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文献名1霊界物語 第44巻 舎身活躍 未の巻
文献名2第1篇 神示の合離よみ(新仮名遣い)しんじのごうり
文献名3第5章 不眠症〔1174〕よみ(新仮名遣い)ふみんしょう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-01-18 12:34:39
あらすじ
祠の前で見張りをしていた五十公は、イル、イク、サールたちがヨル、テル、ハルの新顔を連れてきたので治国別を起こした。治国別は早くも、バラモン教の落ち武者であろうと察している。

治国別は新客の三人に目通りするために、寝所を離れて祠の前にやってきた。ヨルは酔った勢いで調子に乗ってバラモン教を抜け出したいきさつを語り始める。テルとハルは治国別に投降と帰順を申し出た。治国別は三人の帰順を許した。

道公と伊太公は物音に目をさまし、祠の様子を見に行こうと掛け合いを始めた。純公、万公も目をさまし、治国別が行ったのだから大丈夫だと安眠を勧めた。五十子姫、玉国別も歌を歌い、ふたたび眠りについた。そうするうちに夜は明けてきた。
主な人物 舞台祠の森 口述日1922(大正11)年12月07日(旧10月19日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年8月18日 愛善世界社版57頁 八幡書店版第8輯 160頁 修補版 校定版58頁 普及版28頁 初版 ページ備考
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本文  治国別、玉国別の一行は祠の前を立出で、上方の以前の森の蔭に各蓑を敷き野宿なしゐる。そこへ祠の前へ見張りをさして置いた五三公はいそいそとして走り来り、
『もしもし、治国別の先生、俄にお客さまが見えました。どう致しませうか』
 此声に治国別は不図目を覚まし、
『此山の中でお客さまを迎へた処で仕方がない。然し乍ら其客と云ふのは如何なる人か。大方バラモン教の落武者であらうなア』
『ハイ、お察しの通りバラモン教の先生が三人やつて来ました。さうして気の利いた奴で沢山な葡萄酒を山籠に一杯つめ込み来て居りますぜ。大方毒でも入つてゐるのかと思ひ、詰をとつて持つて来た男に毒味をさして見ましたが大丈夫です。何でも一人は頭の光つた若年寄見た様なテルと云ふ奴、一つは扇をパツと開いた様な上ほど頭のハルと云ふ奴、も一人は足のヨボヨボしたヨロとかヨルとか云ふ奴さまで厶いますわい。それはそれは乙な事を云ひますぜ。一つ会つてやつて下さいませな』
『チツと静かにものを言はぬか。皆さまがお寝みの邪魔になるぢやないか。さうして如何なる要件か、それを聞いたぢやらうな』
『まだ聞いては居りませぬが、委細はイル、イク、サールの三人が承知してゐる筈です。彼奴が引張つて来たのですからな。滅多に裏返る気遣ひはありますまい、先づイル、イク、サールの三人を信用してやつて下さいませ』
『兎も角もここで会ふと皆さまの安眠の妨害になるから、祠の前迄出張することにしようかな』
『ハイ、御苦労乍ら宜しくお願ひ致します』
と云ふより早く五三公は夜の山坂道を飛鳥の如く跳び下り、祠の前に待つてゐる六人に向ひ、ハアハアと息を喘ませ、
『おい、イル、イク、サール、テル、ハル、ヨル、半打の人間さま、五三公さまの交渉委員は大成功だよ。治国別様が特別を以てお目にブラ下つてやらうと仰有るのだ。さア今にも此処に御出張になるのだから襟を正し、体を直して謹みてお迎へをするが宜いぞ』
『それは誠に早速の御承知、有難い、ヨルの如うな者にも逢つて下さいますか、これと云ふのも全く神様のお蔭だ』
『之と云ふのも幾分かは五三公さまのお蔭だと云つた処で、あまり元のきれる話ぢやないがな、アハヽヽヽ』
 斯く笑ふ処へ静々と足許に気をつけ乍ら七人の前に現はれたのは治国別である。
『バラモンからお出になつたお客さまとは、お前さまのことかな』
 ヨルは恐る恐る前に進み、頭を二つ三つ撫で乍ら、
『ハイ、私はランチ将軍の恩顧を受けてゐるヨルと申す者で厶いますが、実の処は、大に感ずる処があつて三五教の貴方様にお願ひの筋があつて遥々参りました』
『願ひの筋とは何事で厶るか』
『実は私は玉山峠に於て三五教の言霊に敬服致し、又もやクルスの森に於ても言霊の威力に遁走し、片彦将軍の先鋒隊亦脆くも打破られたと云ふ事を聞くより、信仰の基礎がぐらつき出し、これやどうしても吾々の信ずる神は宇宙根本の神でない。神のために働く戦争が之丈け負続けては、何かの原因がなくてはならぬ。ここは大いに考ふべき処だと沈思黙考の結果、三五教に帰順することに決めたので厶ります。それについてバラモン教のランチ将軍の部下に、最もバラモンに熱心にして且つ頑固の身霊の聞えあるテル、ハルの両人を帰順させ、之を私のお土産として葡萄酒に添へて引き摺つて参りました。何卒この功に免じて今迄三五教に抵抗した罪をお赦しの上、貴方のお弟子に加へて貰ひ度いもので厶ります』
『三五教が負るのも勝つのも、バラモン教が負るのも勝つのも皆神様の御摂理だ。一度や二度の軍の勝負によつて神の力を試すと云ふ事は僣越の沙汰でせう。それ位薄弱な基礎の下に入信するやうの人ならば、此先三五教が不幸にして負た時は矢張バラモン教の神の方が偉いと云つて、踵を返し逆転せなくてはなりますまい。そンなに気の変るお方は三五教には居りませぬからな』
『何とまア、六かしい教で厶りますな。決してさう云ふ軽佻浮薄な吾々では厶りませぬ。これにはいろいろの動機が厶ります。只戦争の話をしたのは御参考のために、一部分の理由を申上げたに過ぎませぬ。第一テル、ハルの如き没暁漢を改心させたのを証拠に何卒、入信のお許しを願ひます』
『ハア……』
『モシ宣伝使様、此ヨルの云ふ事は当になりませぬよ。実の処は此ハルと私と両人守衛を勤めテルと、あまり寒うて退屈なので職務不忠実とは思ひ乍ら一寸一杯聞召して居る処へ、恐い顔して此ヨルさまが見廻りにやつて来て「こりやこりやその方等両人は、バラモン神や大黒主様の御事を悪く申し、三五教を褒めて居つたぢやないか。怪しからぬ代物だから、これから両人を面縛して片彦将軍の面前へ引立ててくれむ」と威猛高になり、それはそれは大変な睨み方で厶りました。そこを吾々両人がうまく酒で釣り込み、泥を吐かして見れば、此奴も矢張心の底に三五教の天国が開けて居ると見え、酔がまはるにつけバラモン教をこき下ろすので、此奴ア大丈夫だと、ヘベレケに酔うたズブ六さまを駕籠に乗せて、ここ迄上つて来たので厶ります。このテルだつて決してヨルの云ふ様な悪い人間では厶りませぬ。又、それほどバラモンに熱心なものでも厶りませぬから、御安心なすつて下さいませ。なア、ハル、それに間違ないな』
 ハルは跡を次いで、
『テル公の云つた通り一分一厘の相違も厶りませぬ。貴方もヤンチヤの氏子が殖えたと思つて何卒大目に見て拾ひ上げて下さいませえな』

治国別『敵味方垣を造りて争ふは
  鳥獣の仕業なるらむ。

 天地を造り給ひし皇神は
  宣り直すらむ醜の枉事。

 三五の道を尋ねて来る人を
  つれなくやらふ道しなければ。

 招ぎ来るテル、ハル、ヨルの三柱に
  生言霊の宣り伝へせむ。

 今よりは誠の神の氏の子と
  なりて尽せよ世人の為めに』

ヨル『有難し心の花も開くなる
  治国別の厳の言霊。

 今日よりは心の垢を拭き払ひ
  安く楽しく道に仕へむ』

テル『限りなき恵みの露は四方の国に
  潤ひ渡るテルの神国。

 テルと云ふは空に輝く日月の
  光ばかりか吾頭もてる』

ハル『ハル過ぎて夏去り秋も亦過ぎて
  みたまの冬を蒙りにける。

 皇神の恩頼を受けむとて
  露の生命を存らへてけり』

イル『大神の救ひの道に進みイル
  吾は楽しき身魂なりけり』

サール『腹帯を今やしつかり締め直し
  世人のために誠を尽さむ。

 世を乱す枉もサールの神言に
  言向和す君ぞ尊き。

 清春の山の砦にさし籠り
  悟り得たりし三五の道。

 松公や竜公さまの御教に
  バラモン雲は晴れ渡りける』

治国別『吾は今八岐大蛇の棲いたる
  ハルナに行かむ道の上にこそ。

 さり乍らハルナの国はいと遠し
  百の山河横たはりあれば』

ヨル『夜昼に心の限り身の限り
  曲とは知らず尽し来にけり。

 今日よりは心の駒を立て直し
  皇大神の正道に入る』

 話変つて森の木蔭に寝ンでゐた道公、伊太公二人は目を覚まし起き上り、
『オイ、道公さま、祠の前には又もや活劇が悠々と初まつてるのぢやあるまいかな。一つそつと行つて見たらどうだらう』
『さうだな伊太公、何とはなしに騒がしい様だ。然し吾々に対し急用があれば先生は呼ンで下さるだらうよ。まアじつくりとしたが宜からう』
『まづ俺が偵察に行つて来るから道公お前はここに待つてゐてくれぬか』
『そいつは御免だ。又此間の様に清春山につれて行かれちや俺達の迷惑だから……もし此道公が、怪しいものだつたら独特の哄笑器を出して此間のやうに笑ひ散らしてやるのだ。まア待つてくれ。俺が行つて来る』
『笑ひ散らしたと思へば宣伝使様の弟ぢやなかつたか。そンな他愛もない事なら、伊太公だつて一旦痛手を負うた上は充分の注意をして居るから大丈夫だよ。俺でも笑ひ散らし位は出来るよ』
『そンなら道公が道案内をしてやらう。貴様はどうしても捕虜の身魂が憑いて居るから駄目だ。三間ばかり後から俺に踉いて来い。もし怪しい事でもあつたら一生懸命に走つて来るのだ』
『大変に信用を落したものだな。併し神様には信用を受けて居るのだから安心だ。一つここから、治国別様に違ひないから、呶鳴つて見たらどうだらう』
『馬鹿云ふない。大きな声を出しちや皆が目が覚めるぞ。治国別様が、道公が目を覚まして聞いて居れば俺が寝ンで居るものと思ひ、五三公と一緒にひそひそと話して居られたが、何でも何々が何々に来て居るのかも知れぬぞ』
『さうすると道公は寝ンでゐる様な顔して起きて居たのだな』
『俺は此頃流行る不眠症とかに罹つてゐるのだが、夜になると目が冴えて神経が興奮して一寸や、そつとには寝られぬのだよ。道公も実にふびんなものだ。アハヽヽヽ』
『オイ両人、そつと行かぬといかないぞ。純公さまが目を覚ましちや気の毒だからな』
『アハヽヽヽ何を云ふのだ。目を覚ましておりやこそ喋つて居るのぢやないか』
『純公の肉体は寝て居るが、俺や一寸夢を見てゐるのだ』
『夢だか現だか、馬鹿だか、悧巧だか、一寸も測量の出来ない代物だな』
『国治立尊様ぢやないが、スになりましてすみきり給ふと云ふ立派な身魂だから、人間位の智慧で純公さまの智慧がどうして測量する事が出来るものかい。人間に測量出来る様なものは最早神でも何でもない。チヤンときまりきつた相場がついてゐるのだ。馬鹿とも阿呆とも分らぬ処に、純公さまの神格が縦横無尽に活躍してるのだよ。それだから此純公さまは隅にも置けないと、何時だつたかな、五十子姫さまがお褒め遊ばした事があるよ』
『それは大方夢だつたらう。なア道公、こンな男を褒めるとは、五十子姫さまも一寸如何かしてるぢやないか。さうぢやなければ純公さまが夢を見たのかも知れぬぜ』
『人間は夢の中で夢を見てゐるのだよ。そんな事を大体、本当に見てゐるのが馬鹿だ。人の正邪賢愚が分るものかい。况して落ちた真珠に氷が張つた様な肉眼では外面だけでも観察する事は不可能だ。况ンや身内に於ける清浄無垢有為の精神に於てをやだ』
『オイ、ガラクタ共、何を八釜しく云ふのだい。いい加減に寝まないかい、万公さまの俺は第一、晴公さまは申すに及ばず、五十子姫様、今子姫様、玉国別様の御迷惑だ。さアさア寝たり寝たり。治国別さまが御出張になつてゐるのだから大丈夫だよ。吾々如き小童子武者が起きて居つても何になるものか。起床喇叭が鳴るまで神妙に就寝するのだな』
『いや仕方がない。それもさうだ、道公、純公、万公寝やうかい。もう夜明けに間もあるまいし、只今と云ふ此時間は万劫末代取返す事は出来ぬのだから、思ひきつて寝まうぢやないか、伊太公も眠いからのう』

五十子姫『玉国別神の命のいたづきも
  早や鎮まりて月は輝く。

 皇神の恵の露を浴び乍ら
  風に吹かれて寝ぬる嬉しさ』

 玉国別は目を覚まし、

『大空に輝き渡る月の玉を
  国別け渡らし進む尊さ。

 治国別神の命は雄々しくも
  醜の司を教へ居ますか。

 吾も亦神の司と選まれて
  来りし上は救はでおくべき。

 右の目の吾いたづきも止まりけり
  月の御神の光浴びしより』

 斯く歌ふうちに十七夜の月は西天に色褪せ、鵲の声はカアカアと清く響き、百鳥は声を限りに囀り初めた。
(大正一一・一二・七 旧一〇・一九 北村隆光録)
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