治国別と竜公は祝詞づくしの宣伝歌を歌いながら、ある天国団体の一画に着いた。数多の天人は男女の区別なく道の両脇に列を正して、愛と善のこもった言霊を張り上げて二人を歓迎するごとくであった。
天人の衣類は、その智慧と真と相応する。一切の智慧は神真から来るからである。ゆえに天人の衣類は神真の程度の如何によると言えるかもしれない。火焔のように輝く色は愛と善と相応している。光明は善から来る真に相応している。
さまざまな色の衣服をつけた諸々の天人は、治国別と竜公がこの団体を訪ねることを大神の宣示によって知り、歓迎の準備を整えていた。天人は二人の側近く進み来て天国の言葉で歓迎の意を表示していたが、二人はなぜか口舌が硬直して言葉を発することができなかった。
治国別は無言で表情にて感謝の意を表していたが、竜公は『アーアー』という叫び声で喜びを表した。『ア』は喜びを表白する意味であるから、竜公の一言は天人から称揚の的となった。
人間の想念は記憶に付着して、その言語の根源となる。もし天人が人間に向かい来たり両者が和合するに至れば、その人のすべての記憶は天人の前に現出する。大神の特別の御恵により、天人と人間の和合があらしめられれば、天界を人間の内に投入したごとくになる。
治国別は自分がまだ肉体のある精霊であることを天人たちに告げようとしたが、なにゆえか一言も発することができなかった。第二天国の天人に相応すべき愛善と信真と智慧と証覚とが備わっていなかったからである。
治国別たちは天人の諸団体に歓迎されながら、言葉が話せないまま旅行を続けてあまり大きな恥もかかず、首尾よく巡覧して天人に好印象を与えて去ることができたのは不思議であった。
治国別は木花姫命のお導きによって智慧と証覚を与えられ、第二天国の各団体を巡歴し、進んで最高第一天国および霊国に進む物語は、次節より口述する。