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文献名1霊界物語 第43巻 舎身活躍 午の巻
文献名2第1篇 狂風怪猿よみ(新仮名遣い)きょうふうかいえん
文献名3第5章 感謝歌〔1156〕よみ(新仮名遣い)かんしゃうた
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-01-05 18:58:57
あらすじ
玉国別は左目が回復した喜びを歌った。続いて道公、伊太公、純公が十回の歌を歌った。

玉国別は先に出立した照国別、黄金姫ら一行の安否を思いつつ、自らの心がけを戒める歌を歌った。

玉国別は三人を従え、神の戒めへの感謝の宣伝歌を歌いながら山を下って行く。続いて道公は足拍子を取りながら猿に囲まれて師の玉国別が片目を失い、神への懺悔によって片目を回復した経緯を歌った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年11月26日(旧10月8日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年7月25日 愛善世界社版59頁 八幡書店版第8輯 50頁 修補版 校定版63頁 普及版25頁 初版 ページ備考
OBC rm4305
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本文の文字数3114
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本文
玉国別『大神の恵み開きぬ詳細さに
  清き目の玉国別の司。

 あり難し神の恵みに照らされて
  常夜の暗も晴れ渡りたり。

 北光の神の司になれとてや
  一つの眼とらせ給へり。

 これからは心を片眼身を片眼
  神の光を照らし行くべし。

 盲ひたる人の沢なる世の中に
  吾は嬉しき目一箇の神か。

 玉国別神の司は今よりは
  身魂を磨き道に尽さむ。

 玉しひを神と御国に捧げつつ
  道別進まむ荒野ケ原を。

 常夜往く闇夜も晴れて吾眼
  一入清く光り初めたり。

 山猿に掻きむしられし吾眼
  玉国別の魂を救ひつ。

 昔より良からぬ事をなし遂げし
  吾身の仇を悔しと思ふ。

 吾魂は神の御国に甦り
  不可知世界の光見たりき。

 肉の眼を失ひたりし其時ゆ
  悟り得にけり神の世界を。

 天ケ下四方の国々隈もなく
  照らし行くなり片目司は。

 万代のかためと神は定めけむ
  心にたちし国の御柱。

 吾は今一つの眼失ひて
  所存の臍をかためたるかな。

 逸早く神の大道に進み行かむ
  行手にさやる枉言向けて。

 三五の神の教ぞ有難き
  心の盲目救ひ行く道』

道公『玉国別神の命は吾々の
  弱き心をかためますらむ。

 河鹿山渡りて来れば猿の群
  吾等三人の眼さましつ』

伊太公『いたいたし君の眼を見るにつけ
  吾目の中に涙こぼるる。

 時置師神の命はライオンに
  跨り来たり吾を救ひぬ』

玉国別『目の光失ひゐたる吾身には
  神のいでまし悟らざりけり。

 あな尊と吾等四人を救はむと
  現はれますか時置師神。

 天地の神は吾等を守りまし
  助け給ひし事の尊さ』

純公『大空の澄み渡りたる秋の日も
  暫しは雲に包まることあり。

 水筒を道に落して伊太公が
  狼狽へ騒ぎし事の可笑しき。

 谷川に下りて汲みとる岩清水に
  なやみ去りけり水の魂。

 瑞御霊神素盞嗚の神徳は
  谷の底まで流れけるかも。

 瑞御霊幸はひまして世の明り
  五六七の神の救ひ尊し』

道公『道を行く人に会ふごと三五の
  神の教を宣べ伝へばや。

 今となり神の稜威を悟りけり
  吾師の君の目の開きしより。

 目も鼻もあかざる事が来るぞよとの
  神の教をいまさら悟りぬ。

 惟神神に従ひ行く身には
  何か恐れむ世の中の道』

玉国別『天地の神の光を拝みてゆ
  吾身魂さへあかくなりぬる。

 照国別神の命は今何処
  大御恵みに安く居まさむ。

 黄金姫清照姫の便りをも
  聞かま欲しけれ旅なる吾は。

 吾罪を赦し給ひし大神の
  心畏み御世を教へむ。

 罪深き吾身なりとは今の今
  目を破るまで悟らざりけり。

 省れば吾身は枉の容器と
  なりゐたりしかいとも恥かし』

道公『千早振る天の岩戸は開けたり
  吾師の君の眼清けく。

 村肝の心を神に任せつつ
  進み行くべし荒野ケ原を。

 大道に迷ひし人を悉く
  導き行かむ神の御国へ』

伊太公『ゆくりなく吾師の君の遭難に
  伊太公今や眼覚めたり。

 幸ひに二つの眼光れども
  吾心眼の闇きを悲しむ』

純公『すみ渡り大空伝ふ月見れば
  心恥しくなりにけるかも。

 月も日も下界を照らし給へども
  時に黒雲さやる忌々しさ』

 玉国別は左の目の光を得たるを打喜び、三人を従へ山を下りて坂道に出で、宣伝歌を歌ひ乍ら下り行く。
『三千世界の梅の花  一度に開く木の花の
 咲耶の姫の御守護  杢助司と現はれて
 獅子の背中に跨りつ  伊猛り狂ふ猿の群
 峰の彼方に追ひ散らし  吾等が盲目の一行を
 救はせ給ひし有難さ  右の眼は失せたれど
 吾等が運命まだ尽きず  神の司と選ばれて
 伊猛り狂ふ枉神を  言向和す宣伝使
 許させ給ふ神の愛  辱なみて今よりは
 百の艱難もいとひなく  天地の神の御為めに
 誠一つの三五の  教を楯に四方の国
 勇み進んで開き行く  あゝ有難し有難し
 神は吾等と倶にあり  神の御子と生れたる
 青人草は云ふも更  草木の片葉に至るまで
 恵みの露を施しつ  テームス峠やライオンの
 激流渡り玉山の  胸突坂も乗り越えて
 神の任しの神業に  仕へまつらむ四人連れ
 あゝ惟神々々  神の御霊の幸はひて
 完全に委細に神業を  遂げさせ給へと天地の
 尊き神の御前に  玉国別が真心を
 捧げて祈り奉る  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  仮令大地は沈むとも
 神の恵みの深きをば  如何でか忘れむ敷島の
 大和男子の魂は  岩をも射ぬく桑の弓
 ひきて返さぬ金剛心  空照り渡る日月の
 光も清き玉国別は  一切万事打捨てて
 神の御為世の為に  誠を筑紫の果てまでも
 勇み進んで出でて行く  道公伊太公純公よ
 汝も神の子神の宮  吾に従ひ何処までも
 至仁至愛の大神の  大御心に神習ひ
 清き司と成りおほせ  四方の国々島々を
 隈なく照らし救へかし  あゝ惟神々々
 河鹿峠の峻坂を  神に守られ下りつつ
 玉国別の赤誠を  披瀝し慎み願ぎまつる』
 道公は足拍子をとり乍ら歌ひ出した。
『河鹿峠の急坂を  玉国別に従ひて
 懐谷の麓まで  やつと来かかる折もあれ
 前代未聞の烈風に  吹き捲られし腑甲斐なさ
 吾師の君を初めとし  吾等弱虫三人は
 木の根に確としがみつき  冷き風に煽られて
 戦き居たる浅間しさ  夜は森々と更け渡り
 キヤツキヤツキヤツと猿の声  瞬く間に数千匹
 四方八方より取巻いて  威喝したのが吾々の
 小癪にさはり腹を立て  睨み佇む折もあれ
 猿の奴め増長して  おひおひ近より攻めかかる
 伊太公さまが鼻高く  長い口上並べ立て
 呂律も合はぬ宣伝歌  無性矢鱈に歌ひ出す
 流石の猿奴も呆れ果て  ザワザワザワと騒ぎつつ
 チクチクチクと攻め寄する  伊太公の奴は無謀にも
 猿の一匹掴まへて  力を籠めて突倒す
 サアそれからが大変だ  小人数連れと侮つて
 衆を恃んで四方から  爪を尖らせ迫り来る
 中に勝れた大猿は  玉国別の後より
 キヤツとも何とも吐さずに  二つの眼を掻き潰し
 勝鬨あげて逃げて行く  其外数多の小猿奴は
 各自に石を拾ひ上げ  雨や霰と投げつける
 危険刻々迫り来て  如何はせむと思ふ折
 かすかに聞ゆる宣伝歌  間もなく獅子の唸り声
 衆を恃みし猿共も  キヤツと一声背を向けて
 雲を霞と山の尾を  伝つて逃げ行く面白さ
 四辺を見れば此は如何に  玉国別の神司
 眼を押へ紅の  血潮をトボトボ落しつつ
 痛さを堪へて草の上に  蹲みますこそ悲しけれ
 吾等三人は狼狽し  一先づ伊太公を谷川へ
 水筒を持たして水汲みに  遣はしやれば慌者
 道に水筒を遺失して  手持無沙汰に帰り来る
 肝腎要の此時に  間に合はないとぼやきつつ
 純公添へて谷底へ  再び水を汲みにやる
 何ぢや彼ぢやと大騒ぎ  吾師の君は土の上に
 両手を合せ天地の  神に向つて詫び玉ふ
 神徳忽ち現はれて  眼の痛みは軽減し
 漸く片目は助かりて  再び此世の明りをば
 拝み給ひし嬉しさよ  あゝ惟神々々
 神の恵は目のあたり  吾もそれより皇神の
 深き恵を覚り得て  心境たちまち一変し
 挺でも棒でも動かない  信神堅固の信徒と
 なり変りたる尊さよ  神が表に現はれて
 善と悪とを立別ける  尊き道の御教
 今更思ひ知られたり  如何に罪科深くとも
 誠心に祈りなば  広き心に宣り直し
 見直しまして速けく  許させ給ふ神の愛
 伊太公純公両人よ  此処は名に負ふ急坂だ
 足の爪先気をつけて  何卒怪我などして呉れな
 俺もこれから気をつけて  板を立てた如うな坂道を
 いと悠々と下り行く  これも全く皇神の
 尊き恵と知るからは  寸時も神を忘れなよ
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ』
と歌ひ一行の後について下り行く。
(大正一一・一一・二六 旧一〇・八 北村隆光録)
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