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文献名1霊界物語 第47巻 舎身活躍 戌の巻
文献名2第1篇 浮木の盲亀よみ(新仮名遣い)うききのもうき
文献名3第1章 アーク灯〔1234〕よみ(新仮名遣い)あーくとう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグアインスタイン(アインシュタイン) データ凡例 データ最終更新日2023-04-10 14:42:08
あらすじ
治国別は、松彦、五三公、万公を野中の森に残して(第44巻第16章を見よ)、竜公一人を伴い、神の命を奉じて浮木の森のバラモンの陣中に進もうと道を急いだ。怪しの森の守衛たちは、酒に酩酊して二人が通るのを少しも気が付かなかった。

浮木の村の入り口に進んだ折り、タールとアークの両人は大きな眼を開けて不寝番として控えている。夜が明けてきて、二人は四方山話を始めた。

タールは三五教の悪神・素盞嗚尊が聖地を蹂躙することをなんとしても防がねばならない、というが、アークはバラモン教が悪だと知ったから気に入っているのだ、そのバラモン教を邪魔する素盞嗚尊は善だろうが悪だろうが滅ぼすのだと気炎を上げている。

アークとタールは、もし河鹿峠の勝ちに乗じて三五教がやってきたら、落とし穴に落とし込んでやろうと企んでいる。そこへ治国別と竜公がやってきた。

二人は治国別の姿を見て、腰を抜かしておののいてしまった。治国別は、ランチ将軍、片彦将軍のところへ案内してほしいと二人に頼むが、二人は動けない。

タールは、わざわざ敵の陣中に乗り込んできてひと悶着あるよりも、ここはお互いに身を引いた方がよいと治国別と竜公に提案するが、治国別はランチ将軍と片彦将軍に善言を与えて高天原に救い上げようと、元バラモン軍の竜公を案内者としてやってきたのだ、と譲らない。

治国別がアークとタールに案内いたせ、と命じると、いつの間にか抜けていた腰は回復し、陣幕の南の方を指して案内に歩き出した。

治国別と竜公が後に従って歩いていくと、にわかに足元が転落して深い落とし穴に落ち込んでしまった。落とし穴の底には、林のように鋭利な槍が空地なしに立ててあったが、両人は神のお守りの厚いためか、都合よく槍と槍の間に落ち込み、少しも傷は負わなかった。

アークとタールは三五教の宣伝使を仕留めたと喜んだ。アークは得意顔でランチ将軍に報告に向かった。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年01月08日(旧11月22日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年10月6日 愛善世界社版13頁 八幡書店版第8輯 475頁 修補版 校定版13頁 普及版6頁 初版 ページ備考
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本文  至喜と至楽と荘厳を  全く地上に現し世の
 高天原と聞えたる  ウブスナ山の頂上に
 天降りましたる素盞嗚の  瑞の御霊はイソ館
 最第一の天国を  開き給ひて天が下
 四方の国々百人を  神の御国に救はむと
 心も清き宣伝使  四方の国より呼び集め
 尊き神の御教を  開かせ給ふ尊さよ
 皇大神の神言もて  治国別の神司
 万公、晴公、五三公を  伴ひ館を立出でて
 河鹿峠を打ちわたり  百の悩みに遭ひながら
 撓まず屈せず道の為  荒野ケ原を進み行く
 野中の森に万公や  五三公、松彦振り残し
 竜公伴ひ暗の夜を  縫うてスタスタ進み行く
 怪しの森も何時しかに  無事によぎりてバラモンの
 軍の数多屯せる  浮木ケ原に進み行く。
 治国別は松彦、五三公、万公を野中の森に置去りにして、竜公一人を伴ひ、神の命を奉じて浮木の森のバラモンの陣中に、私かに進まむと、道を急いだ。怪しの森の守衛等は酒に酩酊して、二人の通るのを少しも気がつかなかつた。第二の関所たる浮木の村の入口に進んだ折、タール、アークの両人は大きな目の瞳孔をあけつ放しにして、いらひさがした蜂の巣の外側を守つてゐる雀蜂宜しくの体裁で控へてゐる。
『オイ、アーク、どうやら東が白んだやうぢやないか。俺達もかうして不寝番をやらされて居るが、最早夜も明け方に近くなつたのだから、夜警の必要もあるまい、一つ瞳孔に休養を命じたら何うだらう』
『瞳孔も彼処も明くなりかけたのは、此アーク灯さまの光だよ。貴様、いつも俺をアークぢやない悪党ぢや悪党ぢやと吐しよるが、何程暗の晩だつて、明くするのはアーク灯だ。それだから、善が間に合ふとも、悪党が間に合ふとも分るまいがな。エエー、善悪混淆、美醜相交はつて、現実世界が成就してゐるのだ。貴様のやうに悪が夫れ程怖ければ、元からこんな所へ首をつつ込まない方が気が利いてゐるぢやないか。バラモン教と言へば、元より悪に極まつてゐる。其悪の教にアークさまだから、大変に誂へ向だ』
『馬鹿云ふな。神様に悪があつてたまらうかい。大自在天大国彦の神様は、世界の造主だ。悪を以て此世の中が何うして完全に創造する事が出来ようか、俺は至仁至愛の誠の神様だと思へばこそ、斯うして辛い御用をしてゐるのだ。元から軍人に生れたのでもなし、軍人を志願したのでもないが、お道の為に信仰の力に引きずられて、心にもない戦陣に加はつたのだ。グヅグヅして居ると三五教の悪神素盞嗚尊が、畏くも大雲山の聖地を蹂躙するかも知れないといふ形勢ぢやないか。吾々信徒としては血を以て之を守らねばならないのだ』
『世の中は何と云つても、悪でなければ立つて行かない。俺は、バラモン教は悪だと知つたから気に入つて居るのだ。三五教の奴は霊主体従だと吐して居るが、此現実世界は物質を以て固められてゐる。吾々の肉体だつて皆物質だ。天に輝く太陽でさへヤツパリ物質だ。物質界に生きて行かうとすれば、何うしても物質界の法則に従はねばならぬ、凡て現実界の太陽よりする自愛や世間愛は要するに悪だ。優勝劣敗弱肉強食は現界の動かす可らざる真理だ。よく考へて見よ。強い獣は弱い獣を捕つて食ひ、大魚は小魚を呑み、鷹は鵙をとり、鵙は雀を捕つて食ふぢやないか。人間だつて四つ足をたたいては喰ひ、気楽相に海川を游泳してゐる魚族を捕獲し、天然を楽んでゐる植物の実を皮を剥いたり、こすつたり、水につけたり、重しをかけたり、熱湯の中へ入れたり、火あぶりにあはしたり、実に残忍極まる事をやつて口腹を充し、それで生活を続けてゐるのだ。要するに人間は悪の張本人だ。こんな事が悪だと云つてやらずに居つて見よ、一日だつて生命を保つ事は出来ぬぢやないか。それだから仮令素盞嗚尊が善であらうが悪であらうが、吾々の社会を建設するに就いて邪魔になる奴ア、仮令善でも悪と云ふ名をつけて亡ぼして了はなくちや自分達が亡ぼされて了ふのだ』
『さうすると、人間が死んだら、皆地獄に行かねばならぬぢやないか』
『ヘン、地獄が聞いて呆れるワイ。地獄と云へば、目のあたり現界に現はれてゐるのだ。他人の国土を占領したり、或は大資本家が小資本家を押倒したり、大地主が小地主を併呑したり、沢山の軍人を抱へて、武装的平和を高唱したりしてゐるのは、皆地獄の行方だ。極楽なんて云ふ所があつてたまらうかい。勝てば官軍、敗くれば賊と云ふ事があるぢやないか。最凶悪のすぐれた者が地獄界の覇権者だ。死後の世界なんか、心配するにや及ばぬ。呑めよ騒げよ一寸先や暗だ、暗の後には月が出る、月は月ぢやが嘘ツキぢや、と云ふぢやないか。悪と虚偽との世の中に、誠ぢや、善ぢやと、そんな体のよい辞令を振りまはして、コツソリと偽善をやつてゐるやうな奴こそ、真の悪党者だ。そんな奴こそ八衢代物といふのだ。或はこれを称して二股膏薬といふ。ヤツパリ人間は男らしう、悪なら悪、善なら善と、輪廓を明瞭にせなくちや、人が信用して呉れないぞ。悪の強い者程紳士紳商、英雄名士と持てはやされるのだ。善人と云へば馬鹿の代名詞だ、それだから俺はアークといふ名をつけて、世の中を毒瓦斯で酔はしてやる積りで、此通り頭までテカテカに光らしてゐるのだ。たつた今俺の親分即ち自然界の太陽がお上り遊ばすのだ。すべて自然界の太陽より来る光熱は、自愛の源泉だ、利己主義の標本だ。利己主義を極端に発揮する人間を利己(利巧)な奴と云ふのだ。エエーン』
『オイ、アーク、貴様は大変な物質主義にかぶれたものだなア、他人の為には一毛も損せずといふニーチエ主義だな』
『きまつた事だ。ニーチエ主義だよ。日英同盟だつて其通りぢやないか、自分とこの国が、日も三進も行かぬ様になつた時に英考を起して、一寸強相な国を番犬に使ひ、東洋はまだおろか、西洋迄警護の役を命じ、オツシ オツシとケシをかけて日々喜ばせ、モウ英といふ時分になると、今度は尻をクレツと向け、赤米と云つて、米の方へ握手をし、日の方へ尻を向ける、ケツは即ち月だ、それでツキ倒しといふのだよ。さうだから、世の中は何うしても利己な行方をせなくちや、到底駄目だ。人の褌で相撲とるのが所謂外交家の手腕だ。アフンどしであいた口がすぼまらぬ、尻糞が天下を取るといふのが、混同した世界の比喩だ、今に三五教の……モシヤ宣伝使でもやつて来よつたら、うまくそこは日英同盟式を発揮して、深い陥穽へでも突つ込むのだな』
『ヘン、偉相に云ふものぢやないワ。貴様は河鹿峠で何うだつたい、治国別の宣伝使の一行に、言霊戦とやらを打ちかけられ、先鋒隊に居乍ら馬も何も打ちやつて命カラガラ遁走した張本人ぢやないか、余り大きな口をあけて言ふものぢやないぞ。傍若無人にも程があるワイ』
『傍若無人にとは傍に人無きが如しといふのだ。貴様は俺の傍に居つても、人間ぢやないからな。ウツフツフ』
『俺だつて堂々たる人間様だ。余り馬鹿にすな』
『俺や又貴様は小使のタールかと思うて居つたのだ。マアマアお手際を見て居れ、たつた今三五教の奴が勝に乗じて、悠々とここへやつて来るに違ない。さうすりやうまく国際聯盟条約でも持ち出して、武備制限を実行し、首尾よく大勝利を得る積りぢや、貴様はジーツとして一言も言はぬ様にしてくれ。なまじひ、善心を出しよると、条約締結の邪魔になるからな』
『アーク、一寸北の方を見い、来たぞ来たぞ』
『ヤア彼奴ア、三五教の宣伝使だ、ハヽヽヽヽ治国別ぢや、コヽ此奴ア、タヽ大変だ』
『イヒヽヽヽ、あのあわて様わいのう。何だ、今迄法螺ばかり吹きやがつて、そんな弱腰で何うして、全権大使が勤まるか』
『全権大使ぢやない、善言美詞で条約締結する積りぢや。オイ貴様、チツと確りしてくれぬと困るよ』
『俺は何にも言はぬ筈だつたねえ』
『エヽ、気の利かぬ奴だな。臨機応変といふ事を、コヽ心得てゐるか。アヽヽモウそこらがビリビリして、体の繊維細胞迄が躍動し出した、何でも俺の体内にや民衆運動が勃発し出したとみえるワイ』
『エツヘツヘ、どうやら俺も体内国の暴動が鎮定したと見えて、凡ての諸官能が活動中止と……見えるワイ。シヽ舌迄引きつつて来さうだ。キヨキヨ恐怖心が大変に巾を利かしよつた……やうだ』
『アヽ苦しい、ドヽ何うしたら、此談判はカヽ解決がつくだらうかな』
『アインスタインの相対性原理説でも応用して、うまく此場を切りぬけ……るのだな』
 かく二人は治国別の姿を見て、ビツクリ腰をぬかし、舌の根も合はず、大きな目玉の瞳孔を、いやが上にも開けつ放しにして、尖つた腮をホウヅもなく延長し、口を立方形に開け乍ら、舌を喉の奥の方へちぢ込めて、戦いてゐる。
 治国別、竜公はツカツカと進みより、
治国『其方はバラモン軍の関所守と見えるが、之よりランチ将軍の陣営へ、此方を案内してくれまいか』
アーク『メヽヽ滅相な、コヽこんな所を通過して貰つちや堪りませぬワ、……ヤアお前は竜公ぢやないか。何時の間に三五教へ沈没したのだ。貴様こそ勝手を知つてゐるだらうから、ランチ将軍の所へ案内せい、オヽ俺は此関所の常置品だ』
『アツハヽヽ、貴様はアークにタールの両人ぢやないか、何だ、みつともない其ザマは、腰を抜かしやがつたのだな。モシ治国別様、此奴ア駄目ですよ。こんな者にかまはずドンドンと奥へ進みませう。幸ひ私は片彦将軍の部下に仕へて居つたのですから、貴方の案内役には大変都合が宜しい。そして又あの通りの乱軍でしたから、此竜公が貴方の弟子になつたといふ事は、片彦将軍もランチもまだ知つて居りますまい。大変に好都合ですよ』
『コリヤ竜公、其秘密を聞くからは、最早此方は許しは致さぬぞ。見事陣中へ這入るなら這入つてみよ。飛んで火に入る夏の虫だ、のうタール、可哀相ぢやないか』
『オイ竜公、貴様も謀叛人なら謀叛人でよいから、その宣伝使のお伴をして元へ引返したらよからうぞ。こんな宣伝使にやつて来られると、又一悶錯が始まつちや大変だ。ランチ将軍も困るだらうし、又宣伝使も一骨折らねばなるまい。これ程物騒な世の中に、好き好んで平地へ波を起すやうな事はするに及ばぬぢやないか。なア治国別さま、貴方は何う考へますか』
『ウーン、吾々はランチ将軍、片彦将軍に対し、善言を与へて、彼が霊肉をして高天原へ救ひ上げ、汝等に至る迄、其歓びを分け与へむ為に、此竜公を案内者として将軍の面前に進み行く積りだ。其方も今日限り心を入れ替へて、善道に立返り、地獄道の苦みを免れる気はないか。何程強い者勝の世の中だと云つても、悪では何時迄も続きは致さぬぞ。どうぢや、治国別の言葉に従ふ気はないか』
『ハイ、私は従はぬことはない事はありませぬが、此アークといふ奴、実に悪党な代物で、ニーチエ主義ですから、此奴ア駄目でせうよ』
『モシ宣伝使様、アークに見えても、善に見えてもアークといふ世の中ですから、私こそ、真の神の目から見れば、善人かも知れますまい。どうぞお助けを願ひます』
『此奴は片彦将軍の部下に於ても、最も悪名高き危険人物、併しながら悪に強い者は善にも強いといふ事だから、治国別様、一つ此奴を許して案内させたら何うでせうか』
『そりや丁度都合が好からう、……アーク、タールの両人、吾々の為にランチ、片彦両将軍の前に案内致せ』
アーク『ハイ、畏まりました』
と、今迄抜かして居つた腰は何時の間にやら回復し、先に立つてスタスタと陣幕のはり廻した南の方を指して歩行き出した。
 治国別、竜公両人は二人の後に従つて、一二丁ばかりやつて来た。俄にガサリと足許は転落し、四五間もある深い陥穽に両人は無残にも落ち込んで了つた。陥穽の底には林の如く鋭利な鎗が空地なしに立ててあつた。されど両人共神のお守りの厚き為か、都合よく鎗と鎗との間に落ち込み、少しの疵も負はなかつた。アークは陥穽の上から底を覗きながら、長い舌をペロツと出し、
『イヒヽヽヽ、いぢらしい者だなア、ウツフヽヽヽ、うつけ者奴、エツヘヽヽヽ、えゝ気味だなア、オツホヽヽヽ面白い面白い、アツハヽヽヽ安本丹の黒焼、三五教の宣伝使、穴有教の制敗を受けて、くたばつたがよからう。アークさまの計略には、アフンと致しただらう。イヒヽヽヽ、オイ、タール、何うだ、アークさまの腕前には恐れ入つただらう』
『アーク魔の業に落ち込んだとは此事だな。アークまでもアークを立て通すバラモン教のやり方には、俺も唖然としたワイ。モシモシ三五教の宣伝使さま、決してタールが悪いのぢや厶いませぬから、どうぞ国替をなさつても、私には化けて出ぬやうにして下さい、此タールの生首を引抜くならば、此アークの首を抜いて下さい』
『ヘン、俺の首は鉄で拵へてあるのだから、仮令幾百万の亡者が、一斉襲撃をしたつて駄目だ。モウ斯うなればこつちの物だ。サアこれからランチ将軍様に報告して第一番の功名手柄を現はしてくれる。片彦将軍だつて、数百の軍隊と共に脆くも敗走した治国別を、此アークさまの計略に仍つて巧く片付けたのだから、大したものだ。ガーター勲章だ』
『ガタガタ慄ひのガーター勲章が聞いて呆れるワイ』
『エヽゴテゴテ云ふな、今に俺がランチ将軍の片腕、片彦将軍と肩を並べて、全軍の指揮をする様になるのだ。貴様ここに穴の番をしてをれ、俺はこれからランチ将軍に報告に行く。俺の姿も今が見納めだぞ。今度目に貴様に会ふ時には、頭の先から足の先まで、金筋だらけだ。よく顔を見ておけ、其時に間違つて無礼を致さぬ様に……』
『ヘン、自分一人手柄をしようと思つても、其奴ア駄目だぞ。そんな偉相な事を云ふと、貴様がビツクリして腰を抜かした事をランチ将軍様にスツパぬいてやらうか。手柄をしようには俺と一緒でないと駄目だぞ。自分一人の手柄にしようとは、余り虫がよすぎるぢやないか』
『其方の手柄も認めてやらぬ訳にも行くまい。やがて沙汰を致すから、暫く待つてをれよ。エヘン』
と咳払ひをしながら、早くも将軍になつた気分で、言葉付迄おごそかに、反り身になつて大股に両手の拳を握り、大道狭しと打振りながら、えも言はれぬ得意顔で、長いコンパスを、のそりのそりとふん張つて行く。
(大正一二・一・八 旧一一・一一・二二 松村真澄録)
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