治国別と竜公は一心不乱に油断と慢心の罪を謝し、一時も早くわが精霊に神格が充たされることを祈願していた。そこへ臭気紛々たる病人が膿汁をしたたらせながら二人の前にあらわれた。病人は岩石に躓いて苦悶し始めた。
竜公は、天国にこのような汚れた者がいるはずはないと治国別に訴えて、この場を離れようとする。治国別は、目の前に苦しんでいる人を救うことこそ、自愛を捨てて善と愛の光明にひたることであり、地獄も天国となすと諭した。
打ち倒れた病人は二人を認めると、宣伝使なら自分の膿を吸って苦しみを和らげろと命令した。治国別は言われるがままに病人を介抱し、いやがる竜公を諭した。
病人はますます横柄になり、治国別に膿を吸い出すように命令した。竜公はこの様を見て憤慨し病人をなぐった。すると病人はたちまち容色端麗な女神と変わった。
女神は治国別の神の愛を賞賛し、自ら天教山の木花姫と名乗った。そして先ほど言依別命として二人の前に現れたのは、国治立尊であることを明かした。木花姫は竜公の師匠を思う義を称しつつも、愛を徹底させるようにと諭した。
木花姫は最下層の天国から中間の天国団体へ二人を案内しようと、二人ともに被面布を授けた。二人は木花姫の後を慕い、足に任せて東にさして一瀉千里の勢いで進んで行った。