玉国別は伊太公が飛び込んで行ったあと、バラモン軍が右往左往するありさまを冷然と見守って控えている。純公は玉国別に向かって、なぜ我々二人に伊太公救出を命じないのか、と食って掛かった。
玉国別は純公に勇について説明をして諭した。道公も、玉国別の計略を知っているので、何事も神に任せるようにと純公をなだめた。
玉国別はひとしきり純公に説諭した後、実は治国別の一行とバラモン軍を挟み撃ちにしようという考えを明らかにした。純公はようやく納得した。玉国別は道公を祠のあたりに斥候に出して様子を探らせた。
玉国別は残った純公に、あと一時ほどするとバラモン軍は治国別たちの言霊に打たれて逃げ帰ってくるだろうから、それまでに十分休養して英気を養っておこうと語った。
祠の前にはバラモン軍の目付が二人、関守を務めていた。二人は、伊太公が突然現れて暴れこみ、片彦将軍に一打ち食らわせたために部隊が混乱に陥った事件を話し合っていた。
そのうちに二人は暇をつぶすために馬鹿な夢の話を始めた。その話の落ちのおかしさに、祠の後ろに隠れていた道公は思わず大きな笑い声をたてた。バラモン軍の二人は驚き、肝をつぶして逃げて行った。