社会の一般的傾向がようやく民衆的になりつつあると共に、宗教的信仰も寺院や教会に依頼せず、各自の精神にもっとも適合するところを求めて、その粗弱な精霊の満足をはかろうとする趨勢になりつつあるようだ。
宣伝使や僧侶の説くことを聴きつつ、自ら神霊の世界を想像しこれを語り、いわゆる自由宗教の殿堂を各自の精神内に建設しようという時代である。
既成宗教の経典からも自ら認めて合理的、詩的とするところを読み、世界のどこかに真の宗教を見出そうとしている。宗教趣味が薄らいだところを補うために、芸術趣味が広まりつつある。
従前の宗教は政治的・専制的であったのに引き換え、現今は芸術的であり民衆的となってきたのも、天運循環の神律によってみろく出現の前提と言ってもよいのである。
この霊界物語もまたきわめて民衆的かつ芸術的に、惟神の時機を得て大神より直接間接の方法をもって現代ならびに末代の人生に対し、深遠な神理を宣旨・伝達せしめ給うたのである。