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文献名1霊界物語 第47巻 舎身活躍 戌の巻
文献名2第3篇 天国巡覧よみ(新仮名遣い)てんごくじゅんらん
文献名3第16章 霊丹〔1249〕よみ(新仮名遣い)れいたん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-04-27 20:08:31
あらすじ
木花姫の化身に案内されて第二天国にやってきた治国別と竜公は、目はくらみ頭は痛み、胸はとどろき手から力が抜けてふるえだした。二人は木花姫に助けを求めつつ、第二天国の入り口で倒れてしまった。木花姫は巨大な光と化して天の一方に姿を隠させ給うた。

治国別は自愛の欲によって我が身の苦しさについ木花姫に救助を求める心を起こしてしまったことを悔い、死人のように青ざめながら大神に祈った。治国別はこのような境遇にあっても神に従い神に頼り、神の神格を信じて微塵も不平怨恨の念を持たなかった。

治国別の祈りの声も細り、絶体絶命のときに天上から金色の衣をまとった神人が下り、霊丹という天国の薬を取り出して二人の口に含ませた。二人はたちまち蘇生した。二人が神人の顔をよく見れば、木花姫命であった。

木花姫命は、治国別が肝心要の宣伝使としての如意宝珠を途中で落としたために息が絶えそうになったのを見て、月の大神様の御殿から霊丹をいただいてきたのだと語った。お礼を述べる治国別に対し、自分は命の親の月の大神様のお取次ぎをさせていただいただけだと諭した。

治国別は、途中で落とした如意宝珠とは何かという木花姫命の問いに答えあぐねていた。竜公は不意に手を打って、下層天国から中間天国に上る途中、善言美詞たる天津祝詞、神言を奏上し忘れていたことを指摘した。

治国別は竜公の指摘を謝した。木花姫命は祝詞を上げながら第二天国を行くようにと諭し、二人に別れを告げた。二人が命に感謝を述べ首を垂れる刹那に雲上高く消えさせ給うた。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年01月09日(旧11月23日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年10月6日 愛善世界社版222頁 八幡書店版第8輯 555頁 修補版 校定版232頁 普及版109頁 初版 ページ備考
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本文  天教山にあれませる  木花姫の御化身に
 案内されて第三の  天国界を後にして
 五色の雲を踏み分けつ  東をさして上り行く
 治国別や竜公は  如何はしけむ目は眩み
 頭は痛み足はなえ  胸は轟き両の手は
 力も落ちてブルブルと  慄ひ出すぞ是非なけれ
 木花姫の御化身は  順風に真帆をかかげたる
 磯の小舟の進むごと  何の故障もあら不思議
 とんとんとんと上ります  治国別や竜公は
 吹く息さへも絶え絶えに  命限りの声しぼり
 『これこれもうし木花の  姫の命の神司
 暫く待たせ給へかし  如何なる訳か知らねども
 何とはなしに目は眩み  意識は衰へ力落ち
 進退茲に極まりて  最早一歩も進めない
 何卒お慈悲に両人を  も一度後に引返し
 お助けなさつて下されや  偏に願ひ奉る
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 仮令大地は沈むとも  尊き神の御恵は
 いつの世にかは忘れませう  抑天国の存在は
 神の慈愛を善真の  其高徳に構成され
 愛と善とに満ち満ちし  神の国土で御座いませう
 貴神も尊き神なれば  吾等二人の苦みを
 決して見捨て給ふまじ  かへさせたまへ惟神
 木花姫の御前に  命限りに願ぎまつる
 嗚呼惟神々々  御霊幸はへましませよ』
と歌ふ声も切れ切れに第二天国の入口迄来てバタリと平太り込んで了つた。竜公は唯一言も発し得ず、痴呆の如く口をポカンと開いたまま僅かに指先を間歇的に動かして居る。木花姫は後ふり向きもせず巨大なる光と化して、天の一方に姿を隠させ給うた。治国別は後打ち眺め、
『あゝ、過つたりな過つたりな。自愛の欲に制せられ、吾身の苦しさに木花姫様の救助を求めた愚かしさよ。「師匠を杖につくな、人を頼りにするな」と云ふ御教を、正勝の時になつて忘れて居たか。あゝ人間と云ふものは、何と云ふ浅ましいものであらう。竜公はもはや虫の息、かかる天国に於て、精霊の命までも捨てねばならぬのか、あゝ何うしたらよからうな。国治立大神様、豊国主大神様、神素盞嗚大神様、何卒々々此窮状を、も一度お救ひ下さいませ』
と色蒼ざめ、殆ど死人の如くなつて、合す両の手もピリピリ慄ひ戦き、実に憐れ至極の有様となつて来た。願へど、祈れど、呼べど、叫べど唯一柱の天人も目に入らず、神の御声も聞えず、四辺寂然として物淋しく、立つても居ても居られなくなつて来た。竜公はと顧みれば、哀れにも大地に蛙をぶつつけた如く手足をのばし、殆ど死人同様になつて居る。されど治国別は何処迄も神に従ひ神に頼り、神の神格を信じ、斯かる場合にも微塵も神に対し不平又は怨恨の念を持たなかつた。治国別は決心の臍を固め、
『あゝどうなり行くも神の御心、吾々人間の如何ともすべき限りでない。神様、御心の儘に遊ばして下さい。罪悪を重ねたる治国別、過分も此清き尊き天国に上り来り、身の程をわきまへざる無礼の罪、順序を乱した吾等の罪悪を、何卒神直日、大直日に見直し下さいまして、相当の御処分を願ひます』
と祈る声も細り行き、最早絶体絶命となつて来た。此時俄に天の戸開けて天上より金色の衣を纏ひたる目も眩きばかりの神人、二人の脇立を従へ、雲に乗つて二人の前に悠々と下らせ給ひ、懐より霊丹と云ふ天国の薬を取り出し、二人の口に含ませたまへば、不思議なるかな二人は正気に返り、勇気頓に加はり、痩衰へた体は元の如く肥太り、顔色は鮮花色と変じ、得も云はれぬ爽快の気分に充されて来た。二人は恐る恐る面を上ぐれば、威容儼然たる男とも女とも判別し難き優しき天人、その前に莞爾として立たせたまふのであつた。治国別は思はず手を拍ち、
『あゝ有難し有難し、大神の御仁慈、罪深い吾々をよくもお助け下さいました。有難う存じます』
とよくよくお顔を見れば、以前に別れた木花姫命が、二人の侍女を連れ立たせ給ふのであつた。
『ヤア、貴神は木花姫命様で厶いましたか。誠に誠に御仁慈の段感謝の至りに堪へませぬ』
『神様、能くまアお助け下さいました。竜公は既に既に天国に於て野垂れ死をする所で厶いました。天国と云ふ所は、真に苦しい所で厶いますなア』
『総て天国には善と真とに相応する順序が儼然として立つて居りますから、此順序に逆らへば大変に苦しいものですよ。身霊相応の生涯をさへ送れば、世の中は実に安楽なものです。水に棲む魚は、陸に上れば直に生命がなくなるやうなもので厶ります』
『成程御尤もで厶います。八衢に籍を置いて居る分際をも顧みず、神様のお言葉に甘え、慢心を起し、天国の巡覧などを思ひ立つたのは、吾々の不覚不調法の罪、何卒々々大神様にお詫を願ひ上げます』
『治国別殿、其方は媒介者によつて天国の巡覧に来られたのだから、決して身分不相応だとは申されますまい。貴方は宣伝使としての肝腎要の如意宝珠を道で落しましたから、それで苦しかつたのですよ。殆ど息が絶えさうに見えましたので、妾は急ぎ月の大神様の御殿に上り、霊丹を頂いて再び此処に現はれ、貴方等の御生命をつなぎ留める事を得たので厶りますよ。まア結構で厶いましたなア』
『ハイ、吾々が命の親の木花姫様、此御恩は決して忘れは致しませぬ』
『妾は貴方の命の親ではありませぬ。貴方の命の親は月の大神様ですよ。妾は唯お取次をさして頂いたのみですよ。左様にお礼を申されては、何だか大神様の御神徳を妾が横領するやうに思はれて、何となく心苦しう厶います。宇宙一切は月の大神様の御神格に包まれて居るので厶います。吾々には御神徳を伝達する事は出来ても、命をつないだり御神徳を授ける事は出来ませぬ。此後は何事がありても、仮令少しの善を行ひましても、愛を注ぎましても、決して礼を云うて貰つては迷惑に存じます。何卒神様に直接にお礼を仰有つて下さい』
『ハイ、理義明白なる御教、頑迷なる治国別も貴神の御伝教によつて、豁然と眠りより醒めたるやうで厶います。あゝ国治立大神様、月の大神様、最高天国にまします天照大御神様、唯今は木花姫様の御身を通して吾等に命と栄えと喜びを授け給ひし事を、有難く、ここに感謝致します』
『貴方は途中でお落しになつたものを未だ御記憶に浮かびませぬか、如意宝珠の玉ですよ』
『ハイ、私は高姫さまのやうに如意宝珠の玉などは一度も拝んだ事もない、手に触れさせて頂いた事も厶いませぬから、従つて落す理由も厶いませぬ。何かの謎では厶いますまいかな。心愚なる治国別には、どうしても此謎が解けませぬ』
『高姫さまの執着心を起された如意宝珠は、あれは自然界の形態を具へた宝玉です。天界の事象事物は総て霊的事物より構成されて居りますれば、想念上より作り出す如意宝珠で厶いますよ。先づ御悠りとお考へなさいませ。妾が申上げるのはお易い事で厶いますけれど、これ位の事がお分りにならない位では、到底中間天国の天人に出会つて、一言も交へる事が出来ませぬ。神の愛と神の信に照され、神格の内流をお受け遊ばし、智慧と証覚を得れば、何でもない事で厶います』
 治国別は、
『ハイ』
と答へた儘双手を組み、眼を閉ぢ暫く考へ込んで居る。遉鋭敏の頭脳の持主と聞えて居る治国別も、霊界へ来ては殆ど痴呆の如く、何程思索を廻らしても容易に此謎が解けなかつた。竜公は傍より手を打ち嬉しさうな元気のよい声を出して、
『もし先生、霊界の如意宝珠と云ふのは善言美詞の言霊ですよ。中間天国へ上る途中に於て天津祝詞や神言の奏上を忘れたので、姫命様が、お気をつけて下さつたのですよ』
『成程、ヤ、ウツカリして居つた。木花姫様、有難う厶います。ほんに竜公さま、お前は私の先生だ、ヤア実に感心々々』
『先生、そんな事云つて貰ふと大に迷惑を致します。決して竜公の智慧で言つたのではありませぬ。御神格の内流によつて、斯様に思ひ浮べて頂かせられたのです』
『現界に於きましては、竜公さまは治国別さまのお弟子でありませう。併しこの天国に於ては愛善と信真より来る智慧証覚の勝れたものが最も高き位置につくので厶います。神を信ずる事が厚ければ厚い程、神格の内流が厚いので厶いますから』
『いや実に恐れ入りました。天国に参りましても、やはり現界の虚偽的階級を固持して居つたのが重々の誤りで厶います。あゝ月の大神様、日の大神様、木花姫様の肉の御宮を通し、又竜公さまの肉の宮を通して、愚鈍なる治国別に尊き智慧を与へて下さつた事を有難く感謝致します』
『サア皆さま、是より天津祝詞の言霊を奏上しながら、第二天国をお廻りなさいませ。左様ならば、是にてお別れ致します』
 治国別、竜公両人は、
『ハイ有難う』
と首を垂れ感謝を表する一刹那、嚠喨たる音楽につれて木花姫の御姿は、雲上高く消えさせ給ふのであつた。
 あゝ惟神霊幸倍坐世。
(大正一二・一・九 旧一一・一一・二三 加藤明子録)
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