教主の間では、蠑螈別、魔我彦、お寅、熊公が酒を酌み交わしている。熊公の目的は、こうして酒にありつこうということだった。熊公は舌がもつれだしてどら声を張り上げ、歌いだした。
熊公は、これからは自分は蠑螈別のお付きとなって酒を飲み明かすのだと怒鳴りたてる。魔我彦がたしなめると、熊公は難癖をつけて脅しにかかった。その権幕に蠑螈別と魔我彦は小さくなってしまう。
熊公は若いころにお寅と夫婦関係にあったことを持ち出し、さらに蠑螈別を脅しにかかる。蠑螈別は、お寅に未練はないから連れて帰ってくれと返答し、怒ったお寅にまた押さえつけられそうになって畳にかじりついて叫んでいる。
とうとう熊公は刺青だらけの腕を振り回し、蠑螈別とお寅に手切れ金を要求し始めた。エスカレートする熊公に、蠑螈別と魔我彦は引け腰になってお金を渡して手切れしようと言い出すが、お寅は一人承知せず、逆に熊公に食って掛かる。
熊公は怒ってお寅のたぶさをつかんで引きずり回し、怒鳴りつけた。蠑螈別と魔我彦はすっかり肝をつぶし、奥の間の長持の中へ身を隠してしまう。
この騒ぎを聞きつけて、万公、五三公、アク、タク、テクの五人はどやどやと走ってきて仲裁に立った。五三公は大親分、アクはバラモン軍の片彦将軍のふりをして芝居を打ち、位の高い者の仲裁という態を取って、千両で熊公とウラナイ教の間の手切れ話をまとめ上げた。
熊公はこの仲裁に満足し、千両を懐にねじ込んでさっさと帰ってしまった。