは、ケーリスとタークスの神徳に打たれて唯々諾々としている。ポーロは照国別からの信書を受け取り、恐る恐る開いた。

そこには、ポーロたちのすべての所業を赦すこと、また三五教に入信する意があるならばケーリスとタークスに付いてイソ館に赴き、共に日の出神らに教えを受けるように、という諭しの言葉が記されていた。

ポーロは感激して照国別の神文を一同に読み聞かせ、皆ケーリスとタークスにしたがってイソ館に参進することになった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年11月02日(旧09月14日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年5月25日 愛善世界社版105頁 八幡書店版第7輯 456頁 修補版 校定版110頁 普及版49頁 初版 ページ備考
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本文  フサと月との国境  アフガニスタンの北方に
 雲を圧してそそり立つ  清春山はバラモンの
 教に取つて第一の  要害堅固の関所ぞと
 名も遠近に轟きぬ  大黒主の命に依り
 清春山の神柱  大足別は軍卒を
 数多率ゐてカルマタの  国の都に蟠まる
 ウラルの彦の魂の末  常暗彦の集団を
 只一戦に相屠り  バラモン教の安泰を
 守らむ為に出でゆきし  後は藻ぬけの殻となり
 難攻不落の絶所をば  力となしてポーロをば
 臨時岩窟の司とし  出でゆきし後の岩窟は
 制度も秩序も紊れはて  夜を日に次いで十数の
 番卒共は腸を  腐らす牛飲馬食会
 盛んに行ひ居たりしが  三五教の神司
 照国別の一行に  言霊線を放射され
 右往左往に逃げ惑ふ  其惨状を見のがして
 先を急ぎし宣伝使  両親妹を守りつつ
 帰りし後は又元の  牛飲馬食の会となり
 飲めよ騒げよ歌へよ舞へよ  一寸先は暗の夜ぢや
 暗の後には月が出る  月は月ぢやが運の尽
 キヨロつき、マゴつき、ウソつきの  バラモン教の神柱
 戦に勝たうが負けようが  国家の興亡は吾々の
 敢て関するとこでない  朝から晩まで酒を呑み
 甘い物食て楽々と  暮して其日を送るのが
 文明人種の行方と  ウラル教もどきに悪化して
 ポーロ、レールを初めとし  ハール、エルマやシヤム、キルク
 其外残りの信徒は  飲まな損ぢやと争うて
 ヘベレケ腰になりながら  岩窟の中を這ひまわり
 大蛇の正体現はして  騒ぎ狂ふぞ可笑しけれ。
 ポーロはもつれ舌を無理に動かせながら、
『オイ、レール、とうとう爺イと婆アを取返され、折角陥穽へ落した三五教の宣伝使一行も亦、ヤツコスの裏返りに依つて、サツパリ掠奪され、最早俺達の使命はこれで尽きたと言ふものだ。こんな淋しい岩窟に頑張つて居つたのも、あの夫婦を押込め、彼奴の口から菖蒲を口説き落させ、大足別さまの女房にする為に勤めてゐたのだが、モウ斯うなつちやア仕方がない。本館へ立帰らうぢやないか。大足別さまは不在でも、小足別の神司がまだ沢山の部下を伴れて守つてゐるから、そこまで一つ退却しようかい。グヅグヅしてゐるとあの宣伝使奴がむし返しにやつて来よつたら、それこそ今度はポーロもボロクソにやられて了はねばならぬかも知れない。さうだから今の間にポーロい汁を吸うて、後に未練のないやうにしておかうと思つて、特別破格を以て、貴様たちに勉強さして牛飲馬食を勤めさしてゐるのだ。此頃は貴様も一向不勉強ぢやないか。初めの間は僅かに十六人を以て四斗も五斗も飲んでくれたが、何だ、此頃は十七八人も寄つて僅かに一斗五六升の酒にヘベレケになりよつて、そんな事で此岩窟の酒が何時なくなるか分つたものぢやないぞ。レール、ちつと皆の奴を鞭撻して、モ少し活動させたら如何だい』
レール『俺だつて何時もレールから脱線する所まで奨励してるのだから、モウこの上勉強せいと云つても仕方がないワ。ウラル教の奴でもゐよると、五六人新手を加へて、呑ましてやつたなら、それはそれは随分はかがゆくのだけれどなア。酒を呑むなら薬鑵で呑めよ、薬鑵がいやなら壺口で呑めよ。壺口がいやなら飛込んで呑めよ、猩々の奴めが胆つぶし、呆れ返つて逃げるよに呑めよ、呑めよ呑めよドツサリ呑めよ、呑めば呑む程身の徳利だ。デカタンシヨウ デカタンシヨウ……とやつたら、随分面白からうがな。アーン』
ポーロ『オイ、シヤム、貴様は此頃は一向酒に勉強をせぬぢやないか。何だか口汚ないシヤムシヤムと飯ばかり食ひやがつて、そんなことで牛飲党の幹部になれるか。グヅグヅしてゐると酒のなくならぬ間に三五教がやつてくるかも知れぬぞ。さうなつたら俺達は三五教ぢやないが、無抵抗主義だから、甘い酒が残つてると、後に執着心が残つて潔う逃げられぬからなア。敵に酒を呑ますも余り気が利かぬぢやないか』
シヤム『ナアニ、三五教だつてヤツパリ人間だ。彼奴が呑んでもヤツパリ甘い酒は甘いのだ。ウラル教の奴に手伝はすより、余程ハカが行くかも知れぬぞ。何ぼ呑んでも三五教だから、腹にたまる気遣もなし、俺達のやうに、直にづぶ六メンタルになる虞はなからうぞ。なあ、ハール、三五教がやつて来たら………これはこれはようこそ御入来下さいました。何分悪の御大将が不在で厶いますから、結構な毒酒をあげる訳にもゆかず、とつときのよい酒で済みませぬが、一献どうでげせう……とかますのだ。さうすると、酒見て笑はぬ奴アないから、何程三五教だつて、すぐに相好をくずし、喉をグルグル言はして……ヤアこれはこれは思ひがけなき御馳走を頂戴致しました……といつて、目を細うしてグツと一杯やつたらモウ大丈夫だ。一杯のんでも甘い、二杯のんでも亦甘い、三杯のんでもまだ甘い、四杯五杯、百杯千杯と、しまひの果にや土手を切らし、三五教も何も忘れて了ひ、キツと牛飲馬食会の会員になるにきまつとる。さうなると、余り俺達は酒を呑まぬやうにするのだ。向方が十分酔うた潮合を計つて、来る奴来る奴をあの陥穽へ埋葬さへすれば、三五教の百匹や二百匹来たつて、さまで驚くには及ばぬよ。何と妙案奇策ぢやないか』
 かく話す時しも、エルマ、キルクの両人は今迄酔ひ倒れてゐたが、何に感じたかムクムクと起上り、
『コーリヤ、どいつも此奴も、計略を以ておれ等両人を殺そうとしたなア。俺も死物狂ひだ』
と夢を誠と思ひ僻め、矢庭に奥の間に駆け入り、両人は長刀をスラリと引抜いて、ポーロ、レール、シヤム、ハール其他十二三人の群に向つて、無性矢鱈に切込んだ。頬の肉をけづられた奴、鼻の先を切られた奴、耳を落された奴、腕を切られ、指を飛ばされ、
『コラコラ何をする』
といひながら徳利や鉢や盃や膳を以て防ぎ戦ふ。徳利や鉢の破れる音パチパチ ガチヤ ガチヤ、ウン、キヤア、アイタと咆吼怒号の声一時に起り来り、岩窟の外迄聞えて来た。ケーリス、タークスの両人は何事の変事突発せしやと、足許に注意しながら奥深く進み入れば、岩窟の中は阿鼻叫喚、修羅の巷と激変してゐる。ケーリスは矢庭に雷の如き声を張り上げ、
『コラツ』
と一喝した。どこともなく其言霊に三五教の威力備はつてゐたと見え、エルマ、キルクは其声と共に刀をバタリと落して尻餅をつき、仰向けに倒れる。ポーロ以下の連中も手に持つた得物を悉く其声と共にパタリと落し、同じく仰向けに、残らず倒れて了つた。何れもケーリスの言霊の威力に打たれて身体強直し、首から上のみをクルクルと廻転させ、蒼白な顔して呻いてゐる。
 タークスは声も涼しく宣伝歌を歌ひ出した。
『大黒主の命を受け  イソの館へ立向ふ
 鬼春別の将軍が  先鋒隊と仕へたる
 片彦さまに従うて  ライオン河を打渡り
 駒に跨り堂々と  クルスの森に来る折
 三五教の宣伝使  照国別の一行に
 思はぬ所で出会し  互に挑み戦ひつ
 味方は脆くも敗北し  吾等二人は言霊に
 打たれて馬より転落し  命危くなりけるが
 仁慈無限の三五の  神に仕へし神司
 照国別は照、梅の  二人の供と諸共に
 吾等を助け労はりて  尊き教を宣り給ひ
 三五教の信徒と  許され給ひし身の上ぞ
 あゝ惟神々々  神の御霊の幸はひて
 吾等二人は勇み立ち  栗毛の駒に跨りて
 清春山の麓まで  風に髪をば梳り
 進み来りし者なるぞ  ここに駒をば乗捨てて
 汝ポーロに会はむ為  照国別の信書をば
 齎し来る吾が一行  岩窟の外にて窺へば
 阿鼻叫喚の惨状は  手にとる如く聞えたり
 只事ならじと吾々は  進み来りて眺むれば
 落花狼藉ここかしこ  血潮の雨は降りしきり
 丼鉢は舞ひ狂ひ  徳利は宙に飛上がり
 さながら戦場の如くなり  ポーロ、レールよシヤム、ハール
 エルマやキルク其外の  神の司よ、よつく聞け
 人は神の子神の宮  一つの神の造らしし
 同胞なれば村肝の  心を合せ睦じく
 天地の神の御使と  なりて仕ふる身なるぞや
 汝等一同神柱  大足別の出でましし
 不在を幸ひ甘酒に  酔ひくづれつつ此様は
 神の司と任けられし  人のなすべき事ならず
 一日も早く心をば  改め直せ惟神
 神に誓ひてタークスが  汝を戒め諭すなり
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ
 一二三四五つ六つ  七八九つ十百千
 万の神の御恵に  ポーロを始め一同の
 心の園に花開き  正しき教の御柱と
 救はせ給へ惟神  神の御前にねぎまつる』
と歌ひ了るや、ポーロを始めレール其他一同はムクムクと漸くにして起上り、二人の前に恐る恐る手をつかへ、あやまり入るのであつた。
 ポーロ、レールは同じバラモン教にて顔を見知つたるケーリス、タークスの両人が俄に不可思議の神力を身にそなへ、且つ三五教式の宣伝歌を歌ひたるに胆を潰し、其霊徳に打たれて一言も発せず又反抗的態度もとらず、唯々諾々として両人のなすが儘に服従せむと、期せずして互の心は一致してゐた。
ケーリス『コレ、ポーロさま、大将の不在中だと思つて、随分活躍したものですな、少しタガがゆるんでゐるやうですよ。かかる忠臣に留守を守らせておけば、大足別様も御安心でせう、アハヽヽヽ』
タークス『きまつた事よ。鬼の居ぬ間に心の洗濯を遊ばしたのだ。誰だつて今の人間は面従腹背とかいつて、本人の前ではペコペコと頭を下げ………お前さまのことなら命でも差上げますと、二つ目には巧妙な辞令を使つてゐるが、其前を離れると、すぐに打つて変つて悪口を言つたり反対的の行動を執るものだ。それが所謂現代思潮だ。いはば時勢に忠実な行方と言はば云へぬことはない。何事も神直日、大直日に見直し聞直し、善意に此場は解釈しておく方が穏かであらうよ。俺だつて、昨日までならキツトさうだ。ポーロさまに決して負けるものぢやない。吾々だつて片彦将軍に何といつた………仮令三五教の宣伝使幾万騎押寄せ来るとも、命の限り奮闘を続け、不幸にして命がなくなれば、七度生れ変つて、バラモン教の為に三五教の司を殲滅致さねばおきませぬ………と誓つた間もなく直に此通り三五教へ帰順して了つたのだから、人間のやる事は如何しても矛盾は免がれない。オイポーロさま、実は俺達は最早三五教の信徒だ。これからイソの館へ修行に参る所だ。其途中に於て三五教の宣伝使………つまり俺達の親分、照国別命から信書をことづかつて来たから、何が書いてあるか知らぬが、よく検めて読んでくれ』
 ポーロは照国別と聞いて、胸をビクつかせながら信書を受取り、封おし切つてソロソロと読み下した。信書を持つ手は頻りに慄へてゐる。其文面は左の通りである。
『一、三五教の宣伝使照国別より清春山の岩窟の留守職ポーロに一書を送る。吾両親は、永らく汝の手厚きお世話になり、安楽に月日を送り、あらゆる世の艱難を嘗めた為、漸くにして尊き神の恩恵を悟り、又吾妹も同じく神徳の広大無辺なるを悟り、正しき三五の信徒となりしも、要するに汝等が迫害的同情の賜物たることを深く信じ深く感謝する。又岩彦の宣伝使はヤツコスと名を変じ、汝が岩窟の館に忍び込み、種々雑多のバラモン教の教理を探り得たるは、向後に於ける彼が活動上、最も便宜を得たるものと確信し、これ又謹んで感謝する次第である。
 次に吾々始め一行の者、暗黒なる陥穽に放りこまれ、否陥落したるより、不注意の最も恐るべきを悟りたるは、今後の吾々が活動上に於ける良き戒めにして、全く汝等の恩恵に依るものと、これ又謹んで感謝する。人は凡て尊き造物主の分霊分体なれば、狭隘なる教の名を設けて、互に信仰を争ひ、主義を戦はすは、大慈大悲の元つ御祖の神に対し、不孝の罪、これより大なるはなかるべし。
 ケーリス、タークスの両人は直ちに三五の教理を悟り、速かに入信したれば、今よりウブスナ山のイソ館に遣はし、天晴れ誠の神柱となさむ為に差遣はす途中、此手紙を汝に謹んで呈する。万一汝等にして照国別の言を肯定するならば、此二人と共にイソの館に参り、日の出別の神始め其他の神司より教を受けられよ。恐惶頓首』
と記してあつた。ポーロは涙を流して感歎し、再び此神文を読み上げ、一同に聞かせた。レール、シヤム其他一同は異口同音に照国別の宣伝使を称讃し、且三五教の教理の十方無礙、光明赫灼たるに打驚き、心を改め、二人に従つてイソ館へ参進することとなつた。あゝ惟神霊幸倍坐世。
(大正一一・一一・二 旧九・一四 松村真澄録)
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